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プロローグ 0話

なんてことない、ありふれた日のはずだった。

瓜二つな昨日と今日。

模範的な幸せ。

いつだって家族と笑い合える、無邪気な日常。

そんな現実ゆめから醒めるのは一瞬だった。


なんの前触れもなく、僕というかたちが加工される。

要らない箇所は切り落とされて、邪魔な部分は押し潰されて。最後に、ひどく小さな自我だけが残った。

スカスカになってしまった僕の存在からだ

空いた隙間をナニかが埋めて、あらたな自分が出来上がる。


――ぐちゃぐちゃと音を立てて、気持ち悪い。


気が付けば、そこは真っ暗な映画館だった。観客は僕一人。映画は既に始まっている。

スクリーンに映し出されるのは瓦礫の山と、見知った顔の壊れた姿。耳にこびりつくような誰かの声と、『生きたい』と高く鳴いた鳥のバケモノ。


--くぅくぅとお腹が空いて。


吐き気がする。

迫真の演技。演者は入り乱れ、けれど皆、怪物しゅやくを前に同じセリフを繰り返した。

こんな映画、見たくも聴きたくもないけれど、何故だが席から動けない。僕の心とは裏腹に、この身体は食い入るようにソレを見続ける。


--お願いだから、やめてくれ。


誰かがこっちを見ている。

光を失くした瞳でこっちを見ている。

色鮮やかなあの子の名前が、わからない。


--とても大切な、かけがえのない人たちなのに。


伸ばした手も、近づく口も、止められない。

僕はソレを見続ける。

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