磁力
「ぬおぉぉぉぉぉぉっ」
俺は絶賛、頭を抱えて蹲っている。
恥ずかしさで死にそうだっ! なんで俺はあんな事を口走った!?
もう少しマシな言葉があっただろう俺!
「どうしたの?」
アナが魅力的な笑顔を俺に向けて聞いてくる。その姿は黒いドレスの様な服を見に纏っており、まるで──堕天使のようだ……。
「なんでもない……」
俺は平静を保ち、返事した……つもりだ。
さっきまでの1人でのたうち回っていた時点で既に手遅れの様な気もするが……。
今は2人で洞窟内にある家? で休憩している。
試練に挑戦するなら万全の方がいいと判断したからだ。アナが暴走して先走りそうになったのは少し焦ったが。
「レオは強くなったの……我でも危ないの」
心にダメージを受けた俺にアナが話しかけてくる。
「この世界でも理不尽に溢れているからね。でも、力さえあれば──アナ達を守れるだろ? そういえば、話し方戻したの?」
俺は笑顔で返答する。
「────っ! さっきまでは正気じゃなかったのだっ! それに我は守られるだけではないぞ? それより──鎖魔法は既に纏衣の領域まで来ておるの……九尾とか言ってた鎖はかなり特殊な感じがしたの……自我があるような……」
「九尾? あれなんか俺の意思で動かない時あるんだよね。自分の魔法なのに不思議だよ。纏衣って可能性もあるのかな?」
なるほど、纏衣の可能性もあるのか。
「わからんが……九尾とやらが纏衣だとしても、少なくともちゃんと発動はしとらんの。本来、体に纏うのが普通だしの。たまに周りに展開する場合はあるが────人族では聞いた事がないぞ?」
ん? 俺はまだ纏衣使えてないの? 九尾謎なの結局わからないのか……。
「アナが言うならそうなんだろうな……だって長生き────おわっ!?」
俺はアナの元に、何かに引っ張られるように引き寄せられる。
「失礼な事考えたでしょ? メッだよ?」
俺に抱き付き、話し方を変えて顔を赤らめた姿はとても可愛い。
「アナは優しいな。これシャーリーさんなら流星が飛んでくるから……。これ引力? 重力魔法?」
本当、シャーリーさんは見た目は淑女なのに、性格は好戦的な気がするな。エルフって皆あーなのか?
──っ!? 寒気が!? 離れていても感知されているのか!? 帰るの怖いな……。
「半分正解だの。これは、固有魔法の【磁力魔法】だの! 重力は引力だけ。さっきレオに使ったのは──斥力。今のは引力だの」
俺が悪寒を感じていると質問に答えてくれた。
……重力でもヤバいとは思うけど、磁力って確か、例えると磁石だよな? N極とS極は反発もするし、引き寄せる事も出来る……2つの力を使えるって事か? 反則技じゃね?
「慣れるまでは使い方難しいの。レオの鎖も黒くなって、レオ同様に格好良くなっておって妾は満足じゃの」
俺は唖然と話を聞いていると、俺を褒めてくれるアナ。
近くで褒められると、なんか恥ずかしいな。
それに良い匂いがする……よし!
俺も抱き締めよう!
手をアナの後ろに回して抱き締めようとすると。
────ゔっ!?
──これは……まさか発作か!?
俺はその場で呼吸を荒くし、四つん這いになる。
「レオどうした!?」
「……はぁ……はぁ……だい……じょ……ぶだ……」
しばらくすると呼吸が落ち着き、動悸も治る。
なんで起こった!?
最近は起こっていなかったはず!?
なんでだ?
そういえば──昔もアナの時だけ起こっていたような……以前より発作が酷い気がする。
とりあえず今は落ち着いている。アナが心配そうな顔で、俺の胸に手を当てている。
これは────回復魔法か?
「少し良くなったかの? 我の恩恵【癒し】だの。久しぶりに使ったんじゃが……」
「ありがとうな。かなり良くなってるよ。凄いな……、なんで急に発作が出たんだろ?」
「わからんが────触れる分には大丈夫そうだの」
という事は……俺からは厳しいということか?
お触り禁止!?
なんてこった!?
「ゆっくり待っておるから安心すると良い。それに我からはOKなら気にする事もない。我は初めてだが──知識だけはしっかりあるからのっ! レオにご奉仕するのだっ!」
発言後に妖艶な表情を浮かべた後に、慈愛の微笑みを向けられる。
「あっ、ありがとうな。なんとかするからな……絶対に!」
俺は引きつった顔で返答した。
なっ、なんとかしなければっ!
ふと、バランから貰った腕輪が目に入る……。
そういや、簡易鑑定あったな……これ結構集中力使うから戦闘中に使えないんだよな。視線がブレると効果発揮しないし。
とりあえず何のアイテムかわからないし使うか……。
簡易鑑定発動!
どれど……れ……? ────!?
【子宝の腕輪】
これつけてヤったら子供出来る
バラン……これから必要って……戦闘関係じゃないのかよ!? しかも今回は簡易鑑定の癖して丁寧に説明文があるしっ!
「あの野郎……」
俺は上を向いて呟く。
その時にバランがサムズアップして歯が光ったような幻覚が見えた気がした。
俺は誓った……バランお前、絶対に次会ったらボコると。
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