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俺の聖女

「此処にはもう────二度と来ないで……さようなら……」


「断るっ!」


 拒絶したアナに俺は近付いていく。


「来ないでって言ってるでしょっ!」


 ────襲いくる大量の炎弾。


 そこに、いつもの話し方のアナはおらず、何かに耐えるような表情を浮かべ、攻撃を行う姿が目に焼き付いた。


 俺は両手から鎖を出して【五月雨】を使い、炎弾を全て消し飛ばす。


「いつの間に──そんなに強く……」


 今とここにいた頃の俺との違いに戸惑いを覚えているようだった。


「固有魔法は想いの魔法だろ? 絶対にアナ……お前を俺が捕まえてやるよ」


「──!? いいからもう来ないでって言ってるでしょ!」


 今度は炎弾ではなく、炎の範囲攻撃が襲う。


 俺は氷魔法を付与した通常の鎖結界を展開し、やり過ごす。


 アナがそこまで拒絶する理由はなんだ? 八岐大蛇が関係してるのか? それとも解放される事が────



 パリンッ


 鎖結界は砕け散り、思考が中断され──俺に炎が襲う──


 ──その瞬間にアナの近くに鎖を出して捕縛する。


「──固有魔法の遠隔操作まで!?」


 俺はアナを鎖で巻き付け捕まえる事に成功する。


「……捕まえた。俺はずっとお前と一緒にいたい」


 再度近付いて行く。


「来ないでっ!!!」


「──なっ!?」


 圧力が俺に襲い、急に近付けなくなった。


 これは──恩恵か!? それとも固有魔法!?


 ──まずいっ!? アナから引き離される!?


 俺は鎖を周囲に伸ばし、壁や地面に突き刺して固定する。


「私は拒絶する────」


 その瞬間、捕まえていた鎖は周りに吹き飛ばされる。


 性能の上がった鎖を簡単に振り解くとは……。



「行くぞっ!」


 圧力が消えたので、走り出す────


「近付かないでっ!」


 今度は圧力が上から襲い、俺は地面に倒れ、貼り付けにされる。


「ぐぅぅっ……立てねぇ……」


 いったいどうなってる!?


 体が鉛のように重い……これは──加重がかかっているのか!? まさか────重力か!?


「ここから出て行きなさい……」


 俺は顔だけを動かし、なんとか声のする方に向ける。


 決別を告げるアナスタシアの顔には微かに涙を浮かべていた。


 そんな顔するなら言うなよな……。


「い、嫌だ……っ────」


 俺が断ると更なる加重がかかり、俺は声が出す余裕が無くなる。


「早く出て行ってよっ! 私は不死王アナスタシアっ! この先も1人でいいっ! なんで────なんで今更貴方が此処に来るのよっ! なんで────あの時に助けてくれなかったのよ!!! うぅ………」


 発言から過去の記憶と混濁しているようで、冷静ないつもの彼女はそこにはおらず、涙を流しながら叫び、感情が爆発し──その場で蹲った。


 その場にアナスタシアの嗚咽が響く。


 俺は動くために────身体強化魔法を()()()()し始める。


「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!」


 体の限界を超えるまで身体強化魔法をかけ続けたことにより、少しずつ体の末端から動き始めた。


 体が耐えられない領域まで魔力を込めたせいか、所々から皮膚が裂けて出血しているが、直ぐに回復し、俺は立ち上がる。


「あの時がいつかは俺にはわからないが────()()()()であるお前を絶対に助けるっ! そして──ずっと側にいるっ!」


 俺の叫びにアナスタシアは顔を上げて見つめてくる。目が少し正気に戻ったような気がする。


「私は……人ですらないわ……」


「知ってる」


「見捨てない?」


「見捨てない」


「裏切らない?」


「裏切らない」


「助けてくれるの?」


「絶対助けるっ!」


「助からなかったら?」


「俺が側に────ずっと一緒にいる」


「どうやって?」


「こうやって──九尾っ」


 しばらく、会話した後、アナスタシアを九尾で手繰り寄せる。


「きゃっ、私の固有魔法の中で動くなんて────!?」


 九尾の力に驚いているようだ。確かに俺は身体強化の重ね掛けで動けたのを九尾は普通に動いていたからな。


 俺はアナスタシアの目を見つめる。


「なぁ、アナスタシア……俺は絶対にお前を離さないよ。俺の鎖魔法は束縛するんだよ────ずっと一緒だ……この鎖が切れても、何度でも束縛するよ。だから────」


 俺の言葉を遮り、アナスタシアは口付けをする。アナスタシアは涙で頬を濡らしながら俺を見つめる。


 その目はいつもの優しい目に戻っていた。


 しばらく抱きしめた状態で、見つめ合っていると頬を染めたアナスタシアから言葉が発せられた。


「ずっと一緒にいてくれる?」


「もちろん」


「本当に? 信じていいの?」


「あぁ」


「私、我儘だし、面倒くさいよ?」


「いいよ」


「絶対に辛い目に合うよ?」


「それを心配しれてたのか? ありがとうな。問題ないよ。近くにいてくれたら俺は頑張れるから、側にいてくれないか?」


「……うん」


「ほらっ、元気出せって! そういや、話変わるけど────話し方、可愛いな」


「────っ!? 馬鹿っ! あーーっ! もうっ!」


「ここから助け出すから……」


「……うん」


「まーた元気なくなってるぞ? そうだ、無事にクリアしたら────抱くぞ?」


「────!? さぁ行くわよっ!」


 えっ!? 変わり身はやっ!?





 〜アナスタシア視点〜




 レオが私を抱いてくれるって言ってくれた!!!


 バレないように直ぐに振り向いたけど──今の顔はきっと真っ赤になっているだろうなぁ。



 とりあえず言質はとった!


『俺の聖女』か……昔に言ってくれた


「アナ……お前の心は綺麗だな………これから先も不死王と…他の奴に言われても……アナの事は俺の聖女だって、いつでも大きな声で言ってやるよ!」


 この台詞ちゃんと覚えててくれたんだ……。


 ちゃんと大きな声で言えてたよ。私の心に響いたからね。


 あの言葉で我を取り戻したけど……昔を思い出すと不安になる。


 きっと、この先同じような悲劇はあちこちで起こり得る……せめて八岐大蛇だけでも出来るなら……。


 私は癒し聖女として役目を全う出来たかわからない──けど、来たる日までは……せめてレオの傍で幸せを感じたい……。


「レオっ! 早く行こうっ!」


「えっ!?」


 レオの驚いた顔に私は満面の笑みで応える。

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