生霊の話 その3
合宿が終わり、短大の二学期がはじまった。
その頃から、なんだか先輩の様子がおかしい。
部活中、先輩が笑わなくなった。
まだ暑気の残る9月、先輩の下宿に
「遊びにおいで」と言われてお邪魔することになった。
ちょうど、お昼時、先輩は即席のカップうどんにお湯を注いで
ふたをし、3分間待った。
雑談をしながらふたを取り、ころあいになったカップうどんに
七味を入れ始めた。一振り
『うん、うん、やっぱり、うどんの薬味は七味唐辛子だよね』
そう思ってみていると、二振り
『まあっ、二回ぐらいは・・・!』
えっ?三回?・・・五回、六回・・・・・・二十回!?
唐辛子の入れすぎで、汁の表面は赤くなりつつある
見かねて言った。
「先輩、入れすぎなんじゃないんですか?」
「・・・うん、最近、たまに食べたくなるんだよね」
そう言いながらなおも、唐辛子を入れ続ける先輩
汁の半分以上が真っ赤に染まったところで
ようやくK先輩はうどんに七味を入れるのをやめて
食べ始めた。
力の無い声、遠くをみるような眼
……K先輩、なんか、変ですよー!!!
「さよなら、先輩。」
そう言い捨てて、先輩の下宿を走り出た。
走りながら、涙が出た。
先輩!先輩!いったいどうしちゃったんですかー。
いつもの明るく楽しい、先輩はどこいったんですかー。
こわくなった。
アレは先輩じゃない!
涙をぬぐいながら、私はそう思った。
続く




