12
迷走気味・・・。
12、
ノコール氏は懐から鍵を取り出して、墓場の錠前を開けた。
門を開ける時の独特の金属音にエレノアはどこか懐かしい思いを抱いていた。
低い石垣で囲われた墓場は自然公園といわれそうな趣で、通路は石のタイルでできていた。一行はそのタイルを踏みながら歩くのだけれど、時々ひび割れているタイルや、ぐらぐら揺れるタイルがあった。
墓石は規則正しく建てられていて、同じ方向をみているようだった。
墓石の上に伸びている十字架が月明かりに照らされて、その十字架は光源の対照に影ができるのだが、影をよく見ると十字のなかになんだか不思議な模様が浮き上がっている。
イリーナはレベッカの袖にじっと張り付きながら、影をじっと眺めていた。
十字架にもいろいろ特徴があって、鍵穴の形だったり、ダイヤ型の中に入っていたり、とにかく多様だった。
しかもそれらは今はランプの光にも照らされているので、模様はさらにゆらゆらと形を変えていた。
それがなんだか面白くて、イリーナはますますじっと眼を凝らしていた。
すると袖を引っ張られて困っているレベッカが低い声で言った。
「こわいのはわかるけれどさ、あんまり袖ひっぱらないで」
イリーナはようやく袖を離してレベッカに言った。
「こわくないよ?」
レベッカはあたりをきょろきょろ見渡して、イリーナに小声で言った。
「本当に?」
「うん」
イリーナはめまぐるしく変わる模様を楽しんでいたが、レベッカは遠くまで広がる墓地になんだか恐ろしい物を感じていた。談笑をしているエレノアとノコール氏を眺めて、なんだか自分たちは場違いな感じがしてならなかった。
エレノアはレベッカのほうに顔を向けて向こうの方にある墓に指差した。
「あれがそうだよ」
「う、うん・・・」
(私はどうしてここにいるのだろうか?)レベッカは時々自分がおかしな状況に陥る事があるのだけれど、今日のこれはその中でも最たるものだろうなと考えた。
まぁ、大抵どうにでもなることが多いので、この際身を任せていることが多いのだけれど。
だんだん墓石の模様が雑になっているのを感じたイリーナが言った。
「ここらのお墓はなんだかおもしろくないね。」
「面白くないって?」
レベッカが聞いた。するとノコール氏が答えた。
「このあたりにあるのはみんな最近のものだよ」
レベッカは唖然とした。妹のイリーナは墓石を見ていたのだ。
すると張られていたタイルの道がなくなった。
とうとう、メアリの墓前にやってきた。すこし小高い丘のような所にあった。
墓はとてもシンプルで飾り気のないものだった。
唯一つぽつんと墓石が立っているだけで、名前だけが彫られていた。
エレノアは、墓場に花束を手向けると祈りの手をした。
三人もそれに倣った。
しばらくしてエレノアは顔を上げると、ノコール氏に言った。
「土、盛ってくれたのですね」
ノコール氏は頷いた。
少しでも高いところで日向ぼっこしてもらうというのが、エレノアの要望だった。
レベッカはお菓子の小包を開いてそっと置いた。
「エレノアさんにはいろいろとお世話になりました。レベッカと申します。
こちらは妹のイリーナ。ふつつかなものですが、よろしくお願いいたします」
次回、多分教会に跳びます。どうにか修正せんと話すすまんわぁ・・・




