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インスタントレインボー  作者: 神ヶ月雨音
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九話・~幕間~使徒の在り方

「俺達異空の銃に使徒は、元々このリビドの外の世界の住人だ。文字通りリビドという本を書いている作者と言っていい」

「ああ」

「ただ、俺達は色々とワケ有りなんだ。使徒は十二人それぞれの理由で、外の世界で孤立している」

「孤立?」

「ああ。親族の死去や虐待による家出、捨て子など理由は様々だが」

「そんなことがあったのか……」

「そんな俺達を拾ってくれたのが前の統率者様だ。突然失踪してから、もう長いこと見ていない」

「いたにはいたんだな。それで、いなくなったから次を探してると」

「おういうことだ。一応、外の世界にもリビドと同じように魔法などの概念はある。それぞれの魔法の特性や性格から選定された十二人が俺達異空の十二使徒だ。その中で一番最初に選ばれたのがアーズだったってわけだな。まあ、奴は特性などではなくツテと言うか、統率者様の人脈だったらしいが」

「ふーん……」

「定期会議は文字通り定期的に行っている会議だ。まあ、リビドで俺達が介入しないといけないような出来事が無い限り、ただの中身の無いお茶会だがな」

「そんな出来事あったのか?」

「今まで一つもない」

「よかった」

「あとはまあ……これも話すべきか。実は俺達、外の世界ではいないことになってるんだ?」

「は?」

「統率者様の提案でな。リビドの物語を作ると同時に、俺達はリビドの創造主になった。その時に、俺達を外の世界の存在から、リビドに登場する存在にコンバートしたんだ」

「そんなことできるのか?」

「実際できたんだ。元々全員孤立していたから、反対する奴はいなかった。そうして俺達は外の世界では存在しないことになった。もちろん住んでる家だってあるし、店で買い物だってする。だが、家はそもそもその場所にないことになってるし、買い物をしたとしても、会計した記録だけが残り、やり取りした記憶は相手に残らない」

「まじかよ……」

「そんなこんなで、今俺達がリビドにいたとしても向こうの世界には一切の問題も無いわけだ」

「なんか、悲しい話だな」

「そうでもないさ。俺達からすれば自分のことをしっている人間が0から12に増えたんだ。充分さ」

「そんなもんか」

「ああ。さて、話も終わったところで上がるか」

「そうだな。そろそろのぼせる」

 二人揃って風呂を上がった。脱衣所で着替えているときに、雨音は自分が鍵を持っていたことを思い出した。

「あ、やべえ俺が鍵持ってるんだった。エルナ絶対上がってるだろうな……」

「……そういえば俺もだ」

「やっちまったな」

「これは怒られる」

 二人は足早に部屋まで戻った。そこには予想通り、エルナと勇姫が待っていた。

「遅いよ雨音! 湯冷めしちゃうじゃん!」

「何しとんやエイジ。結構待ったで?」

「すまんすまん、話し込んじゃってな」

「悪い。話が長引いたんだ」

 二人は各々の部屋の鍵を開け、部屋に戻っていった。雨音は手に持っていた衣服を洗濯機に入れ、窓辺に設置されたカウンターに椅子を近づけて座った。カウンターの上にいつもの本を置き、ペンを取り出す。

「雨音―、洗濯回す?」

「ああ、頼むわ」

「はーい」

 後ろの方で洗濯機が動き出す音を聴きながら、雨音はいつも通り日記をつけ始めた。しかし今日は戦闘もあったため、睡魔に襲われて中々進まない。

「ふぁぁ……」

「眠たいの? まあ、今日は勇姫ちゃんと闘ったしね。疲れたでしょ」

「まあな。でも日記はつけねえと」

「あ、コーヒーでも淹れよっか? 丁度備え付けのあるし」

「粉ココアと間違えんなよ」

「しないよ! って、なんでその話知ってるの!?」

「なんででしょうね」

「エイジでしょ! もー、そんな恥ずかしい話なんで掘り返すかなぁ!」

「他にも色々聴いたぞ? 集合時間間違えた話とか……」

「うわぁぁぁ! やめて言わないで!」

 恥ずかしそうに悲鳴を上げるエルナの声を聴きながら、このやり取りが一番の眠気覚ましになるなと雨音は思った。


次回から雨音パートは一旦お休みで、一歩その頃……的な感じで怜パートが進行します。

お楽しみに!

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