第2巻 第10話:嬉し涙
クロナは、声のした方へ、恐る恐るゆっくりと振り向き始めた。数瞬前までハガニットの痛みと熱で張り裂けそうだった彼の鼓動は、今は静かに、けれど振り向く角度に合わせてその速さを増していく。
彼は彼女を見た。
女は、ほんの数歩先に立っていた。その姿は、リュウザキのいかなる刃よりも強く彼の意識を打ち据えた。最初に目を引いたのは髪だった。信じられないほど長く、豊かな髪は、クロナが毎朝鏡で見るのと同じ、深い深紅の色に燃えていた。その髪型は独特で、滝のように肩へ流れ落ち、強烈な個性を強調するように、不揃いな長さの毛先が大胆かつ優雅な輪を描いて顔を縁取っていた。
彼女が身に纏っていたのは、戦士の実用性とエレガンスが奇妙に調和した、シンプルだがスタイリッシュな服だった。襟の高い真っ白なシャツに、袖口の下へと続くぴったりとした黒の手袋、そして高い革のブーツに柔らかな襞を作って重なる、ゆったりとした黒のズボン。その姿には無駄なものは一切なく、ただ行動への意志だけが感じられた。
しかし、何よりも重要だったのはその瞳だ。突き抜けるような青、汚れなき高山の氷の色。それは彼自身の瞳の写し鏡そのものだった。
クロナは指一本動かせず、その場に固まった。肺の中で空気が止まる。赤い空の下、この森の中で、彼はすべての忘却された夢の化身のような女を見つめていた。
彼女は待たなかった。短く、むせび泣くような声を漏らしたかと思うと、それはすぐに喜びに満ちた笑いへと変わり、彼女は地を蹴った。歩くのではない、彼女は彼へと飛んできたのだ。クロナが手を挙げる暇もなく、彼は温もりと花の香りの波に飲み込まれた。
女は彼に激突し、クロナの骨が思わずきしむほど強く抱きしめた。彼女は彼の肩に顔を埋め、彼は自分のシャツが瞬く間に彼女の涙で濡れていくのを感じた。彼女は声を上げて泣き、同時に笑っていた。何世紀も探し求めた最も大切な宝物を見つけ出した人のように、高く、晴れやかに。
「私の坊や……私の小さくて、おバカで、勇敢なクロナ!」彼女はさらに強く彼を抱きしめながら、なだめるように言った。「大きくなったわね……なんて立派になったの! 髪だって……私と同じくらい言うことを聞かないんだから!」
クロナは棒立ちのままだった。脳が情報を処理することを拒んでいた。これは誰だ? なぜ彼女は自分をこんな風に見るのか? なぜ彼女の存在は、世界の他のすべてよりもリアルに感じられるのか? パニックと困惑が彼の中で混ざり合った。リュウザキの罠に慣れた戦士の直感が、彼を強張らせた。
「あの……ちょっと……」彼は彼女の肩に手を置き、そっと離れようとした。「あなた……あなたは誰ですか? 女の人、離して……苦しいです、窒息しそうだ! もともと肺の調子が良くなかったんだから!」
女の握力は鋼そのものだった。龍の力を持つクロナが、一センチも彼女を動かせないことに驚愕した。しかし、彼の言葉に彼女は即座に反応した。
彼女は勢いよく身を引いたが、肩を掴んだ手は離さなかった。さっきまで慈愛に満ちていた顔が、突如として滑稽な、けれど恐ろしい怒りに歪んだ。彼女の深紅の髪は、まるで帯電したかのように宙に舞い上がり、捕食植物の花びらのように逆立った。
「『女の人』だって?!」彼女は金切り声を上げた。その声は金属が擦れ合うような鋭い音を立てた。「ただの『女の人』?! この永遠のような時間をずっと待っていた私に向かって、よくもそんな風に呼んでくれたわね!」
クロナが言い訳をする暇もなく、彼女は信じられない速さと力で彼の腹に拳を叩き込んだ。それは戦闘の打撃というよりは、感情的で「教育的」なものだったが、クロナにはトラックに激突されたような衝撃が走った。彼は体を二つに折り、喘ぎながら空気を求めた。
「その憎たらしい瞳をあんたに授けた相手に向かって、なんて口を利くのよ!」彼女は腕を振り回しながら怒り狂った。「父親そっくりね! あの人も最初はぼーっとしてて、後から謝ってばかりだったわ!」
クロナは腹の痛みをこらえながら、ゆっくりと顔を上げた。彼は彼女の顔を真っ向から見た。女の怒りは、沸き立った時と同じ速さで消え去っていった。彼女は、果てしない、胸を締め付けるような愛を込めて彼を見つめていた。その一瞬で、彼のすべての防衛本能が崩れ去った。痛みと記憶喪失、そしてリュウザキの魔力の層の下に眠っていた、極めて古い何かが彼の意識の奥底で動き出した。彼が人生を通じて無意識に探し求めていた「母親」の姿が、ようやく名前と形を得たのだ。
「本当は……あなたは誰なんだ?」彼は震える声で囁いた。
女は一歩近づいた。彼女は手を伸ばし、彼の頬に優しく触れた。その指先は温かく、故郷の匂いがした。クロナが一度も持ったことのない、あの故郷の匂いだ。彼女は悲しげに、けれど信じられないほど誇らしげに微笑んだ。
「ハガネヤ・トオル……」彼女は囁いた。その青い瞳に再び涙が溢れる。「私はあんたの母親よ、クロナ」
言葉が心臓を撃ち抜いた。何年もこの感情の奔流を堰き止めていたダムが、ついに決壊した。記憶が鮮明な映像として戻ったわけではないが、彼の魂が彼女を認識した。癒えない傷のように抱え続けてきた孤独が、突如として消え失せた。
熱く重い涙が、クロナの頬を伝い落ちた。彼はもう、強くあろうとも、慎重であろうともしなかった。ただ一歩前へ踏み出し、力の限り彼女を抱きしめた。
「母さん……」その響き、彼にとって禁断の果実だった言葉が、ついに唇から溢れた。
彼は彼女のシャツに顔を埋め、肩を震わせて声もなく泣き続けた。彼が経験してきたすべて――リュウザキの地下室、仲間の裏切り、ハガニットの痛み、孤独という永遠の寒さ――そのすべてが、この涙と共に流れ出していった。
トオルは彼を抱き返した。彼女はもう叫ぶことも笑うこともなかった。彼女は彼の頭を自分の胸に抱き寄せ、幼い子供をなだめるように、彼の赤い髪を一定のリズムで撫で続けた。
「静かに……。母さんはここにいるわよ」
トオルはついに身を離したが、それは息子を「精密検査」するためだった。彼女はシャツの袖で――素早く、まるで男のように――涙を拭くと、即座にその顔を厳しい検閲の表情へと変えた。彼女はクロナをあちこち振り回し、肩を触り、肋骨が出ていないか確かめ始めた。
「十年間……たった十年間、目を離しただけで、見てちょうだいこの様を!」彼女は両手を広げて嘆いた。「痩せちゃって、筋と傷跡ばっかり。魔法の配給食や野草じゃなくて、まともな食事っていうものを覚えてるの? 父親そっくりね、あの人も目の前に皿を置かないと食べるのを忘れるんだから!」
彼女は一瞬動きを止め、その手のひらを優しく彼の頬に当てた。青い瞳には、悪魔的で狡猾な火花が散った。クロナは思わず生唾を飲み込んだ。その眼差しが、穏やかな会話を予兆していないことを悟ったからだ。
「さあ、吐きなさい、坊や」トオルは邪悪にニヤリと笑った。「私に紹介する嫁はもういるの? 帝都の連中が好んで読むような、安っぽい小説に出てくる女たらしになったなんて言わないでよ。もしあんたが女の子の心をあちこちで弄んでるなんて知ったら、あの世から戻ってきて直接お灸を据えてやるからね!」
クロナの耳に熱が上るのを感じた。悪魔との戦いでは不敵だった彼も、この勢いの前ではたじろぐしかなかった。
「よ、嫁……?」彼は気まずそうに咳き込み、視線を逸らした。「まあ……一人の女の子がいる。名前はホタル。僕たちは……付き合ってるみたいだ」
「おおー!」トオルは文字通り輝き、興奮で髪がかすかに浮き上がった。「ホタル、ね? 『蛍』なんて、素敵な名前じゃない。さあ、突っ立ってないで、あんたたちの愛の物語を話しなさい! 母親は隅から隅まで知りたいんだから!」
クロナは好奇心に満ちた彼女の視線にさらされ、ひどく気まずそうに後頭部を掻いた。
「話すことなんて別にないよ……だって、お互いに気持ちを伝えた後、彼女にまともに会えてないんだ。すべてがあまりに早く回り始めて……リュウザキ、記憶喪失、あの城……」
トオルは聞き覚えのある名前に、即座に眉をひそめた。
「彼女のことを話しなさい。どこの誰なの? クランは?」
「それは……リュウザキの娘なんだ」クロナは嵐を覚悟して、ため息混じりに言った。
トオルは固まった。森の静寂が、肌で感じられるほど重くなった。そして彼女は、純粋な皮肉に満ちた、短く乾いた笑い声を漏らした。
「最高ね! 本当に素晴らしいわ!」彼女は朱色の空に向かって両手を広げた。「世界中の女の子の中から、よりによって宿敵の娘を選ぶなんて。あんた、トラブルを呼び込む才能だけは一人前ね! ハガネヤの血があたしの想像以上に色濃く出てるわ!」
「母さん、それは違うんだ」クロナは彼女の皮肉に気づき、慌てて弁明した。「彼女はリュウザキとは違う。優しいし、父親の名前も力も捨てて、僕たちを……僕を選んでくれたんだ。彼女は今、ハガネヤなんだ」
トオルは突如として静かになった。彼女は優しくため息をつき、その怒りは完全に溶けて、理解ある微笑みへと変わった。
「分かるわ……」彼女は静かに言った。「あんたの父親とも、始まりは同じくらい無茶苦茶だったもの。血は争えないわね、クロナ。私たちはいつも、一番困難な道を選んでしまう」
クロナは興味深げに彼女を見た。彼の記憶の中の父親は、ただ霧がかったイメージでしかなく、過去のロマンチックな詳細など語ることのない、実務的な男だった。
「どうやって出会ったのか、一度も話してくれなかったよね。昔は、子供には早すぎる話だって言ってたけど。でも、今は……今は知る権利があるだろ?」
私はクロナを見る。胸が締め付けられる。父親そっくり。あの眼差し、何を言えばいいか分からない時に後頭部を掻くあの仕草。でも、胸のあの傷……リュウザキ、これについては高くつくわよ。誓って、この森からあいつに手が届くなら、背骨を引き抜いて本人に食わせてやるところだわ。
「いいわ、坊や」私は優しくため息をつき、草の上に座って隣をポンポンと叩いた。「あんたの言う通りね。もう私が鼻を拭いてあげてた頃のチビじゃない。宿敵の娘と通じ合うことに決めたんなら、あんたの母親がどうやって世界で一番手に負えない悪魔に恋をしたのか、知る時が来たってわけね」
私は目を閉じる。赤い森のざわめきが遠のき、代わりに湿った土、朽ちた葉、および野蜜の香りが立ち込めてくる。
私は十六歳。百年の樫の木の間から差す日差しが頭のてっぺんを焼き、私のポニーテール――この呪わしい赤い箒――が、しょっちゅう枝に引っかかる。私はイライラしていた。ハガネヤのクランの長老たちが、また退屈な仕事を押し付けてきたからだ。「トオル、お前は一番足が速い。薬の材料になる『太陽の根』を採ってこい」。将来の偉大な剣の達人に向かって、使い走り扱いなんて!
「どこにあるのよ、あのクソったれな草は……」シダの茂みをかき分けながら、私は毒づく。
私はグループから離れることにした。あいつらは遅すぎるし、足手まといなだけ。森の空気を胸いっぱいに吸い込みながら、私は一人で進む。静寂。でも、これは間違った静寂だ。鳥の声が消えている。
頭上でカサリと音がした。
考えるより先に反射が動く。私は鋭く身を屈める。私の頭のすぐ上を、誰かの黒い影が通り過ぎた。襲撃者は私の前に着地したが、私は一秒の隙も与えない。長老たちへの不満、暑さ、そしてあの馬鹿げた「根っこ」への苛立ちをすべて拳に乗せて、全身で振り向きざまに叩き込む。
ボキッ!
私の拳が誰かの顎にめり込む。ああ、なんて心地よい音。男は後ろへ吹き飛び、木苺の茂みをなぎ倒して仰向けに倒れた。
「はっ、ざまあ見なさい!」叫びながら、私は上から飛びかかる。
容赦はしない。自分のブーツで彼を地面に踏みつけ、足の裏で波打つ彼の鼓動を感じる。ナイフを抜き、その刃を彼の喉仏に突き立てた。
「さあ、出来損ないのスパイさん? 私の髪が怒りで逆立ってるのが分かる?」私は吠える。「ハガネヤに襲いかかるなんて、命が惜しくないの? 誰に送られた? 喋りなさい、あんたの喉に余計な風穴を空ける前にね!」
私は彼を見る。若い。カラスの羽のように黒い髪、尖った頬骨、そしてあの完全に恐れを知らない暗い瞳。彼の顎にはすでに青あざが広がり、切れた唇からは血が流れている。けれど、彼は……笑っている?
「俺は……クゼ……チザキ……」私の足の下で空気を吸おうともがきながら、彼は言葉を絞り出した。「それに……お転婆お嬢さん……ここは、俺のクランの領地だぜ」
「チザキなんて知ったことか!」私はブーツでさらに強く踏みつけ、彼は押し殺した悲鳴を上げた。「あんたたち成り上がり者は、この森のすべての草木が自分たちのものだとでも思ってるの? 私は太陽の根を採りに来ただけ。邪魔をするなら、その身体からすべてのクズを叩き出してあげるわ!」
このバカなクゼは下から私を見上げ、血のついた唇を舐めて、突然こう言い放った。
「ハガネヤはイカれてるって聞いてたが……人を殺そうとしてる時、そんなに綺麗だとは知らなかったな」
開いた口が塞がらない。私が? 綺麗? 今、こいつを解体してやろうとしてるこの最中に?
「綺麗ですって?!」私はナイフを彼の鼻先で振り回した。「打たれた衝撃で脳みそがどっか行ったの? 今すぐ解剖学の時間のカエルみたいにしてあげましょうか!」
「なあ……」彼はナイフを恐れず、頭を持ち上げた。「太陽の根はここには生えてないぜ。川の向こうの南の斜面だ。もう俺の顔を殴らないって約束するなら……教えてやってもいい。じゃないと、あんたは夜までこの沼地を彷徨うことになる」
私は疑わしげに目を細める。チザキがハガネヤを助ける? 笑わせるわね。
「どうしてあんたが私を助けるのよ? 仲間を呼び集めて罠にかけるつもり?」
「いいや」クゼは真剣に私の目を見た。「ただ……お前みたいに、不敵で強い女は見たことがないからな……可愛いじゃねえか」
私は鼻を鳴らし、ようやく彼の胸から足を退けた。ナイフを鞘に収めるが、手は柄に置いたままだ。
「立ちなさい、チザキ。もし騙そうとしたら、あんたの皮を剥いでうちの本邸のバスマットにしてやるから」
「あんた、一分前に俺をマットにしたばっかりだろうが」
彼は立ち上がる。背が高い。癪だけど、私より頭一つ分高い。彼は気取った黒い服を払い、顎をさすりながら、あの馬鹿げたニヤニヤ顔で私を上から見下ろした。
「行くぜ、ハバネロ」彼は背を向け、藪の中へ進みながら言い放った。「遅れるなよ。迷子になるな」
「誰がハバネロよ、このクソ悪魔!」私は周囲の森が燃え上がるんじゃないかと思うほど激昂した。「待ちなさい! どっちが迷子になるか、思い知らせてやるわ!」
私はあの成り上がりに、自分がハガネヤ・トオルであり、誰一人として私を野菜呼ばわりすることなど許さないと証明するために、彼の後を追った。
私は目を開け、再び目の前のクロナを見る。
「分かる、坊や? あんたの父親はなかなかの自信家だったわ。でも、あの日、私は一つ分かったの。彼は、私の炎を恐れなかった唯一の人だった。彼は、ただその炎の中に真っ直ぐ踏み込んできた。それから、キスをして……あんたが生まれた。あんたを産んだ後の、眠れない夜たちの始まりよ」
「……僕たちのクランを皆殺しにして、母さんを……父さんを殺したのは誰?」クロナは真剣な面持ちで尋ねた。
「小僧……」ようやくクロナの中のクラヤミの声が聞こえた。しかし、彼が何かを言う前に、トオルの声が響いた。
「おい、トカゲ! 母親の前で口を開けていいって誰が言った? 隅っこに行って、自分の行いを反省してなさい」
龍は驚くべきことに沈黙し、母親は物語を語る準備を整えた。




