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山脈の調査へ

 道路工事に関してはシエラとリーナに任せて大丈夫そう……大丈夫かな? まぁ、僕の代わりにお母様とミーナとルーカス叔父様が見ていてくれる。僕は自分の役割を果たさないとね。キロイフ子爵領に来たのは騎士団を鍛えるのもそうだけど……道路をリベイラ領とキロイフ領に繋いで、さらに王都方面に繋げること。


 それとは別に、僕個人としてベリエラ山脈の調査をしたかったんだ。リベイラ辺境伯領は隣国と魔の森の魔物で常に鉱物資源が足りない。魔の森の中にもベリエラ山脈は続いているから、そのうち開拓が進めば突き当たるだろうけど……やっぱりすぐに用意したいんだ。


 その点、お隣のキロイフ領にベリエラ山脈があるし……魔物のせいで調査すらまともに出来ていない。ひょっとしたらかなりのドル箱が眠っている可能性が高いと睨んでいる。


「よしよし、リベイラ領から連れて来たリベイラ騎士団が魔物討伐をしてくれているな。あっちこっちに戦闘痕が残っているのは見なかったことに……」


『ドッカァーン』


 あっちから派手な爆発音……向こうでは天まで届きそうな竜巻が出現……こっちでは大きな木が縦に真っ二つに……

 うん、見なかったことにしようか……


 ◆◆◆◆


「よし、山脈の調査に僕にはとっておきがあるからね……『ユニークスキル:見える化』発動」


 そう、『見える化』での調査を考えていた。今生までは魔の森の魔力を見たりその人の適性なんかを見ていたんだけど……鑑定眼から『育てる』で進化した『見える化』はこういう使い方が普通なんじゃないかな……

 近くの鉱脈が見えるか試してみたら……


『ベリエラ山脈……鉄鉱床:東2km・魔鉄:南東8km・ミスリル:南南東37km』


 おお、やはりユニークスキルだ。すごく明確に分かる。しかも鉄だけではなく、鉄が魔力を浴びて変質した魔鉄や、異世界鉱物資源の代表でもあるミスリルまで……

 しかし……南側は魔の森の中に続く方角だ。すぐには手をつけられない。それでも鉄を手に入れられる目処がつくんだ。


 これで本当の意味でキロイフ領は鉄の産地として生まれ変わる。その鉄を今回作る道路でリベイラ領や王都方面へ運ぶことが出来るんだよね……どのくらいの埋蔵量があるんだ?


「よし、さらに埋蔵量を調べたいな……出来るかな? 鉄の埋蔵量を『見える化』発動」


『鉄埋蔵量……12億トン』


 ん? なんか凄そうだけど……億がつくだけでビビるよね。やっぱり一般サラリーマンだった小市民な感情が僕の中にはあるんだな……

 しかも、トンだからね。まずは東に2km行って見てみよう。


 僕は1人で『テクテク』とベリエラ山脈の中を歩いていく。途中でリベイラ騎士団団員と会う。


「若様、大丈夫ですか? この辺りはまだ魔物が出ますから……あっ、危ない……」


「おお、ご苦労様。あっ、大丈夫だよ」


 僕の手から放たれた稲妻が、襲って来た魔物を貫く。


「じゃあ、頑張ってね〜」


「いや、魔物が蔓延る山の中を手を振りながら散歩するように歩いていく若様はやっぱりすげーな。俺たち騎士団も負けられないぞ」


 なんか気合を入れているな。ケガしないように……


(というか、今のでさらに彼らの『手遅れ度』が進んじゃった気がするけど……まぁ、リベイラ騎士団だし大丈夫か)


 自分の放った電撃で消し炭になった魔物の残骸には目もくれず、僕は再び『見える化』のナビに従って東へ歩き出す。

 2キロなんて、終電で寝てしまい終着駅からの徒歩移動に比べれば大した距離じゃない。しかも今は『身体強化』を無意識にパッシブ発動させているから、勾配のきつい山道でも息一つ切らさずに『テクテク』進める。うん、便利だね。


 やがて、鬱蒼とした木々が途切れ、ゴツゴツとした岩肌が露出した開けた斜面に出た。


「ここだね。ここから12億トンの鉄が眠っているのか……あれ?」


 地表を見つめると、縞状にひび割れた岩肌が延々と続いている。あれって『鉄鉱床』っていうんじゃなかったかな? なんか僕のイメージだと洞窟みたいな穴を掘って鉄鉱石を手に入れる感じだと思ってたけど……地表に出てくれてるなんてラッキーかな?

 これ、地表を少し削るだけの『露天掘り』で、向こう数百年はザクザク採掘し放題なんじゃないかな。


「よし、ちょっと地表の確認を……うん?」


 アハハ、なんか思いついてしまったよ。やっぱりアラン君は天才なのです。

 なぜなら……鉄鉱床に手を置いて魔力を浸透させていく。


「グッ、鉄鉱石に魔力の通りが悪い。でも生まれてからはずっと魔力の訓練をしてきた僕は強い子なのです」


 無理やり魔力を浸透させてから使うのは……『育てる』だよ。

 今までは人や植物に使ったけど、鉱物資源だって『育てる』ことが出来るんじゃないのかな?


 額に汗をかきながらも無理やりに魔力を流しつつ『育てる』を使う。そうすると僕を中心に約100mの鉄鉱床が輝き……やがて光がおさまっていく。

 さて、どうなったのかな? 『見える化』発動。


『魔鉄鉱脈……魔鉄含有率73%』


 おお、魔鉄に変わったよ。魔力が確かに鉄鉱石よりも通りやすい。それに含有率って……あっ、そうか不純物もあるからだ。それも帰って考えないとね。まずはルーカス叔父様に報告しないとね。

 僕は領都へと帰宅するのです。

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