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第36話 龍人族、テルハ

 ショタリシアス王国に到着した一行。


 いつもであれば、門の所で馬車を降り、徒歩で王国内に入るのだが、今回は事情が事情なので門番に話を通し、馬車のまま入国した。


【ベイビルワン城】に到着した一行。


 各自馬車を降り始める中、セシリアだけが先に荷台から降り、イリンに奴隷商を任せ、どこかに去っていった。


「あれ? セシリアさんは?」

「急用ができたとかで、どこかに行ってしまいました」

「そうなんだ……」

「あ、えと、それより早く中に入りませんか?」

「そうだね」


 移動の中で目を覚ましていたハル。


 セシリアの正体を知っているので、話題を切り替えるべく中に入る事を促した。


 そして、クロハに連れられ奴隷商は騎士団に引き渡された。


「ご協力、感謝いたします!」

「後はお願いします」


 騎士団に引き渡した後、クロハ達は子供達をどうするかを話し合う為、一旦帰ろうとする。

 そこに、リュークとシリシアがやって来た。


「皆様、この度は違法商売者の確保、誠にありがとうございます」

「あ、ありがとうございますっ!」


 リュークが頭を下げたのを見て、乱れた髪を整えていたシリシアが慌てて頭を下げる。


「いえ。当然の事をしたまでですから。それに、捕らえられたのはハル君と、この子のおかげですから」


 クロハがハルを見た後、ハルの脳内に直接語りかけた少女を見て言う。


「これは……(りゅう)(びと)族ですか。また稀少な種族が……ご協力、ありがとうございました」

「い、いえ……」

「皆様が保護してくださった方々の今後を話し合う為、一度会議室にお越しいただいてもよろしいでしょうか?」

「それは構いませんが……ミルルちゃん、大丈夫……?」

「だ、大丈夫ワン……! 向こうのお国で、悪い人達じゃないと分かったワン。だから、ミルルは大丈夫ワン」

「そう? 無理はしないでね」

「ワンッ!」

「そ、それではご案内いたします」


 シリシアがクロハ達を案内する為、歩き出す。

 その後ろを、ハル達が横並びになり歩いている。


 リュークは騎士団の元に向かっていた。


「こちらへ」


 会議室に到着した一行は、順番に会議室の中へと入る。


 それぞれが椅子に座った後、リュークが戻ってきた。


「お待たせしてしまい申し訳ございません。それでは早速ですが、皆様が保護してくださった六名の子供達の今後について、話し合っていきたいと思います」


 そうして、会議が始まった。


 ☆ ♡ ☆


 会議を始めて数分後、子供達にどうしたいかを尋ねると──、


「こ、ここにいたい……」


 と、幼き五人の子供が恐る恐る言った。


 孤児院などもあるにはあるが、この子達がそこで幸せになれるかどうかは保証できない。


 だったら、本人達が望む事を叶えてやるのが大人の務めだ。


「えぇ。分かりました。後で国王にも相談する必要がありますが、おそらくは大丈夫でしょう。あなた達は、我々が引き取ります」

『ありがとう、ございます……!』


 五人の子供がお礼を告げた。

 しかもしっかりと頭を下げて。


「そうすると、後は(りゅう)(びと)族の少女のみですが……」


 リュークがハルの頭に直接語りかけた少女を見て言う。


「あなたはどうしたい?」


 クロハが優しく尋ねる。


「わ、我は……」


 少女はキョロキョロと、この場にいる者を見回した後、決意の表情を浮かべ、ハルの前に向かった。

 そして、ハルの前で跪く。


「え、えぇ!?」


 突然、目の前で跪かれた事で、ハルは驚きが隠せなかった。


「我は、あなた様に忠誠を誓います。我のみならず、他の子供も救ってくれた。そして、我の声を聞いてくれた。我は、あなた様の為に生きたい」

「クロハさん……」


 ハルはどうしていいのか分からず、隣に座るクロハに助けを求める。


「あなた、名前は?」

(りゅう)(びと)族、テルハと申します」

「テルハちゃん。いい名前だね。ハル君に忠誠を誓うって事は、これからハル君を守る為に色々行動してもらうことになるけど、それでもいい?」

「もちろんです。我は、忠誠を誓った者の為になら命を懸ける覚悟があります」

「うん。ハル君、私達でテルハちゃんを引き取ろうか」

「まぁ、クロハさんがいいのであればいいですが……て、テルハさん」

「はい」

「僕の為に命を懸けるのは無しです。僕は誰にも傷ついてほしくない。だから、テルハさんはまず、自分自身のことを優先してください。そうじゃなきゃ、僕は認めませんから」

「分かりました。我が主の命、心して従います」

「う〜ん……その堅苦しいのも無しにしてもらっていいですか……? 仲間なんですから、もっとこう……フランクに、楽しく行きましょう?」

「ふむ……。分かりました。善処致します」

「これ駄目なやつかな〜……」


「と言う訳で、テルハちゃんは私達の仲間に加えてもいいでしょうか?」

「もちろんですとも。皆様の元なら安心だ。この子達の事は我々が責任を持って育てますのでご安心ください」

「ありがとうございます」

「それでは、解散としましょう。シリシア様、この子達を頼んでもよろしいでしょうか? 私は国王様に話をしてきます」

「はい! 任せてください!」


 リュークとシリシア、五人の子供達が部屋を後にし、会議は終了した。


 ☆ ♡ ☆


 会議を終えたクロハ達は、多種多様の集まり(ワイドバラエティ)の活動拠点である家に向かっていた。


「テルハちゃんが仲間に加わったのはいいけど、私の家に住むとなると、ちょっと手狭かな……そろそろ引っ越そうとは思ってたけど、いきなりだといい物件ないよね……」


 クロハは、テルハが自分の家にやって来る事を考え、今後の事を考えていた。

 クロハ、ハル、ミルルの三人で住んでいる家。


 そこにテルハが加わるとなると、かなり狭くなってしまう。

 さらに、テルハは龍人族で、大きな尻尾が生えている。

 それだけでも少しスペースを取ってしまうので、どうするべきかをクロハは悩んでいた。


 そんな時、イリンがこんな提案をしてくる。


「もしよろしかったら皆さん、我が家に引っ越してきませんか?」

「え……い、いいの……!?」

「はい♪ リアンもミュリンも皆さんの事大好きですし、よくみんなで行動を共にするんですから、一緒にいた方がもっと楽しいじゃないですか♪ それに、ハル君がいたら私もミュリンもリアンも嬉しいので♪ 特にリアンは♪」




「へくしっ! ずずー。ん……?」

「どした〜? 風邪か〜?」

「いえ……なんでしょう……」




「どう、でしょうか……?」

「ミルルちゃんは、どう?」

「ミルル、リっちゃんもイっちゃんもミュっちゃんも大好きワン! 一緒に住みたいワン!」

「ふふ、テルハちゃんは?」

「我はハル様に仕えられるのであればどこでも」

「あはは……うん。じゃあ、一緒に住まわせてもらっても、いいかな?」

「はい♪ では、早速家に帰って二人に言って来ますね!」


 と言ってイリンは一人、走り去ってしまった。


「相変わらず行動が早いな」


 ハルはそう呟く。


「そうすると、荷物とか運ぶ準備しないとね。ミルルちゃん、ハル君、手伝ってくれる?」

「ワンッ!」

「もちろんです」

「どのくらいかかるか分からないけど、頑張ろうね!」

「「はい!(ワン)」」

「それじゃ〜!」

「「「えいえい」」」


 おー、と言おうとした時、テルハが口を開いた。


「荷物運びなら、一瞬で終わりますが?」

「「「え……?」」」



 翌日。


「一回で荷物を運んでくるって、どうすんだ? 馬車の荷台に積んだにしても、そう簡単じゃないだろ」

「クロハさん達は荷物が少ないんですかね?」

「う〜ん……よく聞かされてないんですよね〜。ただ、一回で引っ越しは終わるって言ってて」

「「「う〜ん……」」」


 現在、リアン、イリン、ミュリンの三人は家の外にいた。


 昨夜、クロハがやってきて、引っ越しの準備ができた。

 一回で荷物を運び終えるから部屋の確保だけお願い。

 と伝えに来たのだ。


 荷物があまりなかったとしても、一度に運ぶのは大変なはず。

 それをどうやって一度に運ぶのか。

 三人が思案していると──、


「────────ぃ」


「ん? 今なんか聞こえなかったか?」

「え? 気のせいでは?」


「──────────い」


「ほらやっぱり! 何か聞こえてるって!」

「「え?」」


 リアンとイリンが耳を澄ます。

 と──、


「お〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!」


「「「え……!?」」」


 空から声が聞こえてる事に気が付き、三人が空を見上げると、そこには黒い大きな生き物に乗ったハル、クロハ、ミルルがいた。


 ドシンッ……。


「「「……………」」」


 三人のすぐ近くに降り立った黒い生物。


 いや、黒いのはお腹と尻尾だけで、二つある翼の内、右翼は黄色。左翼は赤。

 右前足と右後ろ足は水色で、左前足と左後ろ足は緑。

 顔と角、瞳は紫色をしている。


 そんな生物の名は──、


「「「ど、ドラゴン!?」」」

「うん♪ エレメンタルスドラゴン。格好いいでしょ♪」

「か、格好いいけどクロハちゃん、何に乗って来てるんですか!?」

「え? だって、引っ越しするならこれが早いって」

「だからって、稀少なドラゴンを荷物運びに使うだなんて、罰当たりもいいところですよ!?」

「あれ? そういえば、テルハさんは?」


 クロハとイリンが話していると、リアンが一人足りない事に気がついた。


「我ならここにいるのじゃ」


 そう声が聞こえ、エレメンタルスドラゴンの体が発光。

 したかと思った次の瞬間、大きなドラゴンの姿はそこにはなく、あったのは龍人族のテルハの姿だった。

 しかも、素っ裸。


「ふぅ〜。久々にこの姿になると口調が戻ってしまうのじゃ」

「「「………………………えーーーーーーーーー!?」」」

「分かる分かる。最初はそうなるよね」

「ど、どどどどどどどどどどういう事ですかこれ!? な、なんでドラゴンがテルハさんに!?」

「何をそんなに驚いておる。龍人族がドラゴンに変身できるなど、当然の話じゃろうて」

「「「そ、そうなの……?」」」

「なんじゃ、知らんのか。無知じゃのぉ〜」


 オッホホホ、と笑うテルハ。


 そんなテルハにリアンがそっと服を着せてやる。


 そして、イリンは困惑していた。


「な、なんか昨日とキャラが違くありませんか?」

「うん。あっちが本来のキャラみたいなんだよね。昨日のは里で教わった礼儀作法だったらしい」

「そうじゃ。しっかりと使っておったのじゃが、一度ドラゴンに変身してしまうと全て元通りになってしまうのじゃ。それに、服を着ていたら服もなくなってしまう。全く、厄介なものじゃ。のぉ〜ハッちゃん♡」

「むぐぅ〜!?」

「「あっ!? また!?」」


 テルハは、近くにいたハルを強く抱きしめた。

 裸の状態のテルハの、生の大きな胸がハルの顔を圧迫してくる。


「いい加減にするワンッ……! ハル様が苦しそうワンッ……!」

「全く昨日一度変身してからと言うもの……! ハル君にベタベタベタベタと……! 離れなさいぃぃ……!」


 ミルルとクロハが、ハルを抱きしめるテルハを引き剥がそうとする。

 しかし、テルハの力は強く、全くビクともしない。


「「もう〜〜!!!」」

「んふふ〜〜♪ ハッちゃ〜ん♡」


 そんな四人を見て、リアン達三人は──、


(((修羅場が増えるな、こりゃ……)))


 と、思っていた。


 ☆ ♡ ☆


 荷物整理を終えたクロハ達は、お風呂に入っていた。


 ハルを誘ったのだが「入りません!」と力強く断られてしまい、リアンとミュリンの二人と買い物に出かけてしまった。


 なので現在、クロハ、ミルル、テルハの三人で入っている。


「ふぃ〜……気持ちいい〜……」


 湯船に浸かるクロハとミルル。


「お風呂、最高ワン……♪」

「犬人族が湯船に浸かるなんて、初めて見たのじゃ」

「最初は嫌だったワンけど、入ってみたら気持ちよくて、ハマっちゃったワン♪」

「お風呂は種族の壁を超えるのよ……♪」

「ふ〜ん」


 体を洗うテルハ。

 そんなテルハをクロハとミルルはジ〜っと見つめる。


「なんじゃ? 我の体になにかついておるか?」

「うん、ついてる。でっかいのが」

「わふ……おっきいワン……」

「ん? あ〜そうじゃろうそうじゃろう。なにせ、Vカップのおっぱいじゃからな。見たくもなるじゃろう」

「「ぶ、V!?」」


 なんと、テルハのカップ数は二人をはるかに超えていた。


「うぬらは何カップなんじゃ?」

「お、O……ワン……」

「え、Sよ……」

「ふ〜ん、へぇ〜、ほ〜ん! ちっちゃいのぉ〜! 我が一番大きい! これじゃ、ハッちゃんは我に惚れてしまうの〜♪」

「そ、そんな事分からないでしょ! ハル君はおっきいおっぱいが好きだけど、大きすぎるのは好きじゃないかもしれないよ?」

「負け惜しみじゃ〜」

「ぐぬぬ……!」


「そもそも、お主らはハッちゃんをどう思っておるのじゃ? 好きなのか?」

「そ、それは……わふ……」


 テルハの問いにモジモジしてしまうミルル。

 しかし、クロハは違った。


「好きだよ。一人の男性として」


 と、即答した。


「左様か。我も好きじゃ。一人の男としてな。彼ほどの強者は中々おらん。我は強き者と逢引する為に里を出たのじゃ。やっと見つけた原石は誰にも渡しはせぬぞ」

「わ、私だって! やっと出会えた運命の人を渡したりしないから!」

「ミルルも……ミルルも! ミルルもハル様の事、誰にも渡さないワンッ!」

「ちっぱい達にな〜にができると言うのじゃ〜? あ〜ん? ハッちゃんは大きなおっぱいがだ〜い好きなんじゃろう? じゃったら、我に敵う訳なかろうて」

「だから! 大きさが全てじゃないから! 包容力とか、ハル君に寄り添う心とか、そういうのが大事だから!」

「い、癒しになってあげるのが、大事ワンッ!」


 そんな三人の言い争いは、キッチンで料理を作っているイリンにも聞こえていて……。


「やっぱり、大きい方がいい……ですよね……」


 Fカップのおっぱいを見て、一人落胆していた。


 しかし、あまりにも三人がうるさく言い争うので、落胆よりも──、


「いい加減に静かにしなさーーーーいっっ!!!」


 怒りが湧いてきたイリンだった。

 ようやっと三人目のヒロイン、テルハが登場いたしました〜!


 この作品が頭に浮かんだ時に、最初に浮かんだキャラ。

 ハイル、ハル、クロハ、ミルル、テルハ。


 その全員がようやく揃いました!


 いや〜長かった!(さっさと執筆すればいいだけの話なんですけどね……すみません……!)


 ですが、こうしてちゃんと皆様にテルハを知っていただくことができて、とても幸せです!


 ちょっと上から目線で、常に二人にマウントを取る爆乳少女ですが、いいところも沢山ありますので、これからテルハのことも愛していってくださると、とても嬉しいです……!


 ついに役者は揃ったので、次からは展開が進み始めます。

 伏線張りまくり、謎残しまくりの次話にはなりますが、ここから第一部完結に向けて大きく動き出しますので、楽しみにしていていただけますと幸いです……!


 この後、ハイル、ハル、クロハ、ミルル、テルハの五人のキャラ紹介を投稿させていただきますので、そちらを見てさらにこの作品をお楽しみください♪

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