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第26話 リアン、イリン、ミュリンの決断

※時系列がおかしい事に気がついたので、急いで改稿させていただきました……!

 このようなミスを犯してしまい、大変お恥ずかしい限りです……!

 今後、このようなミスは犯さないように気をつけますので、変わらぬご拝読のほど、よろしくお願い致します……!


変更点)

変更前=『リアン達がガイルと揉めたのが、クロハ達がまだダンジョン内にいて、ユズィ達が戦闘中だったと言う事』


変更後=『リアン達がガイルと揉めたのが、クロハ達がダンジョンから戻った翌日で、クロハとミルルがショッピングをしている最中だと言う事』

 クロハ達が、ミルルと出会っている頃。


 エリィ、ドゥーザと行動を共にしていたリアン達は以前見つけたモンスターの爪を複数見つけたので、ギルドへ持ち帰る為に一度ダンジョンから出ていた。


「あ、リアンさん、イリンさん、ミュリンさん。どうされました?」

「イシュちゃん。これ」

「あ、この前の……」

「うん。しかも今回は一つじゃないんだ。五個見つけてさ」

「五個も……一旦ギルドに向かいましょう。そこで、厳重に保管して、しっかりと調べさせていただきます!」

「うん」


 そうして、リアン達はイシュと共に一度、ギルドへと戻る事にした。

 リアン達がダンジョンを出て、イシュと共にギルドへ向かった最中に、ユズィ達は激闘を繰り広げる事となった。



 ギルドへ到着したリアン達。


「ちょっと待っててくださいね」


 イシュが自身の机へと向かう。

 リアン達はカウンターの外で、イシュの戻りを待っている。


「あれ!?」


 イシュを待っていると、イシュが声を上げた。


「ど、どうしたのイシュちゃん!」

「あ、いや、な、なんでもないです……! き、気にしないでください……!」

「そ、そう……?」


 イシュの声に驚いた三人。

 リアンが声をかけるが、イシュには何かをはぐらかされてしまった。

 気にするなと言われてしまったら、何もできない。

 三人は何があったのか気にはなるが、深く聞いては迷惑になると考え、何も聞かない事にした。


「それじゃあ、これ」

「は、はい! しっかりと承りました!」


 イシュは少し慌てたような表情を浮かべながら、リアン達から爪を受け取った。


「あ、そうだ」

「ん?」


 イシュが何かを思い出したように、三人に向き合う。


「一度、ご帰宅してみては?」

「え? でも、ダンジョンの探索は……」

「この爪の発見報告書をご記入していただきたいのと、ガイルさんにもそろそろ復帰していただきたいので、一度ご帰宅してみてはと思って」

「なるほどね……」


 イシュの提案に、リアンとミュリンは考える。

 その一方、イリンだけは──、


「ガイル……」


 苦虫を噛み潰したような顔を浮かべ、持っている杖を両手で強く握りしめていた。


「うん。そうしようかな。ガイルにも話を通したいし」

「はい! では、ギルマスへは私から話しておきますね!」

「うん。よろしく」

「では、これ。発見報告書です。期限は明後日までとなりますので、よろしくお願いします」

「うん。分かった。じゃあ、また」

「はい! また!」


 リアン達は、一度帰宅する事にした。

 ギルドを出ていく三人の背中を見送ったイシュ。

 完全に三人の姿が見えなくなった所で、急いで自身の机に向かい──、


「なんで!? なんでないの!? リアンさん達から預かった爪、ここに入れといたはずなのに……!?」


 先程、リアン達に誤魔化した事。

 それは、以前預かった爪が、保管していた場所になかったから。


 大事に保管して調べますと約束したのに、調べる前に紛失してしまった。

 そんな事が知られれば、受付嬢としての信頼や、ギルドへの信用がなくなってしまう。


「どこ……どこ……どこにあるの……!?」


 イシュはこの後、数十分に渡って探したが、結局見つからなかった。


 ☆ ♡ ☆


 イシュに爪を渡し、一度帰宅し発見報告書を記入して提出した翌日。

 クロハがミルルと共にショッピングをしている頃。


 報告書の間違いがないかの最終確認を行いにギルドへ行っていた三人は、それを終え、活動拠点にしている家に戻ってきた。


 家の中に入ると、ガイルと誰かの話し声が聞こえてきた。


「またデルズでも来てんのか?」


 ミュリンがそう言いながら、二人と共にリビングへと行く。

 すると、そこには、ソファの上で女性と座るガイルの姿が。


 しかも、女性の肩を抱き寄せ、顔を近づけた状態で話している。

 女性の服は少し乱れており、何をしていたのかは言わずもがなだった。


「ガイルさん……」

「ん? おぉ、帰ったのか。ごめんな。帰ってきちまったからまた今度な」

「は〜い♡」


 イリンの声に気がついたガイルはそう言って、それを受け女性は立ち上がり、イリン達の横を通過する。

 女性からは甘い香りがして、三人は顔を(しか)めた。


「ガイルさん、今の女性は……?」


 イリンが少し震えた声で尋ねる。


「ん? あぁ、その辺歩いてた女だよ」

「一般の方なんですよね?」

「ん? あぁ、そうだぜ? 俺が英雄パーティーのリーダーだって言ったら、すぐに抱かせてくれた」

「前に言いませんでしたっけ……? そういう行為を行うのであれば、そういうお店に行ってくださいと……」

「あ? んなもん俺の勝手だろうが。つ〜か、活動資金を使うなってお前が言ったんだろ? 金もねぇのに店なんて行ける訳ねぇだろうが。馬鹿かテメェは」

「ぐっ……だからと言って、一般女性を連れ込むのは違うんじゃないですか……?」

「ごちゃごちゃうるせぇな〜。俺は男だぜ? お前ら女と違って溜まるんだよ! 発散しなきゃ苦しいんだ。テメェら女には分かんねぇだろうがな。あ、なんなら、お前が相手してくれてもいいんだぜ? イリン」

「ぐっ……!」

「おい、ガイル!」

「んだよ。冗談だよ冗談。ったく口うるせぇ奴ばっかで嫌になるわ。これだから女は……」


 ガイルは、差別と言う言葉をまとめたような男だった。

 男である自分が一番強い。一番偉い。何をしてもいい。

 女は弱い。戦いなんてしなくていい。家にいろ。自身の欲を発散する道具。そんな風にしか女性を見ていなかった。

 その為、かつては仲間を奴隷扱いしており、何度もハイルと衝突していた。


「それに、これはなんですか……?」

「あ? 食いかけ飲みかけに決まってんだろ。見て分かんねぇのか?」

「そうじゃなく、なんで片付けないんですか……?」

「あ? なんで俺が片付けなきゃいけねぇんだよ。こういう片付けは女であるテメェらがやる事だろうが」

「ぐっ……!!!」


 イリンは杖を力強く握りしめる。

 これまで、何度も何度も何度も必死に耐えてきた。

 しかし、ハイルを殺し、挙句、ハイルに罪を被せ、身勝手に自分勝手に行動し、自分達を道具のようにしか見てない。

 そんなガイルの態度に、イリンの我慢は限界を迎えていた。

 そして、次に放たれるガイルの言葉で、イリンの怒りが爆発する事となる。


「あ〜あ。せっかくハイルがいなくなって自由に気楽に気ままに過ごせると思ったのによぉ。これじゃあいつがいた頃となんにも変わんねぇぜ」

「「っ!!!」」


 それを聞いたリアン、ミュリンは怒りを宿した瞳を大きく開く。

 が、それと同時にイリンの怒りが爆発し──、


「いい加減にしてくださいっ!!!」

「あ?」

「いつもいつもいつもいつも!!! 私達の事を道具としてか見ず、ハイルの事を常に馬鹿にして!!! あなたは何様なんですか!!! ただのパーティーリーダーでしょう!!! リーダーだからと高をくくって何もしないあなたに、そこまで偉そうに何かを指示したり何かしたりする資格はありません!!! 今すぐに態度を改めなさい!!!」


 イリンの怒鳴り。

 それは、リアンもミュリンも初めて聞くものだった。

 目元に涙を浮かべ、息を切らしながら怒鳴るイリン。

 その様子を見れば、どれだけ怒りが溜まっていたのかが分かる。


 しかし、そんなイリンの怒鳴りに対し、ガイルは──、


「イリン。テメェ……誰に口利いてんだ? なぁ、おい」


 ガイルは低い声でソファから立ち上がり、イリンに近づいていく。


「お前よぉ、ただ顔がよくてスタイルがいいだけの女の分際で、英雄に任命された最強の俺に対していい態度取るじゃねぇか」

「っ……!」


 ガイルはイリンの頬を掴む。


「ハイルがいなきゃ何もできないクソ無能が、調子こいてんじゃねぇぞ? テメェは雑務を押し付けるだけの奴隷に過ぎねぇんだ。自身の立場をわきまえろや!」

「キャッ!?」

「「イリン!!!」」


 ガイルは、頬を離した後、掴んでいた右手の甲でイリンの右頬を(はた)いた。


 (はた)かれたイリンは、真横に吹き飛び、床を転がる。


「ガイル、テメェ!!!」


 ミュリンがガイルに攻撃を加えようとした瞬間──、


重力(グラビティ)

「ぐっ!?」


 突然、ミュリンが床に突っ伏してしまった。


「おいおい、忘れたのか? 俺に “テメェらの力は通じない” って事をよぉ!」

「ぐっ……テメェ……!!!」

「イリンの態度のせいで俺はひどく傷ついた。なぁ、ミュリン。お前の体で俺を癒してくれよ」


 ガイルは、床に苦しそうに突っ伏すミュリンに近づき、しゃがみ込んで顔を近づけ言う。


「だ、誰がテメェなんかに……!!!」


 ミュリンはガイルを睨みつけながら、声を震わせ言う。


「はぁ……お前さ。まだ自分の立場分かってねぇの? お前らは俺に力が通じない。俺に逆らえないの。だったら黙って俺に従う他ねぇだろ?」

「くっ……!」


 ガイルがミュリンの顔に手を伸ばした瞬間──、


「分かりました!」

「「っ!」」「あ?」


 イリンの方にいるリアンが、突然大声を上げた。


「何が分かったんだ?」

「あなたに従います。夜伽はできませんが、それ以外なら全てやりましょう。あなたは自由に過ごしていてください」

「リアンっ!」「なんで!?」

「あはは!!! 流石はリアンだ! 理解が早くて助かるよ! お前らの極上な体を味わえないのは残念だが、それは他の女で補うからいいや。でも、しっかりとそれ以外はやってくれよ? じゃなきゃお前達がここにいる意味がない」

「はい……分かってます……」

「じゃあ、リアンの理解力の高さに免じてお前らを許してやるよ。しっかり働けよ? じゃなきゃ、お前らを肉体的にも精神的にも殺さなきゃならないからな。まぁ、俺はそれでもいいが。あはははははは!!!」


 そう言いながら、ガイルはどこかに出かけていった。


「っ……」


 ガイルがいなくなり、ミュリンは自由に動けるようになった。

 ミュリンの体を押さえつけていたのはガイルの力……なのだろうか?


「おいリアン! なんで受け入れたんだよ!!!」

「そうです……なんであんな最低な奴の為に、私達が我慢をしなくちゃ……」

「二人共、話がある」

「「……?」」


 そう言うリアンの瞳には、強い覚悟が宿っていた。


 ☆ ♡ ☆


 リアンがガイルに従うと言った、その日の夜。


 ガイルに食事を作り、風呂を一番に入らせ、心地よく眠らせた後、三人は多くの荷物を持って外に出ていた。


「それじゃあ、行きましょう」

「あぁ」「はい」


 三人は、家に鍵をかけ、鍵を玄関前に捨て、歩き出した。


 そう。リアンが二人に話したのは家を出る事。


 リアンがあの場面で一旦従うことを受け入れたのは、ガイルを捨て家を出る準備をする為だった。


 家を出る話を聞いた二人は、反対などせず、むしろ喜んで受け入れた。

 たった一つ、気がかりな事があるとすれば、ハイルがどう思うか、と言う点だった。


 皆が住んでいたこの家は、ハイルが一生懸命お金を貯めて買ったもの。

 それを無断でガイルに明け渡し、三人が出ていくなんて、ハイルが知ったら悲しむかもしれない。

 そこだけが、三人にとっては気がかりだった。


 しかし、状況的に悩んでいる暇はないのでハイルに申し訳ない気持ちを抱きつつも、三人は家を出た。


「家を出たのはいいですけど、どこに行きましょうか……行く当てなんて、ないですよね……」


 イリンが言う。


「まぁな。行く当てがあったとしても、夜に急に来られたって困らせるだけだしな」

「今日は野宿だと思って。その為に色々必要な物を持ってきたんだから」

「は〜い」「分かってる」


 三人は、野宿用の荷物や、自分達の荷物を持ちながら野宿ができそうな場所を探し歩いていた。


 そんな時だった。


「あれ? イリンちゃん?」


 突然、後ろから声をかけられた。

 三人が後ろを振り向くと、そこにいたのは──、


「クロハちゃん!」


 クロハとミルルだった。


「どうしてこんな時間に外に?」

「私達はお風呂屋さんに行ってたの。ミルルちゃんに体験してほしくて。ね〜」

「わふ〜♪ とっても広くて、気持ちよかったわふ〜♪」

「っていうか、それを言うなら三人こそ、こんな時間にそんな大荷物持って何してるの?」

「あ、いや、これは、その……」


 イリンは困っていた。

 なんて言ったらいいのか。何を言っていいのか。どこまで言っていいのか。

 それが分からずあたふたしていると、リアンが頭を下げ──、


「クロハさん、ご迷惑だと言うのは重々承知なのですが、一つお願いがあります」

「お願い?」

「私達三人を、クロハさんのお家に泊まらせていただけませんか……」

「お、お願いします……!」

「頼む……!」


 リアンが頭を下げるのを見て、イリンとミュリンもそれに続く。


「も、もちろんそれは全然構いませんけど……ミルルちゃんは、どう?」

「す、少し怖いワンけど、クロハさんの知り合いなら大丈夫ワン……」

「そっか。分かった。では皆さん、こっちです」


 クロハとミルルが歩き出す。

 しかし、そんなクロハにリアンが声をかける。


「頼んだのはこっちですけど、そんな簡単に泊まらせていただいていいんですか……?」

「え? もちろん。お泊り会とか楽しそうじゃないですか。それに、何か困ってるんだな〜って言うのは分かるので。冒険者同士、助け合い、でしょ?」

「クロハさん……」

「クロハちゃ〜ん!」

「うわぁ! イリンちゃん、危ないよ〜」

「だって〜……! クロハちゃんが優しすぎるんだも〜ん……!」

「よしよし」


 イリンがクロハに抱きつき、頬をクロハの胸に擦り付ける。

 そんなイリンを、まるで子供をあやすかのようにクロハは頭を撫でる。


「それじゃあ、行きましょう」

「はい。ありがとうございます」

「ありがとおおお……!」

「感謝する……!」


 そうして、リアン達はクロハの家に泊まる事になった。


 ☆ ♡ ☆


 クロハの家にやって来たリアン達。

 クロハの家で風呂に入り、さっぱりさせてもらった。


「お風呂、ありがとうございました」

「いえいえ。さっぱりしました?」

「はい。おかげさまで」

「それならよかった。家を出る前に入って来たりしなかったんですか?」

「あんな最低野郎が入った後のお風呂になんて、もう二度と入りたくないです」


 リアンが、今まで聞いたこともないような低い声で呟いた。


「そ、そっか。な、なんかごめん……聞いちゃいけない事だった……?」

「あ、い、いえ! 私こそごめんなさい……! 嫌な事を思い出してしまって、つい……」

「クロハちゃん」

「ん?」

「これから、重たい話になるんだけど、聞いてもらってもいい?」

「うん。もちろん。話してくれるなら、話せると思ってくれるなら、なんでも聞くよ」

「ありがとう」


 クロハはベッドの上に座っており、ミルルはそんなクロハの膝の上に頭を乗せてすでに眠っていた。

 リアン、イリン、ミュリンの三人は、床に座りクロハの方を向いていた(クッションがあるので三人の足が痛むことはない)。


「実はね……」


 三人は、昼間に起きた出来事を全てクロハに伝えた。


 この後、クロハが大激怒するのは言わずもがな。

 いかがだったでしょうか……?


 ガイルと言う、中々に最低で最悪なクソ野郎を書くのは本当に心苦しくて、執筆中に何度も顔を顰めてしまっていました……。

(確認の為に読み返している際も、顔を顰めていました……)

 この構想が頭に浮かんだ時、物語上仕方のない事だとしても、こんな酷いことを書かなきゃいけないのか……と、胃がキリキリしてしまったのを覚えています……。


 ご拝読くださっている皆様に、不快な思いをさせてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいなのですが、どうか物語上の致し方ない展開だと受け入れていただき、舌打ちをしながらでも、流し読みしていただけましたら幸いです……!

 ここでの出来事が、今後そこまで大きくはないかもですが、物語に絡んできたりするので、詳しくは覚えてなくても平気ですが、微かに、記憶の片隅にでも置いといていただけると嬉しいです……!


 次話では、リアン達三人が多種多様の集まり(ワイドバラエティ)を抜けるべくギルドへ行ったり、そして、ついにイリンがこれまで黙っていた真実を皆に告げたりなど、展開が進むお話となっております!


 真実を知った皆はどう思うのか、どう行動するのか。

 残されたガイルはどうなるのか、リアン達は今後どうするのか。

 色々と楽しみに、この先もご拝読いただけますと幸いです……!


 それでは、次話をお楽しみに♪

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