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銃で戦うダンジョン探索  作者: トロロ将軍
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初めてのパーティー探索

「じゃあ、行きますか」


「は、はい……よろしくお願いします」


剣淵ダンジョンの入口前に俺と白石さんは並んで立っていた。

パーティーを組んで初めての探索。ついさっき組むことを決めた俺たちだが、間を空ける理由もないのでそのまま今日潜ることにしたのだ。


「緊張してる?」


「……はい、少しだけ」


少しだけ、とは言っているが顔はしっかり緊張している。

まぁ、初対面の人間とパーティーを組んでいきなりダンジョン探索だ。無理もない。


「まぁ無理しなくていいよ。戦闘は俺がやるから」


「は、はい……お願いします」


白石さんが軽く頷いたのを確認して、俺たちはダンジョン内へと足を踏み入れた。







剣淵ダンジョンの中をしばらく無言で歩く。

白石さんは静かに俺の少し後ろをついてきている。


何か話した方が良いのだろうが、正直俺も白石さんもコミュ力が高い訳ではないのでこういう時の話題に困る。


「……あ、あの」


「ん?」


しかし、その気持ちは白石さんも同じだったのだろう。

この状況を打破したかったのか、彼女の方から俺に声をかけてきた。


「さ、斎藤さんのそ、その装備……凄いですね」


「これ?まぁ、ちょっとした趣味みたいなもん」


そう言って吊り下げているHK416を軽く持ち上げる。

白石さんは目を丸くしてそれを見ていた。


「えっと……探索者の方って、鎧とか……ローブとかが多いイメージだったので……」


「あー、まぁ普通はそうだな」


まぁ、やっぱそこ気になるよな。

確かに俺が白石さんの立場でも、同じことを聞いたと思う。

実際、周りを見れば剣士や魔法使いっぽい装備ばかりだ。


「その……全身、軍隊みたいな装備で……」


「そうだね。今回は米陸軍の装備で揃えてみた」


「べ、米陸軍……」


白石さんが小さく復唱する。

多分白石さんはこういう装備に疎いのだろう。

まぁ、迷彩服にボディアーマーなんて、知らない人から見たら全部同じに見えるだろう。


「大丈夫。ちゃんと中にダンジョン素材で作ったプレート入れてるし、防御も問題ないぞ」


「そ、そうなんですね……」


そう言ってボディアーマーの胸部分を拳で叩く俺を白石さんは困惑の目で見ている。

納得しているのかしていないのか分からない反応だが、とりあえず会話は成立している。


「まぁ、そのうち慣れるよ」


そう言って前を向く。

そう、俺と組むならこの見た目に慣れて貰わないといけない。

普通の探索者が装備する鎧やローブは俺のスタイルに合わない。

俺に必要なのは硬い金属の鎧ではなく、弾倉を沢山身に着けることのできる装備なのだ。


「……!」


そんなことを考えていた時、前を見ていた白石さんが小さく声を上げた。


「ゴ、ゴブリンが出ました……!」


前方の通路。

鉄の剣を持ったゴブリンが1体、こちらに気付いて歩いてくる。

白石さんは慌てて短剣を取り出し、両手で構えた。


「だ、大丈夫です……!私も戦えます……!」


その声は少し震えていた。


「いや、大丈夫」


俺は一歩前に出る。

HK416を構え、ホロサイトを覗く。

距離は15m程、十分すぎる。


狙いを定め引き金を引くと、乾いた銃声が響く。

そしてゴブリンの頭部に風穴が開き、そのまま霧へと変わっていった。


「……」


静寂。

白石さんが固まっている。


「……白石さん?」


声を掛けるが反応がない。


「……え?」


数秒後、ようやく声が出た。


「え……?え……?」


完全に語彙力を失っている。


「い、今の……一瞬で……」


「まぁ、頭撃てば一発だからな」


軽く言うと、白石さんは信じられないものを見るような目で俺を見ていた。


「……す、すごいです……」


ようやく出てきた言葉がそれだった。


「いやまぁ、慣れればこんなもんだよ」


実際、士別で散々練習した成果だ。


「で、回収頼んでいい?」


「あ、は、はい!」


我に返った白石さんが慌てて頷く。


そして――


「【ストレージ】……」


小さくスキル名を呟いた。

すると、地面に落ちていた魔石と鉄の剣が淡い光に包まれ――

次の瞬間、スッと消えた。


「……おぉ」


思わず声が漏れる。

バックパックも何も使っていない。

ただ、消えた。


「今ので……収納しました」


「……マジで?」


「は、はい……」


「……すげぇ」


思わず本音が出た。

これだよこれ。

こういうスキルが強いんだよやっぱり!


「そのスキル、どれくらい入るの?」


「えっと……まだレベルが低いので……鉄の剣なら、20本くらいが限界です……」


「いやいや、十分すぎるだろ」


今まで6本で悲鳴上げてた俺は何だったんだ。


「重さは?」


「か、感じません……」


「最高かよ」


思わず笑う。

白石さんは少し戸惑ったようにこちらを見ていた。


「……あの、お役に立ててますか?」


白石さんが不安そうな声でこちらを窺う。


「立ってるどころじゃない。めちゃくちゃ助かってる!」


即答だった。

そう言うと、白石さんは少しだけ嬉しそうに目を細めた。


「……よかったです」


小さくそう呟く。


「じゃあ、このまま行くか」


「は、はい!」


さっきよりも少しだけ声に力がある。

そのまま通路を進むと、すぐに次のゴブリンが現れた。


「また来たな」


引き金を引く。

ヘッドショットで霧へと変わる。


「……はやい」


後ろから小さな声が聞こえる。

そのままさらにもう1体。


狙いを定めて射撃。

はい、終了。


「……えっと」


「回収お願い」


「あ、はい!」


落ちたドロップ品を【ストレージ】で回収。

そうして消えるドロップ。


「……快適すぎる」


思わず呟く。

今までの“運搬地獄”が嘘みたいだ。


「これなら……」


自然と口元が上がる。


「かなり奥まで行けるな」


戦闘は問題ない。

ドロップ品運搬の問題も解決した。


つまり――


「これで稼ぎ放題ってわけだ!」


その言葉に、白石さんが少し驚いたようにこちらを見る。

だがすぐに、小さく頷いた。


「……がんばります」


その声は、さっきよりもしっかりしていた。

こうして俺の新しいパーティー探索は始まった。


戦闘担当の俺と、運搬担当の白石さん。

まだぎこちない二人だが――


「……いい感じじゃね?」


小さく呟く。

このパーティー、思ってたよりもずっと強いかもしれない。

そんな予感を感じながら、俺はさらに奥へと進んでいくのだった。

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