第四十話 道中婚約
第四章 僕と、壁の街と、婚約の話
第四十話 道中婚約
商業都市タイズを出発してから四日目、南の町ピネルで補給を済ませた僕らは壁の街ニキスへと進路を取ることにした。
旅路は順調で、道中では行路に迷い込んだ魔物が何度か襲い掛かってきたが、僕とリスタルであっさりと片づけた。
素材もいくつか手に入り、夜の合成訓練ではより強力な剣にならないかと僕は何度も合成を重ねた。
結果は――。
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白銀の剣
【鉄穿ち】【切れ味極大】【岩石断ち++】【鑑定:鉱石++】
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白銀の剣
【自然回復強化+】【風の太刀+】【毒付与+】
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コンセプトとしては右手には攻撃系のスキルを集め左手にそれを補助するスキル。
ちなみに【筋力強化】が使える剣はセットになっている【ゴーレム】スキルの都合、ガネットがゴーレムの姿になるときに必要なので彼女に預けることにした。
筋力強化自体は確かに強力なスキルなのだが、僕自身がキチンと体を鍛えられればあの動きが可能のはずなので、しばらく頼らずにやってみようと思っての判断だ。
リスタルの剣も合成をしようとしたのだが、ガネットからの助言でしばらくは強化しない方針となった。
いわく「素材の特性で付与されるスキルが異なってくル。せっかク氷系でまとまっているのだからその特性が伸びそうなスキルを付与したほうがいイ」のだそうだ。
とにもかくにも順調に旅は進み、僕たちは壁の街ニキスのそばまでやってきていた。
そして、その夜。
リスタルといつもの訓練を行っているさなか事件は起こった。
「これでどう……!」
三十六撃目の攻撃を避け、僕は左から振りぬかれるリスタルの一撃を身をかがめ避け切った。
続けて左に跳ぶ。見えてはいないが、彼女から振り下ろされるだろう縦切りを回避する。
鋭く風を切る音。
僕の予測通り、リスタルは縦に剣を振り下ろしていた。
事前にその範囲から逃れていた僕は体を回し、地面に膝をつき次の彼女の攻撃を見定める。
リスタルは横に逃げた僕を追い、体をねじり、こちらに踏み込んでいた。
その勢いを生かし、左右に持った剣を両方とも振り下ろしてくる。
二本同時に攻撃を行うことで、線ではなく面での回避を強いてくる二刀流特有の攻撃方法。
(だとすると取るべき行動は一つ)
僕はとっさに前に出て、振り下ろされる彼女の手首を抑えた。
「あれ!?」
「あ……」
しかし攻撃の勢いを受け止め切れなった僕は、力の方向に体がねじれ、流されてしまった。
攻撃を受け止めるつもりでいたので、手首を離さなかった僕はリスタルともども地面に転がってしまった。
どさりという音と、柔らかい感触が体に当たる。
僕はリスタルを押し倒すような形で、彼女の体は僕の下敷きになっていた。
「ご、ごめん」
「間に合った……」
「?」
リスタルの人形のような整った顔が白い頬がゆっくりと赤味を帯びていく。
なぜだろう、その表情に僕は目が離せなくなっていた。
彼女はゆっくりと瞬きをし、口を開いた。
「ラルド……私と婚約したことにしてほしい」
「えええええ!?」
僕は驚き、飛びのき、一歩、彼女から距離を取った。




