12話「婦人達の復讐」
「クズ女にはしつけが必要ね! あなたが誰とでも寝る節操のない女だって噂を流してやるわ! 二度とこんな思い上がったことをしないように体罰を与える必要もあるわね! その綺麗なドレスをこの場で引き裂いてやる! イエーガー公爵家から不当に奪い取った慰謝料で買ったものなのだから私が傷つけても罪には問われないわ! 慰謝料で買ったアクセサリーは返して貰うわよ! あなた達取り上げなさい!」
「「「承知いたしましたロビサ様!!」」」
三人の手が私に向かって迫ってくる。
「止めて下さい!」
ドレスとアクセサリーは女王様から頂いたものです。誰かに渡すことも傷つけさせることもできません!
非力な私には身をかがめ、自分を守ることしかできなかった。
私に伸びてきた婦人たちの手は、私に触れる寸前別の誰かに掴まれた。
「ぎゃあ!」
「いやーー!」
「なんなのっ!?」
「やめてっ!」
ロビサ様とトーマ子爵夫人とコッホ子爵夫人とヴァイル男爵夫人が、手を後ろで締め上げられ床に膝を突いていました。
「私は元公爵夫人よ! こんなことをしてただで済むと思っているの!!」
ロビサ様が自身の腕を掴んでいる者を睨み、喚く。
会場がざわつき始め、会場にいた人たちの視線が私達に集まっていた。
「それはこちらのセリフですわ」
威厳のある声が響き、会場のざわめきが一瞬で静まった。
高貴なオーラを纏った存在感のある女性が、凛とした姿勢で立っていた。
「女王陛下……!」
女王陛下の登場に会場にいた人たちが貴族の礼をする。私も立ち上がりカーテシーをした。
「私のお気に入りの令嬢に随分と乱暴な真似をなさるのね、イエーガー公爵夫人。夫と息子を捨てて実家に帰ったから、今はザックス伯爵令嬢でしたわね」
ロビサ様と取り巻きの夫人たちの顔が、一瞬にして蒼白になった。