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13話「女王陛下」


会場にいた人たちはおしゃべりを止め、女王陛下に注視している。近からず遠からずの位置に立ちこちらの様子を観察している。


余計なことには巻き込まれたくない、だが何が起きているのかは知りたいという心理が、距離に現れている。


「何が起きているのか、説明してもらえるかしら?」


女王陛下がゆったりとした口調で話す。口調は穏やかだが王族としての威厳に満ちていた。


一人の淑女が女王陛下に近づき事情を説明した。おそらく女王陛下の影の一人だろう。

 

「ザックス伯爵令嬢とトーマ子爵夫人とコッホ子爵夫人とヴァイル男爵夫人が、アリシア・フィルタ侯爵令嬢を後ろから突き飛ばしました。アリシア様は突き飛ばされた衝撃で床に膝を突きました。先程名前を上げた四人の女性が倒れているアリシア様に暴言を吐いたのです」


淑女の言葉に会場から息を呑む気配がした。


皆が驚くのも無理もない、パーティー会場で格下の貴族が格上の貴族に乱暴を働き、よってたかって暴言を吐いたのだから。


「暴言とは具体的にどんなことを言ったのかしら?」


「アリシア様が女王陛下にあることないこと吹き込んだ。女王陛下はアリシア様の言葉だけを信じ、影を貸された。影はフィルタ侯爵家に買収され、イエーガー公爵家の嫡男のレイモンド様の不貞の証拠を捏造した。レイモンド様が婚約破棄されるのは不当であり、イエーガー公爵家が多額の慰謝料を支払わされたことに納得がいかない……というようなことを申していました」


「そうですかその四人は私が貸した影が買収されるような愚か者で、レイモンドの不貞を捏造したと思っているのですね」


女王陛下がちらりとロビサ様と取り巻きの三人を見る。四人の女性はビクリと肩を震わせた。


「他にもこう言っていました。そもそもこの婚約は、アリシア様がレイモンド様に一目惚れし、フィルタ侯爵がイエーガー公爵に泣きついて来たので仕方なく結んだもの。レイモンド様はアリシア様と婚約しなければ、もっと良い家の令嬢と婚約できたと」


「随分と自分たちに都合のいいように解釈していたのね、他にはなんて言っていたのかしら?」


「アリシア様はイエーガー公爵家から奪った慰謝料で、ドレスや宝石を買い贅沢をしている。アリシア様にはしつけが必要だ、アリシア様が社交界で生きていけないように酷い噂を流す。アリシア様のドレスを破り恥をかかせる、イエーガー公爵家から不当に奪い取った慰謝料で買ったドレスだから破いても問題ない、アクセサリーも慰謝料で買ったものだから返して貰う」


淑女が先程あったことを正確に話す。


「それからこうも言っていました。女王陛下もろくでなしの無能、アリシアの言葉だけを信じるなんて女王陛下は酷い、こんな女を信じるなんて女王陛下は見る目がない、あなたの味方をした女王陛下が許せないと」


「まぁ、そんなことを」


女王陛下に暴言を吐いた事が知られ、ロビサ様と取り巻き三人は真っ白な顔でがたがたと震えていた。


会場からもどよめきが起こった。王族主催のパーティで女王陛下の悪口を言ったのだ、ただで済むはずがない。

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