アウルベーン‐IF観測ゲームプレイ記録物語☆
アウルベーン‐IF観測ゲームプレイ記録物語
秩序、この全宇宙を守護する、悪の帝国に対する前線概念である。
人類、人が人である為に機能する集合概念。
銀河、秩序に酷似する、宇宙の守護を目指すモノ、ダークマター。
遠い遠い、クリーム色の空間が周囲を満たし、そこに現存世界で無敵の艦隊を有する女が居る。
「三帝国ほぼ壊滅したか、でも一発逆転の勢力を引き継げただけマシか。
うん、あの難易度でこいつらだけでも逃がせれただけ、十分にやった方だろう」
女の名はハスラー、俗にハスラーの物理で無双艦隊を絶対支配する最古の神々の一柱である。
女の目の前のディスプレイに上から下に流れる文字列、それが急に途切れて一つの情報だけを提示して止まる。
第八ステージエンド。
「はぁー、まったく持ってつまらないつまらない、やってられませんわ」
彼女は憤慨しながらも思う、そう、今回も間に合わなかった、意味不明な終焉は成った、あとは何も出来ずに終わりを待つだけ。
「36000個戦域艦隊? 詰まらなさ過ぎて呆れてモノも言えませんわ。
どうして空気も読まずに、これほどの戦力を用意するのか、ゲームバランスというのを考えて欲しいですわ」
アウルベーンという、頭を一つと言わずに、無限なほどに遥か彼方の遠い世界に至った、最上位世界に進行していたのだ。
それを察知されていのも驚きで、いつの間にか迎撃されていたのは言葉も無い。
「アレも何もかも完成してない現点において、コレに対抗できるはずもない」
彼女の艦隊は、最古の神の特権とも言えるアレで、無敵で無双。
どれだけ無限の熱量と情報を極めに極めても、絶対の強度を貫き通せる法則はありえないのだ。
「だが、、、ふぅ、だけど、どうせ巻き戻る、いいのですわ、次に巻き返せれば、少なくとも負けでは、、ない」
口惜しいだけの、負け惜しみだと思うが、言ってやらないとやりきれない。
「操縦几、十機を出しなさい、次の世界に離脱しますわよ」
誰も居ない艦橋で彼女は言う、彼女を構成し、艦隊を真に構成するモノたちに向けて。
「標的、離脱しました」
「そう」
アウルベーンゲーム委員会、その主席座から見える光景に一切の変わりは無い。
だが、あの敵対者の脅威度を精確に把握したのは、真に優秀なる彼女だけだった。
「そう、今回も逃げられた、まあ予想の範囲内だ」
彼女は呟く、想定の埒外は一つ、ダメージが絶無だった点。
敵は最古の神、大量の運命力を投射した攻撃で、殺せはしないが、なんらのダメージを与えられる考慮していた。
でも、期待した結果は得られない事を、彼女だけが正確な背景、奇術めいた世界把握・察知能力をもって知りえたのだ。
「我々は、絶対の力を手にしなければいけない、相対的な力の頂点に至らなければいけない」
ハスラー、最古の神、物理を極めし絶対存在。
だがその実態は、物理法則に己の神性を付加し一体化、
最古と呼ばれる初めからの理により、誰にも逆算できない遠き果ての先の”なにか”を知っているのだ。
「彼女だけは、今必ず、この世界からの完全消滅を」
純然たる当然を宣言し、彼女、我らの次の進路に指針を定める。
「この世界を完全消滅させるのに、硬過ぎるモノは邪魔なの」
悪の帝国、アウルベーンと呼ばれる存在が、世界の最先端が、望む世界の指針が、世界の終焉。
彼女は全てを知っている、全知全能すら超越して、今すら世界の拡張と、果ての開拓、先の何かを追い求めるモノ。
その指針は更なる世界の深奥に向かった。
「この宇宙、世界は、無限に続く、ただの空間の連続である。
有限大の事象や現象、それら確固たる存在を成り立たせる物理・現象・法則、それのみで構成される。
例外として、その限りに含まれない構成要素は、ほぼ存在の零瞬間に崩壊するので意味をなさない」
彼女は、彼女だけが全貌を理解する、世界に、世界そのものに差し向ける、己の指針を突きつけ続ける。
「永遠に続くこの闇を征伐し、永遠の征服と支配を成し、我々は真の永遠を手にする」
それが、正真正銘の最前線に位置し、唯一悪の名を冠するに相応しい、
彼女だけが理解する帝国と呼ばれる、唯一国家、最先端世界指導者の信じる思想である。
このとき、彼女は己が次の階梯に至った事を自覚する。
第九ステージ、スタート。
最先端で在る彼女が、何かの始まりを、世界に宣言するように発したトキだ。
「私達は悪の帝国から離反する、真なる世界創造を、希望がある限り進めたいと思うゆえに」
真の帝国が、ほぼ五分の勢力で悪帝国に対した。




