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伽耶とイデア‐怨敵掃討の件について★

 


 幻聴伽耶の本部に戦力抽出の申し出をしたが、無下に断られた。

 本部人員に対して、毎度のことながら、私の人望の無さが明け透けに現れた感じで在る。


「まあ良い」


 私から言わせれば、ネットワークの中心が力を持ち過ぎる方が、大問題だ。 

 かのヒルダネットワークのような、一極支配体制の方が、全体の個性を縛るのだ。

 確かに効率化、中央集権化によるウマミもあるが、私の場合はこれで良いと心得る。


「だが困ったな、戦力が足りな過ぎるな」


 私の此処での手持ちの勢力は、現状において少な過ぎるのだ。

 このイルミナードには、戦力として使えるヒロインが存在する、だが大抵は何の役にも立たないゴミが腐るほど居るだけだ。

 使える奴は王国の覇者に見込まれて、各方位陣の最前線で戦っている。


 そんな事を考えている間に、重大な瞬間が訪れた。

 今この瞬間、世界軸において、一年が終わり、始まる瞬間にそれは来た。


「なるほど、アウルベーンの中央委員会が、世界反射の第一波をしりぞけたか」


 頭の中に流れてくる、毎日の提示報告、世界を眺める上で新聞のようなモノを閲覧していた。

 運命力を抽出する機会と思っていたのだ。

 アウルベーンは世界の最先端にあり、存在するだけで、世界からの抑圧を受けている。

 そして度々、世界から大きな抑圧の波を受ける。

 その時期は厳密に計算できるので、対応も用意だ。

 もちろん、対応するだけなら簡単で、その対応において、しっかりかっちり押し返すのが大変なのだが。


「その対応の為の運命力の鬼集、その為に運営される複合多重世界か」


 運命の力とは、わたし自身も全貌を解明できない、良く分からない意思の力だ。

 この意思の力を、世界からくみ上げるシステムも、何もかもブラックボックスのようなモノだ。

 もちろんそれは私の観測視点、全貌を把握しただけでは、その真なる全貌を把握した気に成らない、

 全てを理解した気に成っている奴、そいつに言おう、私に言わせれば、この世界は神秘の謎で構成される箱だ。


「全てが、無限大に意味不明に推移している、気が狂っているのが平常な、無限に破綻破滅崩壊している世界なのだよ」


 私が発しているはずがない、鈴を殺したような笑い声、歪なガラスが摺り合わさったような声。


「イデアか」


「はい、イリカじゃ無くて、残念だったなぁ!!!」


 イリカ、俺様口調、いけだか、高慢高圧威圧的、ゴミ。


「イデアの方がマシだな」


「我に失礼な」


「我って、ゴミみたいな語り口調だな」


「人称なんて、他と区別されれば妥当だろう? なあ伽耶?」


「どうでも良い、戦力をよこせ」


「いや無理無理、イデア図書館って、絶対数が少ないって、知ってるでしょう?」


「物量だけで、無能が揃いにそろって、徒党を組んでいるヒルダ。

 それに対して、精鋭だけで構成されるイデアだろ?」


「そして貴方、中央が無能で、周りが有能、ネットワークの大規模中心点が多くて、絶対点が判然としない伽耶かな?」


「まあ、そんな感じだろ」


「それで、その話はどうでも良いんだけど、我から提案があって、今日は来たんだよ」


「さっさと開示しろ」


「カヤがさあ、怨敵認定した奴らって、意外と強力なのよ。

 この世界の果ての外、観測者からしたら下法な集団、裏観測者って言えばいいのかな? 良くわからないけど。

 あいつらに対応する為に、幻聴カヤが無軌道な事をされると、全体が迷惑するの、理解している?」


「もちろんだ」


「それでさあ、戦力は出せないけど、イデア図書館は協力ができるし、したいって結論に成ったんだよ」


「で、具体的なヴィジョンは?」


「うん、それは後で端末にでも資料を送っておくけど、

 今具体的に言えば、ヒロイン達を上手く使って、最終的に怨敵連中をラスボスみたいにするって案なのよね」


「さっさと計画を始動させろ、それで現状私が認識する以上の手に成るならばな」


「なりそう? 貴方から見てなりそうなら、もう我々からの実行計画の始動は確定に成るんだけど」


「成るに決まってるだろうが、私単一の能力は、言うなら平凡以上でない、それくらい知っているだろう?」


「いや知らないよ、確定情報じゃないんだから、一応確認するのは当然だと思うのだけど」


「黙れ、私がそうだと言っているんだから、素直に信じていればいいんだ、愚民共が生意気だ」


「はいはい、それじゃあ我からイデアネットワークに配布して、

 この町の最低限、つまりイデアと幻聴の管理するヒロイン達を動かすだけでも、約一カ月以内で怨敵を殺せるよ」


「おせえよ」


「そう?」


「遅過ぎる、考えても見ろ、お前が凌辱の限りを尽くした相手で、一秒でも早く殺したいと、そう思わんか?」


「じゃあ、我と貴方の参入で、もうちょっと、未確定の努力の範囲内で、時短できるけど」


「さっさと出掛ける準備をしろ、家に引き籠ってるだけだと、息が詰まるだろうがボケ」


「はいはい、貴方の能力は知ってるけど、我の能力って知ってる?」


 無視する、無駄な問答だ。

 銀糸操作、制御能力が、ありえないほどの研鑽の歴史を積み重ねなければいけないモノ。

 こいつの研鑽の歴史にも何も興味は無い、ただ使えるスキルを使える奴がもっている、ただそれだけで良い。

 私は外に向かった。

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