バーサス魔法使い編
その日は「にゃはっはっは」とか言う耳障りな音声で起きた。
どうやら毎度ランダムで此処にやってくる、イリスって奴が居間でハイテンションに成っているようだ。
俺は起きるのをやめて、また眠る事になった。
「レディース&ジェントルメン!!!領域473初攻略者にして、永遠の観測者である、電波のイリスちゃん、きたよーーー!!!」
俺は夢魔法使いだ、枕を被っている、眠り帽子が特徴だと思っている。
「誰だよ、死ねよ」
素晴らしく初耳だ、生まれてこの方、聞いたこともない、こんな破天荒で迷惑系の人は初めて見た。
夢で魔法を習得して、その魔法を現実の延長線上で行使可能という、良く分からないクソジョブだ。
だがその代償として、夢で死闘を繰り広げる必要がある。
夢で死んだりすれば、最悪なパターンで、現実でも死んでしまうようだ。
夢魔術の研究は、特異な個人的文摘以外では、まったく進んでいない。
俺は”VS”と呼ばれている。
”VS”??って初めは意味が分からなかったが、
それは自分?を指す名刺らしい、
内容的には、魔術師?上級魔術師?魔法剣士?、みたいなモノらしい。
「つまり、”コイツ”を倒せば、また”新しいスキル”が手に入ると。」
さて、俺は今、今見た夢の体験を書き残している。
既に”来訪者”は倒した。
夢は結果しか、俺に見せない。
俺という存在は、夢の中で死闘を繰り広げなくちゃならないタイプの、運命を所有しているらしい。
どんな因果か知らないが、俺の血脈が呪われいるみたいで、これは逃れられない宿命。
ゆえに、夢の死闘を攻略する為に、俺は忘れない様に、夢の内容をこのように書き記すのだ。
さて、今回は内容が濃い。
実は最近は、書き遺すほどの夢は見ていなかった。
どうやら意外と、書き残したいと心の底から思えるほどの、夢体験は稀なようだ。
これは”2014年2月23日PM6~11時”、に見た。
この様な中途半端な時間に、大して眠くもないのに長寝すると、この様な何かの迫真に迫るような、物凄い夢を見る傾向があるようだ。
いや、かもしれない、あくまで仮定だ、
「今までの曖昧な経験からそんな感じがする程度、気に留めとくだけでいい。」
死ねばいい影が迫る、あの迷惑な化け猫との死闘が”今蘇っているのだ”。
あとこの5時間の睡眠は、眠っているだろう。
途中で起きて、今見ていた夢をまた見たくて、何度も二度寝三度寝以下エンドレスを繰り返した、総計睡眠時間だ。
夢の死闘は、時間がたつほど、不利になる傾向があるのだ。
自分は夢の内容を忘却してても、相手は夢の内容をしっかり覚えている事が、経験的に多い気がするので、連続で体験できた方が良いのだ。
さて、この様な人生において本気で身になる夢だ。
経験回数はまだ少ないが、なんとなく覚えているらしく、
意識的にチャンスを逃したくないという強い意志が働き、条件反射的にすぐ寝る→夢の連鎖が一通り終わるまで繰り返していたようだ。
一応この行動の説明をしとく。
繰り返しになるが、これは特定の夢を見て目が覚めた時は、間を一切置かず二度寝すると、かなりの高確率で、”全く同じか”、同じ様な夢を見ることができるからである。
ここから夢パート。
まず今回体験した夢は、最も自分を含めた他者に、円滑に伝わる表現で言うなら、、、
「自分自身がリアルなゲームに入り込んで、一定のルールらしきモノに則って何度も何度も、様々な多種多様な戦場・舞台で殺しあった」というところか。
「にゃあッ~! 死ね~~~え!!」
尻尾フリフリ。
ギャグみたいにしか見えない身の丈ほどもある大鎌、構えると身体を覆うよう、物理的に無理だろ、早いッ、難なく受ける。
最近のゲームでよくある、一人称視点で戦うゲーム画面を想像してもらうとわかり易い、
単にいつもの現実の視点と言っても良いが、ただ何となく今回の夢はリアルな様で、まるで2D、あるいは3Dゲームの様だったから。
「かわいいと、勘違いしそうになる」
こういう前置きがあると、後々いろいろ説明する時も、読者が夢の内容描写を、より効率的に理解良く、想像力逞しく考えることができそうなので、この様な前置きをしておく。
さて、夢の導入部は酷く曖昧だが、あえてこの様な感じだったと、無理矢理強いて説明を試みよう。
まずいつから、「その敵」と戦っていたかは曖昧すぎるので完全に不明、
そもそもそういう、細かい設定みたいな物は、夢においてそれほど重要でないか、作られていなかったのだろう、
推察では、昔からの因縁でもあるかの様な、そういう印象が強烈なので、
恐らく敵との関係性は、そういう感じのモノだったのだろう。
また、相手から直接感じるのか?
夢なので、現実ではありえない事象や現象も起きる。
敵が殺意を放てば、そういうモノをこちらが受信する。
そういう特定の、夢独自にランダムで発生する設定かもしれないが、
こちらの一方的な、敵に対する思い込みの様なモノがある。
「それが、敵がこちらに強い悪意や殺意、存在感等々を放っている」
”敵”が、”こちら”に、個人的な”恨み”があるのを、自覚する。
”夢の世界”という、こちらのフィールドだから読めるのだろうか?敢えて読ませているのか、不明。
さて、そのように、自分の相手に対する認識が結びついていたとしても、自分にとってあまり関係が無かった様だ。
夢だから、そこまで頭が回らなかったか?
相手が実際には、自分に対して脅威な存在ではなく
もしかしたらただ、一方的に自分が脅威と感じているだけで、つまりは被害妄想?
自意識過剰の成せる技で、本当は敵に害意は無いかもしれない?
否、もしかしたら無かったのかもしれない。
「だけど戦いが、殺し合いに似た何かが始まってからは、もうそういった事全ては遅い」
「ふっふふ、っふっふふ、その通り、君は、もう、”死んだ”んにゃ」
というか、考えにすら登らなかった、
夢なのに良く回る頭で考える事は全て、どう相手に効果的に効率的に攻撃し、敵の攻撃を防御するか、
その様な事ばかり、リアルタイムアクションゲームの様な攻防だった、
この表現は本当に一切の偽りが無い、
夢を見ている最中は(この表現は適切でないかもしれない)
起きた時に夢の内容を思い出しているのだ、とか色々。
「可笑しい、これは”回想”、夢の結果は、変らないはず」
「幻想は、夢を否定し、形を変えるのにゃ」
その様な諸説はあるが、私にとってはあまり関係が無い、
人の自由意志が有るか無いかは、その本人に自覚が在るか無いかで、
夢での行動に、自分の意思が働いていると確信できる場合は、
本人の、つまりは自分自身の明確なる自由意志が働く夢として観測し処理する)
「と、括弧表現なのに話が逸れた、」
「無理しない方が良いんじゃないの? 体が半分に分かれようか、皮一枚で繋がっているようじゃないにょ」
つまり何が言いたいかというと、その攻防はリアルタイムで自由意志の働くアクションゲームの様だった、
という訳だ。体が左右に分かれたら、、、死ぬだろう、本当に、”死ぬ”だろう、、、。
「さて、問題にゃ、”夢”とは、我々にとって、”唯一無二”の信じられる、”現実”だった?〇か×」
それはさらに言えば、付け加えるなら、一定のレベルを超える娯楽でもあった。
この感覚から推察するに、この夢はシリアスではなく、若干コメディな色合いを帯びていたのだろう、
本当に現実に比するレベルの、殺し合い=生の現実の情報の次元だったら、当たり前だが楽しんでいる暇なんてない、
もっと殺伐として、起きた時、背筋が凍って冷や汗をかかないと可笑しい、
「かもしれない」
「なるほどね、事前に聞いていたほど、”脆く”はないの、良い幻想を君は所持しているようだね、誉めてあげよう」
鎌を構えなおす相手、次は、どうしようか?
実際自分自身が殺傷能力のある魔法を使って、同級程度の魔術師と戦った経験なんて、ある訳無いからわからないが、
これは正しく、現実に比するレベルとは思えなかったのだ。
これの一つ前の夢は全体的ではないが、局所的には現実を超える迫真さがあったが。
「結局は今回は、確かに夢での殺し合いに恐怖したが、」
剣を振り下ろす、猫は真っ二つになって、泥のように消滅する、生首だけが残る。
なんというか前のに比べれば生ぬるかったと、喉元過ぎて熱さ忘れた今ではそう思う。
前回の夢から醒めた後と、相対的に比較するとこの様に感じるのだ。
「偶々だ、偶々、君を殺すほどの戦力を、もってきてない、ただそれだけ」
しかし、今回の夢で感じた生々しさや恐怖の正体は、前の夢の、本当の現実感すら漂う残酷描写等々、とかではなく、
全く性質が異なる恐怖、のようなモノだったのだろう。
「にゃははっ!にゃははっ!これこそ!これこそまさに典型的なゲーム脳と言える!」
恐ろしさすら伴う、このような脳内での独自の事象、現象、巷で一時期騒がれていた、ゲームが人間に与える影響みたいだ。
みたいなモノが、今回露骨に自分に起こった事、
例えるなら、自分は交通事故に遭うわけないと、事故に遭うまで夢にも思わなかった人間が、初めて実際に事故に遭って体験する感覚に近いだろう。
「おそろしいね、どこから入ってきたの、あなた?」
「自分とは一切無関係!そもそも存在が怪しいモノや事象や状況が、実際に現れたら誰だって驚く、幽霊やUFOを確信の域で絶対に信じない人の前にそれが現れた!」
とか、そういうタイプのショッキングな感覚だったのだろう、自分にとって。
夢に実害を伴った”外敵”が現れるとは、”此処”もそろそろ潮時なんだろうかぁ?
とりあえず今回の夢には、ゲームという要素が密接に関係してそうだ、
ゲームなら取り返しがつかない対立にまで至る、敵との過程の設定全てが不要。
後付的に時間を掛けて振り返ると、そのような自分のほぼ条件反射に近い思考過程や、潜在意識が夢を形作り、闘争が始まったのだろう。
既に何も考えるまでもなく、相手を持てる手段の全てで存在を抹消する、あるいは物理的に完全に殺す。
そういうゲームの様なリアルな夢空間での殺し合いが、あっただけ、というそういう事なのだろう。
今回はこれにて夢の死闘における描写を終える。




