大賢者シャルル編
ある朝の日、試してみたい事があった。
「バーストリンケージ・爆発的爆縮ネットワーク」
それを行った瞬間、世界の"果て"を見た。
そこには、一人の女の子、佳代って子が居て。
「ようこそ、世界の最終観測ポイントへ、貴方を私が迎えます」
そして、最初期”限界”の目は、僕に世界を効率よく観測する、全ての権能を与えてくれた。
もっとも、最初から全てを見通せた僕には、あまりそれが、革命的に役立つはずもないのだけれども。
「それよりも、今は此処が大事だ」
この世界は素晴らしい、
とある観測者集団、エルダーネットワークの最前線の、さらに先に、独立して存在する世界。
ここは法則蹂躙の基底現実よりも、”ある意味”で厳密に法則が適用されて、上位の運命観、世界観が存在する、
いうなら、絶対的な上位世界だ。
僕は、そんな世界で、人間の生存圏にある、唯一無二の魔法学校の教授業を行いつつ、教鞭も取っていたりする。
「先生、何をしてるんですか?」
「眠くて、あくびをね」
昨日、あの佳代って子に、凄く似た子が転校してきて、僕に付きまとってくるのだが、どうしてくれようか?
「伽耶」
僕は基本、破壊系の魔法の構築方式を練成する、その為に頭脳を使ってるので、余剰リソースで思考できるモノは少ない。
そもそも、僕自身が僕の人生を低く見積もっているので。
「先生、お話を致しませんか?」
カヤはクルっと回り、真っ黒なスカートを微風に揺らめかせた。
「さて、嫌だよ、僕は君と話したくない」
「いいえ、戯言を話すつもりはありません」
目つきが変わった、ああ、この子は、あの佳代って子だと、僕は見通せた。
「あの場所に居なくて良いの?」
「ごめんなさい、此処があまりに面白そうだったので、世界の安寧よりも、こっちの世界が面白そうだから、来ちゃいました」
「なるほど、クレイジーで、僕の好きな破壊的なパターンだよ」
少し、いやかなり、僕は”世界の果て”で王座に居る、この子に、興味があったのだから。
「それで? この世界を、どう攻略したい?」
「粉砕する、両断する」
全てを”否定”する、歪み、円周率の残り.....1から生まれたからか...。
「私は...私、私達を否定する、”存在そのもの”を許さない、観測者、そして、敵対者には、それしか知りませんよぉ。
観測対象は、すべからく、無に帰すか、因数分解の果てまで果てさせる。
逆らうモノは、あの聖域的な国家の騎士ですら、ブッタギルのですよ。
わたしは至高の観測者、貴方もその地位に居るのなら、既に分かっているはずなのですから」
くっくっく。
僕は初めて見つけた、同格の存在の、余波的な存在感に、初めて骨の髄、というより魂の根っこの部分から震えた。
そして、こんな最高存在と、最高のゲームを、共同攻略できる事に、心の底からの愉悦を覚えたのだった。
「そうだ、自己紹介がまだった。
僕はシャルル、
傍からは、クソ魔道学校の、クソ魔術師、人格破綻者の、最悪人間って呼ばれているよ」
‐‐中略・省略、規定観測者により情報閲覧がブロック、または緩和される措置がされました。
「はあ、やめましょう、わたしは、私の手で壊したかった、つまり、貴方に嫉妬しているだけです、
あの可愛いカヤを、幻聴蚊帳の基幹を成していた、最愛の頭脳、わたしの断片とも言える肉親、
それを奪われ、殺され、全てを持っていかれてしまって、腐っているのです」
「ああ、そうなの、でも、大丈夫だよ、あの子、カヤは、僕の中で生きている」
「知っています、同化したのか、貴方が操っているのか、カヤが操っているのか、知りませんが、
貴方も甘いですね、完全破壊、完全消去すれば、全部絶対的に貴方のモノでしたのに」
「いらないよ、僕は目に見えるモノにしか、求めない。
彼女とは、誓約をした、お互いを一つに交わらせる、
そして、彼女は己の死を願った、望んだ、
美しい自分の、美しいままでの、最大級の朽ちり、腐敗の果ての不幸な死、絶叫、絶望、色が無くなるトキ、
なにもかも、味わえる限りで、全部味わいたいと、そう最後に望んだのは、まぎれもない彼女一人の意志だ」
「いいですよ、全部リアルタイムで、”視て”ましたから」
「だったら、責めなくても良かった」
「いいえ、見ていたからこそ、どうしてカヤを抱いたんですか?
彼女は、最後の最後で、やっぱり迷っていた、背中を押して殺したのは、貴方だ」
「だったら、どうして君は、あの子に負債を全部、世界の責任を、不幸を押し付けて、自分だけ楽しい事をしてたのかな?
救えたはずでしょ?
でもあの場に、君は現れなかった、それが彼女の背中を押す、少なくとも一要素にはなったんじゃないの?」
「語るだけ、無駄です、彼女の真相は、どれだけ混ざっても、所詮は仮初、深淵の先は見えていないはず」
「さて、どうかな? 姉にすら存在の内を見透かされなかった、だからといって、僕に打ち明けてない保証は無い」
「ふん、それを確かめる為に、わざわざやってきた、忘れたわけじゃないでしょう、これから、それを解明するんですよ」
僕は、楽しみが増えたなと、クックと二重に笑った、そう、その声はきっと彼女の声だったのだろうね。




