表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/46

検尿と祝勝会

ふぅ……。期待はしていたけど、地方馬限定戦では負けれないから何とか一安心だ。俺が厩務員として担当してから着に入れず、責任を感じていたから嬉しさより安堵が勝つな。


「よく頑張ったじゃないか」


担当する愛馬の首筋を撫でながら口取りを待つ。重賞の口取りとかいつぶりだろうな。14年前にヘルンで東京記念勝って以来か。長かったな。


口取りを撮り終わって会員さんから感謝の言葉を言われると誇らしい気分になる。


口取りが終わると体を洗い、目を洗った後に検尿のためリアンを暗室に入れる。その間厩務員は待機なので、コーヒーを買いに売店へと向かう。


コーヒーを手に取り、店のおばちゃんに「麻井厩舎です」と伝え購入を済ませる。


コーヒーを飲み終わり帰ると既に尿を取られた後だった。早いなこいつ。さてすぐ帰ろう早く寝たい。


厩舎へとリアンを引いて帰る。馬房へと馬を戻して今日の仕事は終わりだ。なんか疲れがどっと来たな。


その日は気持ちよく寝ることができた。


翌日の金曜日はレース後で調教が無く様子見の日なので、5時からといういつもより遅いスタートだった。


「おはようございます」


「あ、鎌田くんおはよう。じゃあとりあえず今日はリアン引き運動して」


「了解です」


リアンの馬房へと向かいいつも通り横になって大爆睡をしているリアンを起こしてチフニーとメンコをつける。ほんとによく寝る馬だ。


テキから指示を受け30分ほど引き運動に入る。かなり激しいレースをしたあとなので、少し疲れは溜まっているようだ。


今までケロッとしてたのに、この疲れ方はこいつやっぱり今まで全力で走ってなかったな。


脚のケアを終えて馬房へとリアンを戻す。もう1頭の担当馬をケアし終えると今日の作業はとりあえず終わりだ。


競馬開催中だが、麻井厩舎の馬は月火水木に出走を固めていたのでこの後は出走がない。森川くんも金曜は10Rまでしか騎乗しないので21時前に早上がりだ。なので金曜日の今日は祝勝会の日になっている。なかなか珍しい。


「祝勝会って大井町のいつものとこですか?」


「いや今回は品川のプリンセスホテル。クラブの馬だしクラブスタッフの人とか来るから品川。ちょっと遠いけど明日遅めだし頼むわ」


「了解です、夜飼い終わったら向かうので先始めといてください」


そして昼休憩に入る。厩務員をしていると毎日激務なのでこんなにのんびりできる日はそうそうない。なんなら明日全休で明後日も半休だからな。


昼休憩を終えてボロ取りをし、作業を終えると夜飼いまでまた昼寝だ。18時半になると飼葉を付けて1日のスケジュールは終わり。今からスーツに着替えるの面倒臭いなと思いながらも着替え愛車に乗り向かう。


ホテルに似合わない男なのは自覚しているがやはり場違い感がすごい。


会場に入るとまだ始まったばかりのようで様々な関係者が席に座っている。俺ら厩舎サイドの席を見つけ、着席する。


「お疲れ様です」


「あぁ、夜飼いありがとう。まだ始まったばかりだし、森川くん来てから乾杯するから今のうちに色々ビュッフェで好きなの取ってきていいからね」


「ありがとうございます」


ビュッフェから取り終わるとちょうど森川も到着して、クラブ代表がスピーチの準備を裏で始める頃だった。


『ご紹介にあずかりました、クラブ代表の篠宮遥輝です。いつも調教をつけてくださっている麻井厩舎のみなさん、そして森川騎手。今回のリアンの復活ありがとうございました』


そう言って厩舎サイドの全員に向けて頭を下げた代表の篠宮さん。俺ら厩舎サイドも全員で頭を下げる。


『次はJBCクラッシック行こうと麻井調教師とも話しているので次走も勝てるように願って乾杯!』


「「「乾杯!」」」


やっと宴会が始まったようだ。正確にはもう始まっていたが公式に始まった。


牧場関係者の席を見ると今回は生産者の秋元夫妻は来てないみたいだな。結構歳だって聞いたし元気してるといいな。


「…あの、リアンの担当厩務員の鎌田さんですか?」


茶髪でポニーテールの可愛らしい女の子が話しかけてきた。俺は妻帯者だからやめてくれよと思っていると後ろからもう一人男が着いてきた。


「あかね、この人が鎌田さん?」


「そうです私が鎌田です」


「私は北海道でこしあん……じゃなくて今はリアンか。リアンを馴致していた山田です。こっちは世話していたあかねです」


「初めましてあかねです。よろしくお願いします」


ぺこりと頭を下げるとポニーテールも頭の動きに着いていくように下へ落ちる。


どうやら北海道時代に世話をしてくれていた人が来ていたみたいだ。てっきりこんなオープンな場で逆ナンされるかと思ったぞ。


「そうでしたか、半年以上結果を出せなくてすみません。でもとても扱いやすい馬で馴致がよかったんだと思います」


「いや北海道の時からまだ馬に乗ったばかりの私を乗せてくれてたのでほんとにいい子でした!」


そうして北海道の頃の思い出話や今のリアンの話を沢山話し合った。あいつ愛されてたんだな。


「次のJBCとかは見に行けないんですけど、勝ったら東京大賞典って話を聞きました。東京大賞典なら休み被るので、久々にリアンに会いたいし是非口取りさせてください」


「なるべく勝てるように日々頑張ります。ありがとうございました」


どうやら絶対に負けられない理由がまたできたみたいだ。全休終わったらJBCに向けて頑張るか。


そう決意を固めた。

南関東では1、2着馬は暗室に入れてドーピング検査のための採尿をします。しばらく入れても出なかったら採血になります。待つ時間は厩務員食堂で軽食を買う人も少なくありません。


厩務員のレース翌日のルーティーンはだいたいこんな感じです。

競馬開催日は基本的に乗らず、起床時間も遅くなるので朝は楽になる反面最終レースとかだと終わるのが22時過ぎてしまうので大変な時もあります。


あと補足ですが今調教師のことをテキって呼んでる人いない気がします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
いきわれぇぇぇ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ