サファイア賞まで
「いやーお前こんな化け物と走ってたんだな。それに上がり3Fならこいつより速かったんだろ?そりゃうちの厩舎の馬じゃ追いつけねーわ」
ゆっきーがテレビを見ながら話す。
今日もゆっきーは俺の前でテレビを見ている。画面に映っているのはもちろん競馬だ。
『世代の統一戦です。君だけのヒーローを見つけ出せ。日本ダービー、今スタート!皐月賞馬インペリアルロードは少し遅れたか』
日本ダービーという競馬知らない俺でも知ってるくらいのレースにインペリアルロードが皐月賞を勝って走っている。
これを勝てば2冠となるみたいだ。
それにしても歓声が凄いな。集中できるのかな。
「うーん、かかってるけどなぁ、どうやって抑えるんだ?」
確かにかなり行きたがってるな。
『5番手14番のインペリアルロード折り合いはどうか。ちょっと行きたがります』
実況もそれに触れる。
「ん、手の内入れたわ。勝ったなこいつ」
どういう事かは分からないが、落ち着きを取り戻したな。
その後直線に入ると抜群の伸びで後続を完封したインペリアルロードは、無事に3馬身差で2冠を達成した。
「はあーどうやってあれに勝つかねー」
でも地方にあいつ来ない限り戦わないでしょ。
「俺らの相手はあいつに決めた。いつか戦って勝つぞ」
はあ、まあ目標は高くだしいいけどさ。
「まあ1ヶ月後レースだからなぁ、仕上げすぎても良くないからしばらく軽めだよなぁ。あの圧倒的スピードまた味わいたいな」
まあそんな調子俺落ちるタイプじゃないから普通くらいでいいよ。
「俺もお前に負担少ないように減量しないとなぁ。てことで俺は筋トレ行ってくるからまた明日な」
そうしてレースまで調教をするが、週に1回速くても1F15秒を他の馬と併せながらやる。
そうしてほぼ同じメニューを6月の終わりまで続ける。
レースまで後1週間しかないけど、未勝利戦の時よりなんか体出来てるな。
脚はもうモヤッともしない最高の状態だ。
「よっしゃ最終追い切り行くか」
「裕貴、今日は単走だから気にしないで12秒くらい出して」
「分かりました、じゃあ村上さん行ってきます」
そうして入念に体を解していよいよ追い切りだ。
コースに入ると1周目は軽く内側を通って2週目は外ラチギリギリを通る。
直線まではそこまで速くないが、手綱が短く持たれ軽く気合いをつけられると一気に伸びる。
うん、調子いいぞ。ゴール前を過ぎて減速を始めると馬上のゆっきーも思わず「サイコー!」と声を出す。
まあ相手そんなに強い馬居ないみたいだから調教代わりに賞金を取ってくるか。
「いいじゃん、リアン頑張ったね〜!」
みなちゃんが迎えに来てくれている。
「美奈ちゃん、今週末に俺が美奈ちゃんを重賞馬の厩務員にしてやるから楽しみにしてくれ」
「何言ってるの裕貴くん…負けたら解雇だよ〜?」
冗談めかして笑うみなちゃんが可愛い。キュンとくるぞ。
「美奈の言う通りだぞ、裕貴頼んだからな。でも今日の追い切りのタイム12.2だったから上手くなってる。リアン来てからお前も成長してるよ」
「じゃあ怪我で休んでる去年の年度代表馬、チークピーシーズの怪物アップリフトの騎乗依頼待ってます」
年度代表馬この厩舎に居るのか。それはすごいな。怪我らしいから帰ってきたら見てみたいよ。
「お前そこまで上手くないから安心しろ。勿体ないよな、放牧中に怪我するのは。こっちで中1週でも怪我しなかったのに、まあ仕方ないよ」
中1週で怪我をしないのか使ってもいいタイプなのになんで怪我したんだろうな。
「でも2ヶ月後帰ってくるから調教なら乗せてやるよ。…あ、アップリフトならリアンと併せられるな。でも牝馬だしなぁ」
牝馬に欲情したことねえよ!
「こいつ1回も馬っ気出したことないんで大丈夫ですよ」
ゆっきーよく言ったお前は信じてたぞ。
でも、俺と併せられるのか。古馬でも追い切り併せられないやつ多いから楽しみだ。
「あ、でもリアン乗るんで乗れないですね…」
やっぱりそうだよな。とりあえず、サファイア賞頑張るか。
日本ダービーの実況の初めはドウデュースのダービーを使ってます。
明日で毎日投稿しばらく終わりです。




