7・白虎との会話(本番)
白虎は二時間前と変わらず、俺を囲い込んでいる。
声を掛けるのに問題は無い。
もし俺の声帯がまだ未熟で大声が出せなくても、この位置なら大丈夫だろう。
魔獣語についても復習はオッケーだ。
一応持っている知識を全部見直したし、大丈夫、な筈!
よし。準備は万端。
後は、実際に話し掛けるだけ。
ふぅ。行くぞ!
「ぁあぅ(おはよう)」
おっしゃ!成功したぞ!
いやー、知識があるとは言え、喋った事が無いから心配だったけど、それも杞憂で良かったわ。
で、白虎の反応は、っと……おお、ビクッってなった。その後、周囲をキョロキョロしてる。
「ガル……?グ、ルァグル……(あれ……?今、言葉が聞こえた様な……)」
おし。ちゃんと言葉に聞こえたか。
あれ?でも白虎、ちょっと周囲を見回したら、すぐに元の体勢に戻っちゃったぞ?
もしかして……気のせいと思われた?
マジかよ。
とりあえず、もう一度だ!
「ぁあぅ(おはよう)」
これでどうだ!
「ガ、グゥ?ガルウ……(え、また?どこから……)」
良し。二度目も成功!
これで、さっきのは偶然だったりはしないか、という不安も解消だ。
それじゃあ、追い打ちをかけてっと。
「ぅあ、ぅ(ここだよ、ここ)」
「ガ……?グ、グァアアアッ!(え……?って、嘘ぉおおおっ!)
うおっ!びっくりしたー!
急に大声を出してどうしたんだ、白虎。
まあ、多分俺のせいだけど。
さっきから白虎、俺の事ガン見してるし。
気付いて貰えたのは良いんだけど……まさか、こんな反応されるとは思わなかったな……。
俺の中の白虎のイメージって、こう、どっしりと構えていて何事にも動じない、みたいな感じだったんだけど……。
「……グ、グガゥ、ガル……ガウウ……?(……も、もしかして、あなた……喋れるの……?)」
「あぅ(うん)」
「グァアアア!グルガァーッ!?(キャァアアア!赤ん坊が喋ったーッ!?)」
いやほんと、俺の中のイメージが……。