↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ABILITY  作者: high
PR
25/25

出発と独り言

お久しぶりです。今回の話なんですが凛の話に関しては11話から14話の話を見てもらうと分かりやすいと思います。

 朝食を食べた後、俺は自室で準備をしていた。

 今朝俺が生活している施設の所長?である灰蛇双柳(はいだなみや)から仕事を頼まれたのだ。

 その仕事と言うのは探索というものであって、

その仕事内容は外側の世界(フェリモンド)と呼ばれる簡単に言えば異世界のような世界に行き、いまだ全容が分かっていない場所、つまり地図に載っていない場所の様子や簡単な生態等を調査し、報告するというものだ。

 灰蛇からは「特に注意することはないけど、何があるか分からないからしっかりと準備して、注意

するようにね~」と最初と最後で矛盾したことを

言われたが、とりあえずしっかりと準備していけということなのだろう。

 そういう訳で、ある程度動きやすく、肌の露出は少ない格好に着替えていた。持っていく物はいくつかの携帯食糧と水、フェリモンドの地図、使えるか分からないがコンパス等をリュックに入れている。

 全ての準備が終わり、部屋にある姿見鏡の前に

立ってみるとそこにはまるでこれから登山に行く

かのような服装で俺が立っていた。

・・・まあ、今から行くのは登山なんかじゃなくて未開の地に行くんだけどな…

 こんなことを思うとこの前まではニートやってた人間が未開の地に行くなんて何があったんだとしか思えないがそんなことが今俺の身に起こってるのだからなおさら驚きだ。

「じゃあ、出発するか。」

 そう言って俺は自分に渇を入れて気持ちを切り替えて部屋から出た。

 部屋から出て、施設の無機質な通路を歩いているとフェリモンドとこの世界を繋ぐ空間の穴が開いている部屋の大きな鋼鉄の扉の前に、一人の女性が

立っていた。

 立っていた女性、俺がこの施設に来て一番お世話になっている女性、氷室凛(ひむろりん)は俺に気づくと早足で

俺の方に近寄ってきた。

「所長から話は聞きました。今から探索に行くのですよね、ちゃんと準備しましたか?携帯食糧とか水とか持ってっていますか?」

 凛は早口に俺の心配する言葉をつむぎ、その速さからも心配してくれているのが分かる。

「あぁ、大丈夫だ。食糧も水もちゃんとリュックに入れて持っていってる。」

 凛には今まで多くの迷惑をかけたと思っている。

 だからこそ今はしっかりと一人で出来るという姿を見せるべきだろう。

 ニートで一人だった頃は誰からも心配されず、

自分も心配されなくても何も感じなかったが、

凛から心配されるようになってからは自分の中で

何かが変わったような感じだった。

 心配されてることによって俺を見ていてくれる、大事に思っていてくれることに対して感謝しなければいけないし、それと同時に凛に心配されないようにならなければとも思う。

「本当ですか。・・それなら大丈夫ですね。探索では何があるのか分からないので身の危険を感じたらすぐに逃げて下さいよ。そして、絶対に帰ってきて下さいね。」

「分かってる、ヤバいと思ったら必要以上には

深入りしないようにする。」

 凛の言葉は懇願するような感じだったが俺も

危険なことに足を突っ込む気はまったくないので

凛の言葉も百も承知だ。

「それじゃあ、行ってくる。」

 俺は部屋に入り、空間に浮かぶヒビのようにある

空間の穴に入る前に凛にそう言って穴に入った。



 凛は凶弥(きょうや)がフェリモンドに繋がる穴に入って完全に姿が見えなくなった後、

「もう、私がいなくても大丈夫なのかな…」

 不意にそんな独り言が零れた。

 私は彼がこの施設に来たときからずっと面倒を

見ていた。いつも近くにいて、困っていることが

あれば可能な限り助けていた。

 そのお陰か彼とはたくさん、という程でもないが

いろいろな会話をした。

 凶弥と二人で過ごした時間のことは全てハッキリと思い出すことが出来る。私の中でたくさんの凶弥との思い出が溢れだしてくる。

 凶弥と初めてフェリモンドに行って獅子の頭、

山羊の身体を持った獣、キマイラを撃退している

最中に凶弥が私に言った「大事な人を守りたい」

という言葉は今でも思い出すだすと私はついつい

照れくさくなってしまい、もしかすると少し顔も

赤くなっているかもしれない。

 あの言葉は、『大事な人』なんていう言葉は私が産まれてからこれまで言われたこともないし、

きっと誰からも思われたこともなかっただろう。

 だからこそ、初めて私に『大事な人』と言ってくれた人、私を『大事な人』と思ってくれた人である凶弥には自分でも分からない感情がある。

凶弥と一緒にいたい。

凶弥ともっと話したい。

凶弥にもっと近づきたい。

そして、凶弥が少しずつこの施設での生活に慣れて一人でもやっていけるようになり私の助けが必要

じゃなくなることが…寂しい。

 凶弥が一人立ちすることはずっと彼の面倒を見ていた者として喜ぶべきことだとは分かっている。

 でも、素直に喜べない。一人立ちしてしまったら私が凶弥といる時間が減るし、話すことも減る、

 そうすればきっと私と凶弥の距離はどんどんと

離れて行くだろう。

 そう考えるとやっぱり素直に喜べない。

 凶弥にまだ一人立ちしてほしくない、もっと私の近くにいてほしいと思ってしまう。

 これこそただの私一人の我が儘に過ぎなくてそれによって凶弥を束縛するなんてことはしたくないし出来ない。

「はぁ、どうしようかなぁ…」

 ゴチャゴチャになった頭が整理できなくなった。

 それでも、分かっていることがある。それは、私は凶弥に『大事な人』と言われたことが途方もなく嬉しく、今自分には自分でも何か分からない感情があるということだ。

・・・少し考えたが今はまだ結論は出せない。

 でも、この想いだけはこれからもずっとずっと

持っていようと思った。

 いつかこの想いがまとまって、私の想いを凶弥に伝えられるその日まで。

今回は凶弥視点と凛視点の二つありました。

もしかしたら分かりにくかったかもしれませんがそこはすいません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。