第60話 風の都と、頑なな盾
フェリッサを出立して三日。
馬車は内陸へ向けて緩やかに高度を上げていた。あの港町を背にして以来、街道は相変わらず荷馬車が行き交っている。
だが――その光景を車窓から眺めていた翔馬の眉は、微かに寄ったままだった。
「……やっぱり」
「ん? どうしたんだエスティ」
御者台の窓から、ガルファンが首だけを巡らせる。
フェリッサの港を離れ、魚の目玉から解放されたガルファンは、すっかり機嫌を取り戻していたが、手綱を握る両手には決して油断がない。
「街道を走っている荷馬車ですよ。……僕たちと同じ方向、内陸へ向かう馬車は、どれも幌がはち切れそうなくらい荷物を積み込んでいます。でも――」
翔馬は、反対車線をすれ違っていく馬車の列へと視線を向けた。
フェリッサへ向けて下っていく馬車たち。その荷台の上には、空になった木枠や、折りたたまれた麻袋が無造作に転がっているだけだった。それも一台や二台ではない。すれ違う荷馬車の大半がそうだった。
「……対向の馬車には、何も積まれてない。港へ戻る荷馬車ばかりです」
「……あぁ、そういうことか。この先は王都ゼルガードだからな。すぐ近くには港町もあるが、海が使えねえからって荷を止めれば、王都が干上がるだろ」
ガルファンが舌打ち混じりに鼻を鳴らした。
「だが、逆は別だ。フェリッサに運んだって溜まる一方だ。テノラーダへ向かう陸便もあるんだろうが……いびつな一方通行だな」
「……海が止まった影響って大きいですね……」
翔馬は手帳の余白に小さく状況を書き留めた。
数字や帳簿を見ずとも、目の前を行き交う荷車の重さと軽さの落差が、この国の血流の異常さを物語っていた。
◇
さらに街道を進むこと数日。
なだらかな草原の彼方に、山の裾野が迫ってきた。
山と山が挟み込む巨大な渓谷の出口――扇状地の最も突端に都が姿を現した。
――ファルーダ王国の王都、ゼルガード。
「エスティ、あれ見て。大きな羽根がたくさん回ってる」
レオナが身を乗り出し、歓声を上げた。翔馬も思わず息を呑む。
青と白の石造りの街並みを取り囲むように、緩やかな稜線の上に聳え立っていたのは、幾十基もの巨大な布張りの風車だった。
――ゴォン……ゴォン……ゴォン……ッ!
谷から大平原へ吹き抜けていく風を受け、風車の巨大な翼が空気を震わせるような、重厚な唸りを上げて回り続けている。
風車の足元では木製や青銅製の歯車が幾重にも噛み合い、その動力が石臼や揚水機構、工房の設備へと伝えられていた。
石臼を回す製粉所、地下水や川の水を汲み上げる揚水機構、絶え間なく金属を打ち鳴らす鍛冶工房。
草原の国ファルーダは、その大地を走る風の力そのものを日常の動力へと変え、都市の呼吸を維持しているのだった。
「すごいな……。自然の風をそのまま動力にしてるんだ」
「名物の風車群だな。まぁ、街の規模で言やあ、ここから南西に半日下ったとこにあるライエアの方がよっぽど発展してんだが。あっちは平野の水運と物流が集まる商都だ」
ガルファンが街の輪郭を指差しながら解説する。
谷の奥、切り立った岩壁を背負うように聳える厳めしいゼルガード王城を遠目に見やりながら、馬車は都の喧騒をかすめ、東の郊外へと針路を取った。
「神殿は、街の外にあるんですよね?」
「ああ。ここから少しだけ東へ行ったところだ。ミレナ湖のど真ん中の島にある」
ガルファンの言葉通り、草原のなだらかな起伏を越えると、視界いっぱいに広大な青い湖面が広がった。
ミレナ湖。谷からの清冽な雪解け水を集めたその湖の中央に、こんもりと緑を湛えた中島が浮かび、その頂に嵐神の神殿が聳え立っていた。
水神の神殿が誇る澄んだ静謐とも、炎神の神殿が持つ重厚な熱量とも違う。
天を突く幾本もの白亜の尖塔。尖塔と尖塔の間には、精霊の加護を祈る幾千枚もの色鮮やかな祈祷旗が張り巡らされ、湖上を吹き抜ける強風でバタバタと激しい音を立てて波打っている。
湖岸から中島へと渡るために造られた白く頑丈なアーチを描く巨大な石橋が、一本の矢のように湖面を貫いていた。
「橋を渡るぞ。揺れるからしっかり掴まってな」
チャコとチャイが石橋へと蹄を踏み入れた、ちょうどその時だった。
ポツリポツリと冷たいものが、馬車の天井を打つ音が聞こえる。
(……雨?)
窓から見上げると、先ほどまで青く澄んでいた空には、いつの間にか低く雲がかかり始めていた。
風向きが変わっている。それも南西――ガルファンの言っていた商都ライエアの方角に、濃密な湿気を含んだ黒い雲が重く垂れ込めている。
内海から吹き込む湿った風に押されるように、その雲の帯がこちら――山側へ向かってじわじわと伸びてきていた。
ポツポツと石畳を濡らし始めた雨粒は、石橋を渡りきる頃には、しとやかな小雨へと変わり、湖面を無数の小さな輪で埋め尽くしていった。
「あー、雨脚が強くなってきたな。急ぐぞ」
石橋を渡り終え、神殿の外門前で馬車を止めると、一行は駆け足で神殿の巨扉をくぐり抜けた。
◇
神殿内部へ足を踏み入れた瞬間、翔馬は肌を刺すような異様な空気に足を止めた。
頭上高く抜けた吹き抜けの柱廊には、本来なら朗々とした祈りの詠唱や、巡礼者たちの穏やかな足音が響いているはずだった。
しかし、風を招き入れるように設計された開放的な神殿内に漂っていたのは、息が詰まるほどの疲弊と緊迫感だった。
「急ぎなさい! 監視所への交代要員はどうなっている!? 騎馬兵団との連携は!?」
「第四班の回復が追いついていません! 煎じ薬も足りていません!」
「構わん! 動ける者を先に向かわせろ!」
濡れた石畳の上を、神官や僧侶たちが血相を変えて走り回っていた。
誰もが着崩れた淡緑色の法衣の裾を泥で汚し、その目の下には、疲労を物語る濃い紫色の隈が刻まれている。
吹き抜ける風が、回廊の奥から苦い薬草の匂いを運んできた。
「……ひどい」
レオナが痛ましそうに胸元を押さえる。フェリッサで聞いた噂は、決して大袈裟なものではなかった。
内海で頻発する船の事故、その原因と目される海魔の出現に対して、ファルーダの神殿が総出で沿岸に駆り出され、組織全体が限界まで磨り減っていた。
「……すみません。取り次ぎをお願いしたいのですが」
翔馬は神殿の中ほどまで進むと、早足で行き交う若い神官へと声をかけた。
懐から取り出したのは、炎神の神殿オルバ神官長、水神の神殿ラウレンス神官長から預かった親書だった。
紫黒石のような黒い蝋と、水の静謐さを写し取ったような蒼い刻印のされた封書を手にした翔馬へ、若い神官は迷惑そうな顔を向けた。
「申し訳ありません。現在は非常時でして……って、えっ!?」
断りかけた神官の目が二つの封蝋を捉えた瞬間、顔色が一変し、神官は震える手で親書を受け取る。
封書と翔馬の顔を交互に見やると、ハッとしたように声を上げた。
「こ、これは……水神の紋章と、炎神の紋章……。あなたがたは……まさか!?」
「あ、あの!」
神官が声を張り上げそうになった瞬間、翔馬はすかさず身を乗り出し、右の人差し指を唇に当てた。
「大変な時にお邪魔して申し訳ありません。これを神官長様にお渡しいただければ、それで結構ですから」
「は、はい! ただちに……ただちに神官長代行へ渡してまいります! あちらの回廊で、少々お待ちを……!」
若い神官は親書を胸に抱きかかえ、転がるような足取りで奥の執務室へと姿を消した。
「ふぅ……。ひとまず、手紙は渡せた」
「おう。だが、この状況を見る限り、ゆっくりと茶をすすれるような状況じゃあねえな」
ガルファンが腕を組み、雨の吹き込む中庭を睨みつける。
回廊の石造りの長椅子に腰を下ろし、三人は一息をついた。
外の雨は次第に雨脚を強め、中庭の芝生を激しく打ち据えている。屋根から落ちる雨水が、ジャバジャバと濁った音を立てていた。
――その時だった。
奥の回廊――救護所や修練場が連なる一角から、複数の荒々しい足音と、怒号が響いてきた。
「待てと言っているだろう! ロイエル!! お前はこれ以上動いてはならん!」
「離してください……っ! 俺は……俺はまだ行けます……!」
静かな回廊に、甲高くも悲痛な声が木霊した。
翔馬たちが何事かと視線を向けると、角を曲がって飛び出してきた人影があった。
緑色の見習い神官服を身に纏った、一人の少年。
(……子ども……?)
歳の頃は十五ほどか。
まだまだ成長途上とでも言わんばかりの、細く頼りない身体つき。くりくりとした瞳とあどけない顔立ちのせいか、少女のようにすら見える。
だが、その姿はあまりにも痛々しかった。
薄茶色の癖毛は冷たい脂汗でびっしりと額に張り付き、剥き出しになった顔色は土気色を通り越して白蝋のように青ざめている。
唇はカサカサにひび割れ、荒い呼吸を繰り返すたびに、細い肩が小刻みに跳ね上がっていた。
何より異様だったのは、その足取りだった。
壁に爪を立てるようにして身体を支え、一歩を踏み出すたびに、膝がガクガクと激しく笑っている。
「……俺が行かなきゃ……!」
強気の言葉とは裏腹に、壁から手を離せば、今すぐにでも床へ崩れ落ちてしまいそうなほど、身体の芯の力が完全に抜けきっていた。
それなのに、その美しい琥珀色の瞳だけが、異様なほど強い光を失わずひたすら前だけを見据えていた。
「無茶を言うな!」
背後から追いついた中年の神官が、少年の細い肩を力任せに掴んで引き留めた。
「二日だぞ! まともな休息も取らずライエアに入り続けていたというのに! これ以上の無理は命を落としかねん! それが分からんか!」
僧侶の叫びは、必死の制止だった。だが――ロイエルと呼ばれた少年は、振り絞るような力でその腕を激しく振り払った。
「ライエアは、まだ人が足りてないんです……! 荷役の人たちや、船乗りたちの港を守らないと……! 俺が……俺が休んだら、その穴を埋めるために、また誰かが倒れるじゃないですか……っ!」
びりびりと空気を震わせる絶叫が回廊にこだまする。
肩で息をしながら、少年は涙の滲む目で先輩神官を睨みつけた。
「誰かに負担が行くくらいなら……俺が倒れた方がいい! 俺は結界魔法なら得意です! まだ動ける……動けるんですから、行かせてください……っ!!」
少年の悲痛な叫びが、神殿の回廊に再び響き渡る。
神殿内の誰しもがその少年の姿を見やり、視線を落としていた。
「ロイエル、お前は……!」
「俺は……俺が……守らなきゃ……ッ!」
少年が叫び、再び前へ足を一歩踏み出した――その瞬間だった。
プツンと、まるで張り詰めていた見えない糸が断ち切れる音が聞こえたように、少年の膝が完全に脱力し、身体が木の葉のように傾いた。
受け身を取る気配すらなく、少年は硬い石畳の床へ向けて、前のめりにまっすぐ倒れ込んでいく。
「あっ――!?」
神官が手を伸ばす。だが、その距離では間に合わない。少年が床に倒れ伏す、その刹那――。
サッ、と冷たい風を裂いて滑り込んだ影があった。
「――おっと!」
ドサリ、と鈍い音が回廊に落ちる。だが、少年が石畳に叩きつけられることはなかった。
中年の神官が呆然と目を見張る先。間一髪で滑り込んだ翔馬の両腕が、宙で投げ出された少年の細い肩と胸を、しっかりと抱きとめていた。
「……セーフ……って……熱いね。君、熱あるんじゃないのかい?」
腕の中に収まった少年の身体から伝わってきた感触に、翔馬が思わず問いかけた。
まるで焼けた石を抱いたかのような、尋常ではない高熱。そして――恐ろしいほどに軽かった。
服の上からでも感触が分かるほどの華奢な身体。
無理に無理を重ねて限界をとうに超えていることが、腕を通じて生々しく伝わってくる。
(……相当無理しているように見えるけど……)
翔馬の胸の奥を、チリリと苦い痛みが掠めた。
かつて、この世界に放り込まれたばかりの頃。ラグロニーネの二人の事情を知り、何とかならないかと自分を追い込んでいた頃の、あの息苦しさが胸の奥に蘇る。
理由は違う。それでも、自分自身を削ることを躊躇わない少年の姿が、どうしようもなく胸に刺さった。
「……あなたは……?」
腕の中で、少年の睫毛がかすかに震え、琥珀色の瞳が薄く開いた。
焦点の合わないぼやけた視界で、ロイエルは自分を抱きとめている見知らぬ黒髪の青年を見上げている。
「……あ。すみません。僕はエスティといいます。君、具合悪そうだけど……休んだほうがいいんじゃない?」
翔馬はふっと我に変えると、努めて穏やかな、けれど決して動かない確かな声音で囁いた。
だが、少年は弱々しく首を振った。
「……離してください……。俺は……まだライエアへ……」
小刻みに震える細い指先が、翔馬の胸元の半外套を押し返そうとする。
だが、その指先にはもう、布地を握りしめる力すら残っていなかった。
カクン、と首が折れ、少年は今度こそ完全に意識を手放し、翔馬の腕の中で深い闇へと沈んでいった。
「なんて酷い熱……! エスティ、早く横にしてあげて! 私、薬草を取ってくるので!」
駆け寄ってきたレオナが、少年の青ざめた額にそっと手を触れ、悲鳴のような声を上げる。
そしてバタバタと神殿の入り口へ停めてある馬車へと走っていった。
そのすぐ後ろで腕を組んでいたガルファンが、苦々しげに舌を打ち、気を失った少年を見下ろす。
「……守る側がぶっ倒れてどうすんだよ」
翔馬は苦笑する。ガルファンの呟きには、怒りと同時に、危うい崖っぷちを全力で疾走する少年に対する、深い苦々しさが滲んでいた。
「あ、ありがとうございます、旅のお方……! おい、担架を持ってこい! 早くロイエルを看護室へ運ぶんだ!」
我に返った神官が駆け寄り、奥から走ってきた若い僧侶たちとともに、翔馬の腕から少年を慎重に受け取った。
担架に乗せられ、ぐったりと揺られながら救護所へと運ばれていく少年の背中を、翔馬は立ち尽くしたままじっと見送った。
手のひらに残る、あの痛々しい熱と、壊れそうなほどの軽さが、いつまでも消えなかった。
◇
少年が運ばれ、回廊に再び静寂が戻りかけた。
外の雨は勢いを増し、中庭の木々を激しく揺らしている。
「……あの子、どうしてあんなになるまで……」
レオナが窓の外を見つめながら、ぽつりと呟いた。
水神の神殿から持参していた聖水や薬草、気付け薬を神殿の神官へ渡したものの、ロイエルには何より安静が必要とのことだった。
「……さあな。だが、ありゃあ死ぬまで止まんねえヤツに見える。自分の命を天秤の皿に乗せるような大バカだ」
ガルファンが眉間を揉みほぐしながら吐き捨てる。
翔馬は何も言えず、ただ少年の熱がまだ残っているような右手を、固く握りしめた。
――その時だった。
神殿の頂、天を突く尖塔の鐘楼から、鼓膜を劈くような激しい乱打音が鳴り響いたのは。
――カン、カン、カン、カン、カンッ!!
耳を塞ぎたくなるような、切迫した早鐘。平時の祈りを告げる鐘とは、明らかに違う。
「な、何事だ!?」
「緊急警報!?」
回廊を歩いていた神官や僧侶たちが足を止め、一斉に顔を見合わせる。
その混乱を切り裂くように、正面の石橋の方角から、水飛沫を激しく跳ね上げる蹄の音が突進してきた。
神殿の大扉が、ドンッと外側から乱暴に蹴破られるように開かれる。
「――っ、緊急報告――!!」
転がり込んできたのは、一人の騎馬兵だった。
身に纏った鉄の軽鎧は泥と水飛沫で見る影もなく汚れ、乗ってきた馬は口から激しい泡を吹いてその場に倒れ込んでいる。
「ライエアから、急報です!」
伝令の絶叫に、回廊中の神官たちが息を呑んで立ちすくんだ。
肩で激しく息を乱しながら、伝令は血を吐くような声で叫び続けた。
「ライエアで再びの豪雨! 港近辺に浸水あり!」
「な、何だと……!?」
「このままだと、アファルド川から水が溢れそうです! そうなっては街の守備隊だけで抑えきれません! 街の半分が水没します!!」
張り詰めていた神殿の空気が、一瞬で弾けた。
「ライエアって……さっきロイエルって子が言っていた?」
翔馬がつぶやくと、ガルファンが青ざめた顔で顎を引いた。
「あぁ、商都ライエアだな。あの辺はここより低いはずだ。大雨が降れば水も溜まらぁな」
伝令が床に手をつき、切実な表情と声を上げて頭を下げた。
「王都にも応援要請をしております! どうか! 神殿からの応援も!」
「あ……あぁ! 動ける者はいるか!」
「そっちの班はどうだ! 行けないか!?」
神官や僧侶たちが、再びざわめき立つ。誰もが神殿内を見やるが、誰もが疲労の色濃く動けるような状況になかった。
翔馬の心臓が、ドクンと嫌な音を立てて跳ね上がっていく。
「……ガルファンさん、ここからライエアってどれくらい離れてるんですか?」
「ん? ……そうだな。五~六刻もあれば。ただ、この雨だかんな。もう少しかかりそうだが……」
ガルファンの言葉通りであれば、伝令はそれくらい前にライエアを出て、今ここにいる。
馬を飛ばしてきたとしても、出発時点で川の水が溢れそうだった。であれば、今ライエアの街がどうなっているのか。
翔馬の頭に嫌な光景が浮かんだ。
「……伝令が出た時点で危なかったのなら、もうとっくに川の水が溢れているかも……」
「え? そんな……!」
レオナが息を呑んで両手で口元を覆う。騒然となる回廊の奥。
救護所へと続く扉の隙間から、ガタッと微かな音が漏れ聞こえた。
運ばれていった少年――ロイエルが、意識の底で、その絶望の叫びを聞き取っていた。
「……ライエアが……?」
外の雨は、もはや豪雨となって窓を叩きつけていた。
止まった港。
倒れた少年。
そして――半日前の報せの向こうで、今なお街を呑み込んでいるであろう濁流。
風の都ゼルガードと神殿を包む風は、急速に冷たく、凶暴な嵐へと姿を変えていた。




