第0話 :世界が滅びた日。
その日、世界は大厄災に呑まれ、人類の97%が死亡した。
原因は今でも分かっていない。
突如として世界中の国や街を様々な厄災が襲った。
ただそれだけが確実で、それ以上詳しいことを調べる余裕のある組織などなかった。
モナーク王国のはずれ、綺麗な白髪に狐の耳と尻尾の生えた幼い少女が泣きながら瓦礫を退けようとしていた。その下には先ほどまで笑って話していたもう一人の少女が埋まっている。狐の少女には過去や未来を見る力があったが、そんなものは何の役にも立たない。
その泣き声を聞いて一人の若い男がやってきたが、彼にもその時はまだ瓦礫を退ける力はなかった。それに例えこの瓦礫を退けることが出来ても、出てくるのは血だまりと潰れた肉塊だけだろう。
男に出来るのは、生きている命を生かすことだけだ。彼は狐の少女を連れて、流星の降る祖国から逃げた。
男はこの時のことを後悔していた。
もし自分にあの瓦礫を退ける力があれば、その下の誰かが助かる可能性もゼロではなかったのかもしれない。
それか、せめてあの地獄の街をもう少し歩いていれば、他にも救えた人が居たかもしれない。
もちろんそれが結果論であることは分かっている。だがなんの力もなかった彼でもそう思ってしまうほど、あの時の犠牲者は多かった。
街明かりが見えなくなった世界で、小さな焚火に照らされた男は決意する。
あれから男は狐の少女と同じように特別な力を手に入れた。
今ならただ逃げるだけだったあの時とは違う。災厄は終わっていない。今も世界中に抗う人々が居る。救われるのを待っている人が居る。誰かが立ち上がらなければ、この世界はゆっくりと滅びに向かうだろう。
男が組織したのは〈Live And Let Live〉、通称LALLという組織だった。
もしかしたら、その時LALLを率いているのは自分ではないかもしれない。しかしそれでも、きっとLALLは世界を救う組織になると、彼も、共に焚火を囲んでいた狐の少女と大柄な男、銀髪の少女も確信していた。




