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1日を2度体験出来る男の人生譚  作者: うんも


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12/22

神崎占音 ー終ー

土日は書いてません(´;ω;`)

基本は平日1時間半程です。

楽しんで頂けたら嬉しいです。

 今私の居るホテル。これが私の予見したホテルである。


 「神咲さん本当にありがとうございます。あの時占って貰って本当に良かったです。まさかここまで成長するとは」


 「いえいえ、私はただ助言しただけですよ。ここまで大きく出来たのは布袋田(ほていだ)さんの手腕ですよ」


 「またまたご謙遜を。今なら分かるんです。もし神咲さんがオススメしていない案を選んでいたらどうなっていたか。まるで神託を受けた気分でしたよ。それはそうと、新たに2号店をオープンさせようかと考えているのですが、また占って頂けないでしょうか?」


 「それは勿論。布袋田さんのお蔭(かげ)で私の知名度も上がったのですから」


 「そう言って頂けると助かります。所で今日も占っていくのですか?」


 私は定期的に布袋田さんが経営するホテルのレストランにお邪魔している。


 理由は簡単。このレストランはそれなりに高級路線で、来店するお客様の格式も高い。


 人脈を広げるにはこれ以上ない場所なのだ。



 「そうですね。占っていきます」


 「そうですか。何でも不定期開催にも関わらず、神咲さんの占い目的で来店するお客様もいるらしいですよ。今日のお客様は運が良いですね。おっといけない。私はこれから2号店オープンに向けての打ち合わせがあるのでこれで失礼します。神咲さんもゆっくりして行ってください。それでは」


 そう言って布袋田さんはレストランを後にした。


 私もそろそろ始めますか。マイクを手に取り、ステージに上がった。





 『皆様、当ホテルのレストランをご利用頂き誠にありがとうございます。私、神咲占音(かんざきうらね)と申します』



 各テーブルから拍手が聞こえる。中には食事するのに絶対に必要無いであろうファイルを手にしている人もいる。


 布袋田さんが言っていた様に占いをメインで来店する人も居るようだ。



 『今日私と巡り会えた事を記念して、この場に居る全員を占い、神託を差し上げます。順番に占いますので前のテーブルの方からステージにお上がりください』



 人数はそれ程多くなく、10人〜15人といったところ。占うのにそれ程時間はかからない。名刺を渡すのも忘れない。


 占う内容もビジネス関連が多く、どの案が良いかと具体性があり、それ程時間はかからなかった。


 中には、今日一緒に来た彼氏と上手くいきますか? みたいな昔を思い起こせる依頼もあった。




 皆が皆、自分自身の占いをする中、その女性だけは変わった依頼をしてきた。



 「初めまして、天瀬と申します」


 「こちらこそ初めまして。早速ですが占って欲しい内容は何でしょうか?」


 「はい! 今日皆月さんと言う方と一緒に来たんですが……」


 ここまで聞いたらもう分かる。


 上手くいきますかー? とか、幸せになれますかー? とか、恋愛相談に決まっている。


 後に続く言葉を予想しながら話を聞いた。




 「その皆月さんピンチになったりしますか?」


 思わず目を見開いてしまった。


 ピンチってまず何? 100歩譲って自分がピンチになるか、ならないか占うならまだ分かる。


 他人のピンチを占ってどうすんの? この女全く理解できない。

 しかも内容が抽象的すぎ! ピンチってなんなの? 小学生でももっとマシな内容占うわよ!


 「ちょっと内容が抽象的で難しいけど占って見るわね」


 そう言って占い対象である男性を見つめた。



 「結果が出たわ。そうね……さっきも言ったけど内容が抽象的で難しいわね。ちょっとしたピンチは分からないけど、少なくともこの1週間、1ヶ月、いや、1年は大きな事故や怪我はしないわよ」


 私は目に写った3枚からその様に答えた。


 「そうですか。わかりました! ありがとうございます!」


 私の占い結果に満足したのか、嬉しそうに自分のテーブルに戻って行った。変わった女性である。






 その夜は、布袋田さんのホテルに泊まらせて貰うことになった。


 無駄に大きいベッド、広い浴槽、普段利用できない高級な客室を堪能していると1本の電話がかかってきた。


 「もしもし、今日レストランで占って貰った天瀬です。神咲さんのお電話でしょうか?」


 天瀬、天瀬……あぁ、あのよく分からない占を頼んできた人か。こんな夜にどうしたのかしら?


 「あっもしもし、神咲です。こんな時間にどうしたんですか?」


 「あの、どうしても言いたいことがありまして……当たらない占いで人を騙すのはやめた方がいいですよ。それだけです」


 それだけを言い残して電話が切れてしまった。


 「何あの女。怖い」


 私の占いが当たらない? あの男性の1週間、いや1年は大きな怪我や事故はしないはず。


 もしかしてあの男性に何かあったのかしら? 


 モヤモヤしながらもその日は寝ることにした。

お読み頂きありがとうございます。


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