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31-2話  女狐

にっけ達が唐突な停電に焦った頃の出来事である。


ABCDEモールは封鎖されていた。

南の出入り口では警察の格好をした者が、3人で自動ドアの前に立ち出入りを制限していた。

どこの入り口もこんな風である。

ちなみに彼らはあくまで警察の格好をしている偽者である。


「まったく、せっかくの活動だってのになんで俺等は気味悪いバケモンの活動のために入り口塞いでなきゃいけねーんだよ」

紫髪野郎が呟いた。

「あんな似非人間達のために、俺らがムシ暑い中突っ立ってなきゃなんねーなんてな」

同じく偽警察の、金髪野郎は頷く。

「馬鹿野郎ども、同じ地球再生党の仲間をそんな風に言うんじゃない!」

一番背の高い、リーダーである髪の色が普通に黒野郎が怒鳴った。

そして「まったく、ほら、近づいて来てる人間がいるぞ」と言った。


彼らはの仕事は誰か来れば「事件が起きていて危険だから」と止めること。

今回やって来た女性に対してもそうした。


だが、回れ右シテ帰れと言われてもケチをつけるひねくれものはいる。

「あのさ、警察手帳出してよ」

そいつはあくどく、ケケケと笑った。

変な格好だった。グレーのボディースーツに身を纏っている。

彼女はせつながここにいればボンキュッボンと表現し、にっけがならば筋肉質なグラマーと表現するような体型であった。

性格が悪そうな顔つきなのに茶髪が良く似合っている美人。

スーツへそのあたりに狐の顔のペイントがされていることもあり、女狐という言葉が似合う。


「あッれぇ出さないのォ?出す義務、あるんだがどういうことかなァ―――?」

無視されながらも、にやにや笑いながら女狐は一歩進み出て、偽の警察達の顔を一人一人のぞき込む。

紫髪と金髪の野郎等は委縮した。

性格はどう見ても悪そうだが、美人であるから、女性に慣れていない彼らの視線が胸に吸い付けられる。

が、彼らのリーダーはそういうワケでも無い。

「……忙しいから邪魔をするな、ほら、見ろ」

黒髪野郎が無感情に、擦り寄って来る犬でもしっしと追い払うように手を振る。

「とっころで、君たちはどこの署の誰さんかなァ?私のスマフォで110番して確認しちゃおっかァ!?」

そう言われ、偽物たちに一瞬緊張が走った。


バレるならば。腰につけた拳銃にそれぞれ手を当てる。これは、本物だ。

だが、女狐は電話なんてしなかった。

その緊張で悟っていた。。

「あっれぇ、もし君が合法で問題の無い警察官なら、何の問題もないハズなんだけど?もしかしてコスプレ詐欺師クンだったかなァ?最近地球再生党が復活してるとか聞くし怪しいなァ……10割くらい正体わかった」


偽者たちが互いに目配せする。

拳銃を構える。その瞬間

「ところで、なんだァ‼‼?あそこに置いてあるアレはぁ‼‼」

人の鼓膜を破ろうとしているかの如き大声で女狐が叫んだ。何かを指さしていた。

暗闇の中、胎動するかのように蠢いている。

しかし、尋常でない声量に偽者たちは怯んでいて。

何かがなんであるのか、なんて判別がつかなかった。


その隙に、さっと走って、何かに女狐はまたがった。

「ちなみにコレは……この私の、相棒だァ――――――ゥ!‼」

それはバイクだった。

黒々と渋い光を放つ、重厚感あふれるバイクだった。


それが自動ドアに突っ込んだ、偽物たちはどうにか避けたが自動ドアは避けられない。

ガラスをぶち破りながら、モールの中をバイクが駆ける。

「ヒャッハー!ぶちあげァ――――――ヒャハハハハハハハハハ――――――!なんで店内真っくりゃあ?!まぁいうあ――!なんか空気淀んでやがってなすってぇ――‼?」

呂律が回らぬほどの狂気が走る。


女狐は”ついで”のようにモール内の服屋の前にあったマネキンをはったおして、観葉植物を掴んで後ろにぶん投げる。

女狐の背を狙い、偽の警察たちはバンバンと拳銃を撃ったが女狐が散らかしたモノが邪魔をして命中しない。


「呼ばれたから一瞬で来てやった、感謝しろ一閃さんよォ――!」

銃声や女狐の叫びは、反響して。

休憩広場にまで届いた。


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