「うん……〝傀儡の勇者〟が私のお父さん……」
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「こんなに…… 良いのか?」
「ああ、イーサンには世話になったからな」
「イーサン殿、ありがとうございました」
「鬼坊主…… いや、カイト。お前ならば、俺より優秀な盾役になれるさあ。がんばれよ!」
「はい!」
あの坑道でのゴーレム戦から……〝1月〟が過ぎて、イーサンにその間のカイトの指導の報酬を多めに払って、イーサンと別れた。
イーサンは、冒険者を引退する為に所属先のクランに戻るそうだ。
「あんた等のおかげで、やりたい事ができたからな…… 先ずは、冒険者としてのけりって奴を着けに帰る事にした」
クランを抜けて、新米冒険者の指導する事にした様だ。
イーサンの乗る馬車を見送り、俺達も次の場所へと移動する事にした。
「本当に……〝私〟が一緒でも良いの?」
出発の用意を終えて、魔導車に乗り込もうとした時に……
震えながら、幼女がタロウに声をかける。
「ああ、行くぞ! 早く乗れよ……【スズ】」
あのゴーレムを操っていた〝ハーフ魔族〟の幼女の名前は【鈴】と言う名で、父親が俺達の前に転移した勇者の一人だったそうだ。
スズのゴーレムを倒した後…… 俺は、スズの生い立ちを聞く事にした。
「ここは……」
気を失ったイーサンを背負い坑道を出た後で、神に貰った〝持ち運べる家〟の中……
「先ずは自己紹介からか? 俺はタロウ。君の名前は?」
「スズ……」
「スズ? 父が名付けた名前か?」
「うん…… お父さんが付けてくれたって…… お母さんが言ってた……」
「君のお父さんは……〝勇者〟かい?」
「うん……〝傀儡の勇者〟が私のお父さん……」
「傀儡?」
「人形やゴーレムを操って活躍したらしいよ……」
「道具操作系の勇者か…… その人は今は?」
「突然消えたって…… 邪神の復活を指示していた魔王が倒されたからだって…… お母さんは言っていたよ……」
「何年前の話だ? 君は何歳なんだ?」
「解らない…… 私が生まれたのは、お父さんが消えた少し前で…… お母さんは、お父さんに助けられた奴隷だって言っていたから…… それに、他の魔族に襲われた時に…… お父さんのゴーレムの中にお母さんが私を封印したの…… 悪い魔族が私を狙っているって……」
どうやら…… スズは、お父さんのスキルを継承した様で、ゴーレムを操る事ができたらしい……
「その力を狙って、君が悪い魔族の手に落ちない様に封印したのか…… 何年封印されいたのか……」
「私…… どうなるの……」
「ふぅ…… 改めて言おう。スズ、俺達と一緒に行かないか?」
差し出したタロウの手を……
スズの震える手が戸惑う様に、躊躇いながらも掴んで……
「私…… 一緒に居ても…… 良いの?」
「ああ…… スズ、これからよろしくな」
こうして、新たな仲間を連れて……
俺達は、次の旅に出るのだった。
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