「お前も…… 被害者なんだな」
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「タロにぃ、コイツだ! コイツが鉱石を盗んでたんだ!」
ゴーレムを見たフレアが叫ぶ。
「なら、特殊な鉱石の塊って事かよ! みんな、ゴーレムに気を付けろ!」
「私のゴーレムは強いんだ! お前達なんかに負けるか!」
「うん? この声…… 魔族なのか?」
「魔力からして…… 魔族のはずだけど」
ゴーレムの後ろから聞こえる声に…… 違和感を感じた。
「ともかく、ゴーレムとコボルトをどうにかしないと…… 確認どころじゃないな」
迫り来るゴーレムを見ながら、コボルトを蹴り飛ばす!
「フレア! コイツの身体の弱い処は!」
「右の脇腹! そこだけ素材が弱い!」
「イーサン、カイト、ゴーレムの体勢を崩してくれ!」
「簡単にむちゃを言ってくれる!」
「任せろ!」
向かって来たゴーレムのパンチをイーサンが受け流し、カイトがゴーレムの軸足に盾で突撃した!
「うりゃあ!」
ガシャン!
激しい金属音が鳴り響き! ゴーレムが傾く!?
「食らえ!」
フレアの示した弱点に、魔弾を撃ち込む!
ビギッ!
「効いたか?」
「油断するな!」
ゴーレムの脇腹に罅が走るが…… ゴーレムは身体を捻りながら、カイトを殴りに掛かる!
「くっ!」
「させね!」
カイトが盾を構えるが、イーサンが盾でゴーレムを殴る!
「ぐう!?」
ゴーレムが標的をカイトからイーサンに変更して、イーサンを殴り付けた!
「イーサン!」
「てめぇ、止まれや! サンダー!」
イーサンが吹き飛ばされたが、タロウがブーストキックで、電撃を罅が入ったゴーレムの脇腹に叩き込んだ!
ドッゴーン!
その電撃が効いたのか? ゴーレムの罅が広がり…… 崩れ落ちた。
「後は、魔族だけ……って、子供?」
「そんな…… 私のゴーレムが……」
ゴーレムを倒せたが、そのゴーレムを操っていたのは…… アリスくらいの少女でした。
「この子が…… 魔族なのか?」
「間違いないけど…… この感じは、人が混ざってるわね」
「ちがう…… 私は、強くないと…… 負けたらダメなんだ…… じゃないと…… おかあさん……」
「それは……」
涙をこらえる少女が握る〝物〟に見覚えがあった。
「お前も…… 被害者なんだな」
魔族の少女が握り締めていた〝物〟は…… 神社でよく見る〝御守り〟だった。
「タロ兄?」
「イーサンは?」
「大丈夫、気絶したけど軽い怪我よ」
「コイツ…… どうする?」
「どうやら…… 転移者の娘の様だ。なあ…… お前、一人か?」
「ヒィ!?」
話し掛けたら…… 今にも泣き出しそうに脅えている。
「しゃねぇなぁ…… おい、俺はタロウ…… お前の親と同じ処から来た者だ。お前の親はどうした?」
「親…… 死んだ…… 私を逃がす為に……」
「そうか…… お前を狙う奴がいるのか?」
「いる…… 父さんが勇者だったらしい…… だから、私は特別だって…… だから狙われるって…… 母さんが言っていた……」
どうやら…… この魔族少女は、先代の勇者の娘らしい。
「はぁ…… おい、俺達と来るか?」
俺は…… この今にも泣き出しそうな少女を、誘う事にした。
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