「男は、外に出て! 早く!」
「ソードマンの剣の持ち主か?」
【魔導家】に、運び込んだ人物に注目が集まる。
「このひと… だぁれ?」
「まだ解らないから、アリスは近付いちゃダメだぞ」
「あい!」
「リリルと別の部屋にいてくれ。リリル、頼む」
「あい! ますたー」
リリルがアリスと、別室に移動したのを確認して…
「アニア、頼む」
「はい、始めます」
アニアが【神聖魔法】を使い、回復を始めた。
「どうだ?」
「アニアは中々優秀よ。今の教団で、アニア並みに神聖魔法を使いこなす人物は少ないわ」
エルが、神聖魔法を使うアニアを見て、満足そうに説明してくれる。
「ハナちゃん、どんな人物か解るか?」
「たしか… 中学生で、職が【魔法剣士】だったはずです」
「魔法剣士… どっちのタイプだ?」
「タイプ?」
「魔法も使える剣士か、魔法剣が使える剣士か、ですよね? すいません… 一緒に戦った事がないので…」
「解らないか?」
「はい…」
「気にするな。本人に聞こう」
アニアが一息ついて、こちらを見る。
「見えるところは、治療出来ました。あとは…」
ああ… 服の下か…
「俺が持ち上げるから、脱がしてくれ」
ゆっくりと上半身を起こして、鎧を脱がせる。
「見たところ… 出血は、してないな?」
「打ち身の確認をしましょう。服も脱がして」
「「「!?」」」
「男は、外に出て! 早く!」
「えっ? ちょ!? 俺、支えてるんだけど…」
「ハナちゃん、目隠し!」
「は、はい!」
ハナちゃんが手で、俺の目を塞ぐ。
「うぅぅ… タロウさん、屈んで下さい! 手が届きません!」
「わかった… エル、どうしたんだ?」
「この子… 女の子よ」
「マジか… 俺… 出ようか?」
「直ぐに終わらせるから、大丈夫よ。アニア、始めて」
「はい!」
ハナちゃんに手で目隠しされたまま… 魔法剣士の少女を支えながら、しばらく… がまんする。
「終りました」
「着替えさせるわよ。そのまま支えて」
「早くしてくれ… ハナちゃんが限界だ」
俺を目隠ししているハナちゃんの手が震えてる… 疲れたのだろう。
「終ったわ」
「う~ 腕がつりそうです」
「お疲れ、どんな様子だ?」
「落ちた時に打ったのね… かなりの打ち身があったわ」
「頭も軽い怪我をしていたので、しばらくは… 安静ですね」
「厄介な事になりそうだな… とりあえずは、アニア、アリスと一緒にしばらく、この部屋に近付くなよ」
「はい…」
「しばらくは、アドルフを見張りとして、部屋の前に待機して貰う。ハナちゃん、交代でジャンヌかローザもつけてくれ」
「はい」
さって… しばらく、来れなくなりそうだから… 採取しまくるか?
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