謁見の間にて
エリーは上を見上げた
グランドベルク国国王の城門は大きく門が開くまで数分の時を要する
いったい何人の手でこの城門は開くのだろうか
そんなことを考えていると
大きな音を立ててゆっくりと城の扉が開いていく国王陛下万歳という多くの衛兵の声が場内をこだまする
私は、魔王の一人とつい先ほどまで対峙をしていたのだ
ふと思い出した瞬間涙が込み上げてきた
抱きかかえたエルクは、やさしい顔をしてすやすやと眠っている
エリーを乗せた馬はそんなこと知る由もなく歩みを止めることはなかった。一歩また一歩と場内へ進んでいった。
石造りの階段を上っていき私たちは謁見の間に通された一緒にジークベルさんがついてきてくれた
謁見の間は真っ赤なフカフカの絨毯が敷き詰められており正面に一つの玉座
私はすぐに来るという国王をただただエリクを見つめながら待っていた
「待たせてしまってすまぬな」
国王がカーテンの裾から入ってきて玉座に腰を下ろした
先ほどの鎧を脱ぎ赤いマントを羽織り冠を着けていた
「国王様」
エリーは片膝をつき深々と頭を垂れた
「コール・エリーよ頭をあげなさい、君をここに連れてきたのはそなたの亡き夫エリクは、勇敢に戦いそして死したその栄誉を称えそなたの家コール家に貴族としての地位を与えることとする」
「そんな、そんなことあってはいけません。私の夫は私と子供を守りましたが何一つとして王国のために働いてはおりません」
「そなたの夫コール・エリクはその子供コール・エルクを守った。エルクは魔王が狙っていた子供であったその子供を守った功績はとても大きい」
「では、私とエルクは今後どのようになるのでしょうか」
「城下にて貴族として生活をすることを許す」
「ありがたき幸せ謹んでその栄誉賜りたく存じます」
「エリーよその子をよく見せてくれぬか」
エリーはエルクを国王に渡す
「ぎゃあぎゃあ」
先ほどまで寝ていたエルクが突然泣き出した
「エルク、君のお父さんが守った命今度は国が守っていくからな大きくなった時お父さんのようになりなさい」
そういいながら優しくエルクの頭を撫でた
「いい子だ、きっと勇敢な子に育つだろう」
「国王様、本当にありがとうございます」
ジークベルが国王に疑問をぶつけた
「魔王が言った一言とエリクの光あれはいったい何だったのでしょうか」
「あの光はきっと光魔法である」
「光魔法とは使えるものは数限られておりますそれも光魔法は純血の遺伝でしか受け継がれぬ希少な魔法なぜこの子が」
ジークベルが言う通り光魔法を使える魔術師は本当に少なくほとんどが王国の軍に所属をしている
さらに、会話のごとく遺伝でしか見ることができない魔法であるため、親子そろって軍に所属しているパターンが多いのだ
「国王様、私は火の魔法を使います。夫は土の魔法です、そしてエリクは生まれながらにして魔力を持っていないと診断をされたのです」
「では、遺伝ではないということか少し調べてみる必要があるな、なんにせよ光魔法を扱えたエリクは我が国においても希少な存在である尚更この城で育てなくてはならないな」
「この子が大きくなりましたら、私が指導をしてもよろしいのでしょうか」
「おお、それは良いことじゃ、ジークベルなら信頼もできる任せよう」
「ありがたき幸せ」
頭を下げて答えた
「エリーよ、よいな」
「もったいない限りでございます
ジークベル様どうぞよろしくお願いいたします」
エリーは深々と頭を下げた
「さて、エリーこれから、エリクの弔いをせねばならぬ、すぐに部屋を用意させるからそこでしばしまたれよ」
「ジェイルよエリーを案内してあげなさい」
ジークベルは扉のほうへ体を向け1人の女性にむけていった
「エリー様お初御目にかかります、ジェイルと申します。これからジェイル様の身の回りのお手伝いをさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします」
トパーズを思わせる瞳に一つ結びのブロンドの髪の毛が特徴的なジェイルと呼ばれた女性はエリーに近づき頭を深々と下げる
「そんなに頭を下げないでください」
「いえ、エリー様ここれからお仕えさせていただく身でございますのでこのままでなければ私が咎められてしまいますわ」
話し方から上品さを感じることができる彼女はそのまま続けた
「これから、エリー様エルクお坊ちゃまの部屋をご案内いたします今後身の回りのことは私にお申し付けください」
「わかりました、これからよろしくお願いします」
エリーも頭を下げて答えた
「では、ご一緒に部屋まで行きましょう」
「ジークベル様、国王様、この度の一件では本当にありがとうございました。この語もどうぞよろしくお願いいたします」
膝をつき頭を下げるエリー
「エリーさんまた呼びに行きますのでお部屋で待っていてください」
ジークベルが言った
「では、失礼いたします」
エリーは謁見の間を後にする
それを目で追う国王とジークベル
カチャンッッ
扉が閉まった音がすると同時にジークベルは口を開いた
「エリクの死は想定通りでした、が、、、エリーが残ってしまったいかがいたしましょうか」
「ジークベルよ後は、ジェイルに任せておけば大丈夫だ彼女は優秀な暗殺者であろうあの程度の母親すぐにエリクの後を追わすことができようぞ」
不敵な笑みを浮かべ国王はジークベルの問いに答える
エリクの死は国王とジークベルの中では決まっていたことであった
さらにその戦場でエリーも犠牲になると踏んでいたのだ
思い通りにいかなかったため城に連れてきてそれから処分を考えていたのであった
「エルク、、、あの子は光の魔術を使える希少な子供しかし、その親が農民の子供ではいかんのだよ、早く私の子供として迎え入れる準備を始めよう」
「あの子は魔王にも狙われるほどの子供この国にとって大変価値のある子供でしょう」
ガチャ!!!
「誰だ!!!」
ジークベルが振り向くとそこには
1人の青年が立っていた
「お偉いさんたちの考えることはすげーな」
「レイド君、君の趣味は盗み聞きかね」
活発な性格を思わせる短髪の赤髪に真っ赤な瞳を持った少年は扉にしっかり耳をつけて中の話を聞いていた
「人聞き悪いですねジークさん、興味あるお話だったので」
「だからと言って盗み聞きしていい話ではない、それが最年少天才騎士であってもだ」
「俺は、エルクって子供に興味があってね、光の魔法を扱いあの魔王べリエルを追い返す?そんな子供見たことがない!だから、その子供俺がもらっていいかな」
「よさぬか!!」
「レイド、お主であっても無礼であるぞ」
「これは、これは国王様失礼いたしました」
膝をつき頭を下げる
「国王様レイドに謹慎処分を言い渡してくださいこのままでは城内に計画が広まってしまいます」
「いや、俺はそんなこと言わない。ただ、あの子を俺の手で最強の騎士に育て上げるといっているだけだ交換条件でいかがでしょうか?」
「いや、この件はジークベルに一任しておる、お主がいかに優れた騎士であろうともエルクの件はどうしようもできぬぞ」
「そうですか・・・なら、私は私の好きにさせていただいてもよろしいということですね」
「レイド!!いい加減にしないか」
「まぁジークベルよレイドも我が国の騎士である、言ったことを曲げたりましてや先に入っとったことを破ったりはせんよ」
「国王様、おっしゃる通りでございます、私は、一度口にしましたこのことを他言しないというのはお約束しましょう。ですが、私はエリー殿をお守りする騎士としての御役目をいただきたく存じます。」
「ほぅ、そう来たか。よかろう、エルク1歳を迎えるまでの間エリーを守り抜くことができればお主の望みを叶えてやろう」
「ありがたき幸せ、では、私はこれで失礼いたします」
レイドは踵を返し颯爽と部屋から出ていった
ジークベルは怒りをあらわにしていった
「レイドのやつ好き勝手が過ぎる!!」
「まぁよい計画実行は1歳を迎えた後にしようではないか」
「国王様がそうおっしゃるならわたくしは・・・」
ジークベルは引き下がった
「はっっもうこんな時間エリクの葬儀が始まる時間です国王様急ぎましょう」
速足で国王とジークベルが謁見の間を後にする
謁見の間には人の気配が消え玉座だけが静かに佇むのであった




