力なき少年は神の子
グランドベルク王国は大陸の南に位置する小国である
この世界で生まれた子供たちは属性や能力を授かり生まれてくる
そんな中なんの属性も持たずしてこの世に生を受けたものがいた
「この子は何も属性を持っていない」
取り上げた助産師の先生は暗い顔をして両親である2人に伝えた
「そんなこと・・・」
父と母は肩の力をおとした
「ねぇエリクこの子はどうなってしまうの」
「過去に力を持たず生まれてくる子は私も聞いたことない国王様次第だろう」
「名前だけはちゃんとつけてあげたいわ」
「そうだな、サリーつけたい名前はあるか?」
「私は、エルク、エルクとつけたいわ」
「エルクか、いい名前だ」
「先生少したったら、この子を国王様のもとに連れていきたいと思っている手配を頼んでもいいか」
先生と呼ばれた男性は2人の決意に満ちた顔をみて答えた
「1か月の間はこの家で愛情をたくさん与えてあげなさい」
「先生、もちろんよ!1か月もその先もずっと愛情をたくさんあげて育ててあげるわ」
サリーは力強くそして希望に満ちた目をしていた
エルクが誕生して1か月が過ぎようとしていた
カンカンカンカンカンカンッッ
「敵襲!敵襲だー!!!!!」
衛兵があちらこちらであわただしくしている
「北方よりグランベルク王国城門に魔物が進行中!!」
「その数約100体」
城下町全体に聞こえるように衛兵が叫びながら駆け回る
「各家庭城まで非難するように」
グランベルク王国は小国ながら軍組織を持つ武力国家であり
大陸の南に位置しているため北方から物資を求めに来る魔物や国が絶えない
そういった輩から国を守るために軍を形成し国王自ら戦地に赴くこともある
そうやってグランベルク王国は約200年栄えてきた国家である
「今回は魔物の数が多いな、エリー!エルクを連れて城まで逃げるんだ」
「あなたはどうするのよ」
「俺は町のみんなの避難誘導を手伝ってくる」
「わかったわ!城で必ず会いましょう」
「ああ、エルクを頼む」
エリクとサリーはそれぞれすべきことを確認し家を出た
小国といえど国は広い、城につくまでは約30分ほどかかるのだ
「さぁ、エルク行きましょう」
エルクは屈託のない笑顔でエリーに笑って返した
「エリクさん奥さんとお子さんは?」
「エリーとエルクは先に城を目指した」
「それは、まずいかもしれません!!」
「どうしてだ!?」
「この魔物の集団の中には、魔王が1人いるとの情報があり魔王はすでに門の中にいると」
「なに!!」
エリクは驚きの顔を隠せなかった
築いた時には踵を返し城に向かっている自分がいた
「エルクもう少しで城に着くからね」
手に抱くまだ小さなエリクは目を閉じて眠っているようだ
バサッバサッバサッ
翼が生えた青年が1人エリーの前に立ちはだかる
その風圧の強さにエリーはよろけた
その男をみてエリーは驚き声にならなかった
「ああ、ああ、」
「あなたは・・・」
「お初御目にかかります、私は魔王が1人ベリアルと申します」
「あなたが抱きかかえている小さなお子様をもらい受けるべくやってまいりました」
「エルクを私の子供をどうしようというの!?」
「あなたが抱きかかえている子供は力がないのでしょう?」
「力なき子が誕生したという情報が入りその子供を連れ去るために最北からやってきたのです」
「何を言ってるかわからないわ!!この子は渡さない!!」
「その子には力がないのでしょう?私なら力を呼び起こすことができる」
「その子を渡すのならあなたの命は助けましょう」
「死んでもこの子は渡さないわ!!」
少しの問答をしている間に衛兵が駆け付けた
「魔王だ!!魔王がいるぞ!!」
「直ちに取り囲め」
「急ぎ騎士殿を連れてくるのだ!!」
「あらあら、見つかってしまいましたか。早かったですね。」
「この国の国王はなかなかやり手のようだ」
軍の配備を常に行っているグランベルク王国の国王はかつて何度も魔物を返り討ちにし
この国を守ってきた国民からの信頼も厚く先王達の知恵を授かりこの国始まって200年以来
最たる知略の持ち主で王は【エンペラーメモリー】グランベル久王家にて先代の王たちの行いを記憶としてみることが出来る能力を持っていた。
衛兵たちが瞬く間に取り囲みそれぞれの属性で魔方陣を描く
「「「「サンダーボール」」」」
「「「「フレイムボール」」」」
「「「「ウィンドカッター」」」」
「「「「ウォーターボール」」」」
「「アースバレッド」」
衛兵たちの多重魔法による攻撃が繰り出される
「どれも、中級の魔法ではないか、1国の衛兵にしては質も高くいい攻撃である」
ベリアルはそういうと同時に魔方陣を展開した
「ダークウォール」
闇の初級魔法である
その魔法を唱えた瞬間闇の壁にベリアルが覆われ
衛兵が唱えた魔法がことごとく漆黒の闇に飲み込まれる
「な!!」
「たかが初級魔法に劣るだと!!」
衛兵は落胆の表情を浮かべる
「ダークプリズン」
上級闇魔法を唱えると衛兵を漆黒の鎖が囚われる
その鎖は漆黒の球体に衛兵を飲み込もうとする
「なんだこの鎖は」
「外れない」
「うわーーー!」
衛兵は取り乱すが一向に鎖が外れる気配もなく
1人また1人と漆黒の球体に飲み込まれていく
「さて、邪魔者は消えましたね」
ベリアルはエリーに目を向ける
「あなた方に私を倒すすべはありません。素直にその子を渡すなら、これ以上の犠牲もありません、魔物の軍勢も引き返すでしょう」
「エリー!!!」
「あなたっ!!来ないでっっ!!」
エリクが駆け付けるとエリーはエルクをベリアルに渡そうとしていた
目の前で衛兵20人が歯が立たなかった光景をみてその瞳から涙を流しながらエリーは我が子を魔王に渡す決断をしたのだ
「いい子だ、この子さえ手に入ればそれでよい」
「まちたまえ!!!」
『ウォータージュエル』
水の檻がベリアルを包み込む
「国王様!!!」
エリクはその魔法が放たれた方をみて叫んだ
「その子供のことはすでに聞いておる魔術を持たぬ子であろうがこの国に生まれた民の1人決して魔王などに渡すことなどあってはならぬ」
「国王様、ありがとうございます!!」
「エリー早くこっちへくるんだ!!」
『ダークシャドウ』
ベリアルは水の檻に閉じ込められながら魔法を展開し水の檻ごと闇に飲み込んだ
「この程度の魔法ではとらえきることはできんか、ではこれはどうかな」
『ダイダルウェイブ』
『シャドウウォール』
漆黒の壁がベリアルの前に広がる
その壁ごと国王の生み出した大きな津波が飲み込んでいく
「エリー!!」
エルクが手を伸ばしエリーを抱き寄せる
抱き寄せたエリーを強く抱きしめたエリクはエリクを見つめ言った
「エリク、お前はなぜ魔王に狙われる、お前はいったい」
シャドウウォールでも防ぐことができない程の水魔法を唱えた国王は静かに言った
「エリク、そしてエリーよこの子供を連れて逃げなさい。この国は魔王と魔物と全面戦争をする」
「国王様、この子を渡せばこの国は助かります、魔王は1国をかけても倒せるかどうかわかりません!!この子をこの子を!!」
泣きながらエリーが国王に向かって叫ぶ
その瞬間
『ダークバレッド』
漆黒の弾丸が遥か遠くからエリーめがけて放たれた
「エリー!!!」
咄嗟にエリクがエリーの前に立つ
ダークバレッドはエリクの心臓を貫いた倒れるエリクはエリーに笑いながらこう言ったように聞こえた
「エルクを守れ」と
エリーが駆け寄り声をかけるが
エリクはすでに命を失っていた
「あなたッッ!!!あなた!!ううっ」
嗚咽を漏らしながらまだ温かいエリクの方に顔を押し当てた
「殺すつもりはなかったのだがな、当たり所が悪かったかお嬢さんを庇ったからだと見受ける」
ベリアルは大津波の魔法を受けてなお余裕な立ち振る舞いをしている
「しかし、最上級魔法を使える国王などなかなかお目にかかれるものではないな、おかげで私の魔力も半分ほど持っていかれたよ」
「この最上級魔法を受けて余裕で戻ってくるとはな、私もまだまだこの国を守るにはまだ力が足りぬということか」
「私にここまで魔力を使わせる人間は久方ぶりですよ」
「あなた、は生かしておいてあげましょう、そこで少し見ていなさい」
『ダークプリズン』
漆黒の鎖が国王を捕らえる
「やめろー!!我が国の民は渡さぬエリーよ風の魔法を使い逃げるのだ」
「私は、この子を守るために戦うわ!!」
『ウィンドカッター』
「小癪なそんな魔法では私は倒せませんよ、早く負けを認めて子供を渡しなさい」
『ダークウォール』
『ダークバレッド連弾』
『ダークカッター連撃』
漆黒の壁から闇の弾丸と闇の刃が放たれる
(ふせげない)
国王もエリーも思ったその時
エリーの腕の中で抱きかかえられているエルクが眩い光を放った
光に包まれるようにエリーは守られ
ベリアルの闇魔法は打ち消された
同時にエルクから発せられる光のオーラは強くなりあたり一面を眩く照らす
「覚醒をしたか、仕方がないここはいったん引き下がるとするか」
ベリアルは
黒い翼を広げ大きく羽ばたいた
バサッバサッ
「待ちたまえ!!魔王ベリアルよそなたの本当の目的はなんだ!!?」
「いずれわかるときが来ますよ、その子供、、、きちんと育てて又大きくなったころにお目にかかりましょう。失礼」
ベリアルはあっという間に姿を消した
その直後に3人の衛兵と金の甲冑をまとったこの国の騎士が現れた
「国王様報告です!!魔物の軍勢は城門前から森へと引き換えしていったようです」
「国王様御無事でしょうか」
「うむ、報告ありがとう安心した、そしてジークベルよ魔王ベリアルはそなたから見てどうだったかね」
金の甲冑を纏国王からジークベルと呼ばれたその男はベリアルが飛んで行った方角を見て
「大したことはありません、私1人でも滅することはできましょう。国王様も本気を出されていないようにお見受けしましたが」
「馬鹿者こんな街中で本気など出したら私の国が潰れてしまうわ」
国王はこう言ったが国王の放った津波によって建物は損壊し波に押しやられた家が多数あった
「国王様、この度は我が子を救って下さり誠にありがとうございました」
「エリーよエリクは本当に残念であった。。。しかし、エリクは努めをしかっりと果たしあなたとその子を守ったのだ、賛美を送らねばならない」
「エリクはこの子を守れと言いました。この子には生まれつき魔力を持たないそういわれたのになぜか今になって魔力が発現しました。どうしてなのでしょうか?なんでこの子が魔王に狙わることになったのでしょうか」
エリーは大粒の涙を流しながらエリクの側で声を必死に振り絞りながら言った
「まずは、、、、エリー城で話すとしよう君たち周辺の損害状況の報告とエリクは丁重に弔いの儀式をする為いったん王国に、そしてジークベル、エリーとその子を城へ連れて来なさい」
「「「「はっ」」」」
国王一行は、馬に跨り城へ向かって歩き出した




