地底都市
地底都市は、惑星のマントルの
中にあった。
僕たちはカミュが操縦する円盤で
南極にある大きな穴から地底まで
降りて行ったんだ。
穴の行き止まりまで来ると、
カミュは中に居る王様に量子
無線で連絡を取った。
〈王様、翔太を連れて来ました〉
〈カミュご苦労だった。今次元転移
防御システムを切った。入って来て
くれ〉
僕たちは一瞬後、地底都市の
中に居た。
◇◇
僕は驚いた。
そこには地底とは思えない、まるで
楽園のような光景が広がってたんだ。
海のように広大な湖に囲まれた陸地
には、見渡す限り緑の野山や谷や川
があった。
至る所に極彩色の花々が咲き乱れ、
様々な鳥が空を飛んでいた。
高い山々の頂きには雲がかかってた。
大空のように青々とした天蓋には、
地底にもかかわらず、太陽のような
光が輝いて地面を照らしてたんだ。
光が眩しくて、南国みたいな感じ
だった。
湖には大小の島があり、どの島も
大きな橋で陸地とつながってた。
陸地の平野の部分には町があり、
ギリシャ神殿みたいな石造りの
建物がたくさん並んでて、大勢
の人々が町を行き交ってた。
平野の真ん中辺りに、王様の眩しく
輝く白い宇宙船があった。
驚いてる僕の顔を見て、カミュが
ニヤニヤ笑いながらこう言った。
「翔太、驚いたろう? 僕だって最初
来た時は、ビックリしたよ。ここは
正に桃源郷さ。僕も噂には聞いてた
けど、スピィア星にこんな場所があ
るなんて信じられなかった。この星
の緊急事態に王様がみんなのために
この秘密の楽園を、開放してくれた
んだ。僕たちはみんな王様に感謝し
てる」
「凄いね! 地底にこんな場所がある
なんて信じられない。しかも、太陽
まであるなんて!」
「あの太陽はマントルの外殻を形成
するマグマの放射熱を利用してる。
物質は、高温になると光を発するだ
ろう? マグマの放射熱を受けたマン
トル全体の熱を、特殊な装置で天蓋
の一箇所に集めると、太陽みたいに
輝くんだ」
「僕はマントルの中って鉱物で出来た
核みたいになってるのかと思ってた」
「いや、ご覧の通り空洞さ。地球も
スピィア星にそっくりだから、同じ
ように空洞かもしれないよ。ハッキ
リしたことは、僕も地球を調査した
ことが無いから分からない」
「そう・・・だけど、さっき通って
来た穴にマグマが流れ込まないの?」
「あれは大丈夫、マグマはあの穴の
周りを避けて還流してるんだ。この
星が誕生する過程で自然にそうなっ
たらしい。北極にもマントルに通じ
る同じような穴があったらしいけど
アーリン星人が住み着く前に、先代
のリュカ王が埋めてしまったそうだ。
だから、バラムもこの場所のことは
知らない」
カミュはニヤリとして言ったんだ。
◇◇
僕たちが円盤で町に着陸すると、
大勢の人たちが周りに集まって来た。
「ショウタ! ショウタ!」
って、みんな大声で僕の名前を合唱
してた。
僕は照れ臭かった。
ミュエル王とミュレーナ姫も
やって来て僕をハグしてくれた。
「翔太、昨日は本当に良くやって
くれた! 異次元監視カメラで君が
戦ってる姿を見てたんだ。みんな
大歓声だった。私も溜飲が下がっ
たよ!」
って、王様が興奮したように言った
んだ。
「翔太、大活躍だったわね!
またあなたに会えて嬉しいわ!」
って、姫も言ってくれた。
相変わらず美緒ちゃんに、そっくり
だった。
話す時の雰囲気まで似てる。
僕がボーッとミュレーナ姫を見てると
彼女は少し顔を赤らめて、こう言った
んだ。
「さあ翔太、今日はお祝いよ!
パーティーの準備は出来てるわ。
みんな、あなたが来るのを首を
長くして待ってたのよ」
僕は姫に手を引かれて、ギリシャ神殿
みたいな建物の中に入ったんだ。




