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黒白の心。  作者: どこかの黒猫
第3章 白夜花散戦争
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第7話 白の力。


「瑠璃奈……瑠璃奈ぁぁぁあ!」


「あーはいはい、わかったわかった。わかったから敵に集中する!」


枝音が泣きながら喜んで近づくと、瑠璃奈は鬱陶しそうにヒラヒラと手を振るが、その顔は少しニヤついている。

前までの暗い感じからは一転、普段通りに戻っていた。


「えーっと……それで……。」


枝音かなんて声をかけようか迷っていると、瑠璃奈が枝音の方を微笑みながら話しかけてくる。


「もう、大丈夫。心配かけてごめんね。」


「あれから色々考えたんだ……。総司令官にも相談に乗ってもらったから迷惑かけちゃったし。」


瑠璃奈が恥ずかしそうに目を伏せながら、頭をかく。

元気そうな瑠璃奈の姿をニヤニヤとしながら見ていると、


「それよりあんた、これ。」


そう言って瑠璃奈が、手首に付けるリングのような物と、銃の追加パーツのような物を渡してくる。


「なにこれ?」


「こっちのリングは、あんたの本来の力を引き出す為の術式が組み込まれてる。」


「本来の力………?」


何でも、今の枝音は暴走時の弊害か、常に天葵との魂の融合率が100%に近いんだそうだ。

本来は、魂が融合した1部の箇所からしか供給されない力が、魂がほぼ完全に融合していることで力の源泉丸ごと供給されている。だが、それでは体にどんな影響があるかわかったものでは無い。だから、まずは実際に肉体に反映されるエネルギーの量を絞る術式を作ることで様子を見ていたのだそうだ、


最初から全開にしとけよ………と枝音は思うがそこは色々あるのだろう。何も言わないことにした。


つまり、今の枝音には能力の力に3段階の制限が設けられている、という事で、その制限を解除するためのものらしい。


「んで、そっちはあんたが持ってる銃、ルークスの追加パーツ。こいつでルークスの持つ固有能力が使用出来るようになるらしいわよ。」


へぇー、ルークスの固有能力ねぇ……。どんなんなんだろ、と枝音が考えていると、瑠璃奈が他にも何やら取り出して、こちらに渡そうとしてくる。


「それと、これは私からの餞別。私に喝を入れてくれたお礼ってね。」


そう言って瑠璃奈が投げて来たものをキャッチすると、それはショットガンだった。

え、何物騒なもん渡してくれちゃってんの……?と思うが、とりあえず快く受け取っておく。

しかし、近距離用として通常用いられるショットガンなんて私が使う機会があるのだろうか?しかも、撃った対象がグロッキーな事になるんじゃ……?まぁ、広範囲爆裂術式とか使ってるからあまり強くは言えないけど……。と枝音が考えていると、瑠璃奈が枝音の心配を汲み取ったのか、説明する。


「あぁ、そのショットガンはあくまでも銃弾が拡散するからショットガンって言うんであって性能はその比じゃないわよ。」


……え?


「射程はライフルと遜色ないわよ。実弾とエネルギー弾の両方使えるし、実弾に関してもバラけた弾の一つ一つが全て爆裂するからエネルギー弾と変わらない威力が見込めるし、貫通力もあるし………。」


……………何か不味いものを貰った気がする。

こんな超兵器どこに使えばいいんだよ………。


「……ところで、ルークスの固有能力って具体的にどんなの?」


とりあえず、ショットガンに関しては深く掘り下げては行けない気がして、枝音は話を変える事にした。


『あ、それには僕が答えるよ。』


と、天葵が横から口を挟む。


『えーっとねえ、確か……絶対防御、でルークスから放たれた弾丸の直径1メートル圏内にある全ての攻撃の無力化……だったかな?』


それを聞いた枝音は思った。

………え、何それチートじゃん、と。

『朝焼けの空』もあるのに、そこまで防備完璧にしちゃっていいの?


『あ、黒音のアリアドネだと相殺しあって両方とも何も起こらないよ。』


それでも、何も起こらないという事はアリアドネの絶対貫通を無効化出来るということで、それだけでも凄いものである。

隙の多い『朝焼けの空』以外での防御手段が増えたという訳だ。


「まぁ、他にも色々疑問はあるだろうけど、まずはとりあえずあの訳わかんないのからやっちゃいましょ。」


そう言いながら瑠璃奈は敵の方向を向いて、銃と剣を構える。

枝音も、翼を2本、背中から生やしながら

機銃の雨をくぐり抜けて敵に接近する。

枝音は早速、瑠璃奈から貰ったショットガンを使うことにしてみた。


「んーっと、確か名前は……っと………アメアラレ!」


ジャコッ!っと武器の名前を叫びながらショットガンを打っ放す。

その威力は素晴らしいもので、エネルギー弾にも引けを取らない威力で直撃、敵の機銃を一気に8個ほど破壊する。

火力不足が否めなかったので、これは素直に嬉しい


「……これなら!」


キィィイイイ!と、敵中央部のエネルギー粒子砲に光が収縮していく。


「天葵……やるよ!」


カッ!と目を見開くと、その左目の白目は青く染まり、瞳は金色に輝く。そして、6本の翼が背中から飛び出し、頭の上に白く細い輪っかがうっすらと表れる。


「『朝焼けの空』!!」


今までの物とは比べ物にならないくらい大きく強固なシールドが前面に形成され、敵のビーム砲を全て防ぎきる。

枝音は、『朝焼けの空』を解除して、瑠璃奈特製のショットガンをエネルギー粒子砲に向けてぶっぱなし、破壊する。


「………凄い。力が無限に溢れてくるみたい……!」


枝音は、自分に供給される、否、自分から溢れ出る力に驚いていた。これなら、灰空達とやりやってもなんとかなるんじゃないか、と思えるほどに。


剣を振るうと衝撃波を纏った斬撃が、敵の装甲を破壊し、切り裂く。

銃を打つと、敵の装甲を貫通して内部で爆発を起こし、ダメージを与える。


敵の攻撃はこちらには当たらない。枝音は敵の機銃やミサイルを優雅に躱し、逆に反撃までできるほどの余裕を見せていた。

今までよりも楽に、今まで以上の速度とパワーを引き出せる。


機銃の数が減り、対空システムが低下したところに瑠璃奈がミサイルをぶち込む。

次々と爆破が巻き起こり、敵の巨大な、100メートル以上はあるであろう巨大な車輪の右側が、崩れ始める。


『枝音、魔術キャンセラーとビーム拡散フィールドが消えたみたいだ。今なら、エネルギー弾頭も効くね。』


「りょーかいっ!!ルークス!超高エネルギー圧縮弾頭装填!!」


アイアンサイトで狙いを定めるが、外す心配はない。

今なら、確実に、相手の重要機関に当てれる自身があった。


『敵、重要機関部位予測ヶ所を網膜に表示。どーんといっちゃおー。』


「よっし!どーーん!!」


枝音の放ったエネルギー弾は寸分違わず直撃し、甚大な被害をもたらす。

そして、機能維持のための殆どの機関を破壊された『PJ―DR』はゆっくりと進行を停止、完全に動かなくなる。


「やった……のよね?」



――――――――――ジブラルタル沿岸要塞、夜花司令部


「PJ―DRがやられたようです。完全に沈黙しました。」


「そうですか、まぁ、壊れるぐらいは大した問題では無いですし、ぱぱっとやるべき事からやっちゃいましょう。」


「……はい?あの、壊れても問題ない、とは?」


「まぁ、困惑するのも当然でしょうね。私もこの巨大兵器の本来の使い方を聞いた時は正気を疑いましたよ。」


まぁ、あの人達に正気を要求する事がまず間違いなんですけどね。と、肩を竦めながら灰空は困ったような顔をする。


「なんでも……閣下いわく、自爆しないパンジャンドラムはパンジャンドラムじゃ無いらしいですよ??」


―――――――――――白華、前線基地


『枝音!今すぐここから離れた方がいい!』


「どういう事?」


『敵の内部から高エネルギー反応……しかも、尋常じゃないエネルギーの高さだ!ここら一体は全て消し飛ぶと考えていい!』


「………!そんなっ!?」


「枝音?どうかしたの?」


何か焦ったような枝音の様子を見て、瑠璃奈が近づいて声をかけてくる。


「アレはもうすぐ爆発する!瑠璃奈は皆を連れて逃げて!!」


「あんたはどうするの!?」


「私は……アレを何とかしてみせる……っ!」


恐らく、今から遠くに逃げたとしても爆発までに範囲外に逃れるのは厳しい。

それに、前線基地にはまだたくさんの人達が残っている。

私が、なんとかしなきゃ………!


(天葵……、私に力を!!)


カッ!と身を見開くと、両目の白目が蒼く染まり、瞳は金色に輝きを放つ。

6つの翼が背中から飛び出し、頭には天使の輪のような物が浮かび上がる。


「『朝焼けの空』!!」


左手を前に突き出し、能力を発動する。

そして、巨大な青く透明なシールドが全面に展開される。


そして、敵が大きく光った、と思った瞬間。


音が消えた。


衝撃波が全てを吹き飛ばし、熱波が全てを焼き付くそうと襲いくる。

その全てをたった一人で押さえつけようともがく。

この威力の爆発で、もしシールドに少しでも穴があったらそれだけでも多大な被害がでる。

絶対に、このエネルギーを押さえつけなければいけない。


「うぉおおおおりゃァァァあああ!!!」


ふと、力の抵抗が弱くなり、そして静かになった。

爆発音で音が消えた訳じゃあない。

何事もなかったかのように、音が、景色が、感覚が、静かだった。

爆発は既に、収まっていた。


「やっ……た…………?」


後ろの方を振り返ると、盾のあった部分から後ろだけが爆発の前と同じ状態にあり、それ以外は焼け野原へと変わっていた。

だけど、前線基地と、瑠璃奈達の姿が見えて、


「はは、は。やった、んだ。良かった……。」


瑠璃奈や空墨さん達が、こちらに近づいてくる。

その無事な姿を確認できた枝音は、ふっと力が抜けて、墜落する。


「ありゃ?」


そのまま自由落下して、地面がグングンと目の前に近づいてくる。


「ええええええ!?ちょちょちょ!?どゆことぉお!?」


『単純に力の使いすぎだね。100%の出力にまだ慣れてないのに無茶したから、仕方ないよ。』


「そんなぁぁぁぁあ!!!」


どかーーん!という地面に墜落した轟音と、枝音の叫び声があたり一面に響き渡ったのだった。





はいどーも、どこ黒です。

最近更新が遅いって?

いやぁ、なんだか書いてると2000文字超えたくらいで次の話にいく癖みたいなのがついちゃって、10話ぐらいまである程度書いてあるんですけど、どれも2500字程度で話の落とし所が書いてないんですよね。

ま、なんとか頑張ります。


ところで、PJ―DRのスペックですが、

全長120メートル

装備

51mm砲 20門

対能力者用ミサイル16基

高エネルギービーム砲6門

中央部超高エネルギー圧縮砲 1門

エネルギー砲 8門

対空機銃 50門

魔術キャンセラー(効果範囲は半径200メートル)

ビーム兵器拡散フィールド(効果範囲は半径200メートル)

霊花崩壊エンジン(自爆の際にはこれを暴走させる事で使用。)


となっております。


霊花崩壊エンジン、とは『柱』の維持システムにも使われている霊花と言われる多大なエネルギーを含む花が崩壊する際に莫大なエネルギーが得られる、という物。


この花は空気中にある自然魔力を自身の中でエネルギーに改変し、大量に溜め込むという特性を持っています。

霊花から得られるエネルギー量は通常のそれではなく、核融合炉すら超えるとも言われています。


この特性の原理は解明されておらず、なぜ自然魔力をエネルギーに変換できるのか、なぜエネルギーを拡散さけずに自身に溜め込む事ができるのかなどが、まるで分からないため、自然魔力をエネルギーに変換できる装置は人工物では作られていません。


通常は霊花からエネルギーを少しずつ抽出して使うが、花そのものを再生可能なギリギリまで崩壊させることで、本来は少しずつしか手に入らないエネルギーを一気に放出させる事で莫大なエネルギーを得る事が出来ます。


そして、霊花のもつ自己修復機能を改変し、5つの霊花に相互に修復を行わせる事で、擬似的な永久機関を作り、花の消失という問題を解決しています。


しかし、ただ破壊するだけでは花の中にあるエネルギーは魔力に戻って空気中に霧散してしまうので崩壊の方法もかなり特殊なものを使っています。


まぁ、設定としてはこんな感じでしょうか。

では、また今度~。



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