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失神した狼の獣人を家まで連れてきたのはいいが、これまたこの狼汚な過ぎて家に入れたくなくて途方に暮れている。
本当なら触りたくないほど、汚い。
だがしかし放置出来るほど鬼じゃない、だからこそ困っている。
取り敢えず片手で風を起こし柔らかそうな草を刈りそこに寝かすことにした。
支えていて凝った肩をぐるぐる回しほぐす、日も暮れ辺りは薄暗くなってきた。
今日はぶっちゃけ疲れたし眠いだから夜中に狼が起きて荒らされたら勘弁だと思い朝になるまで意識を飛ばす魔法を掛けた。
取り敢えずは安心か。
欠伸を飲み込みながら家に入る、え?鬼かだと?仕方ないじゃないか!
折角始めたばかりの牧場が荒らされるなんて冗談じゃない!大体襲いかかってきたあの狼が悪い!ここまで運んだ私は逆に感謝されるべきだ!イヤ言い過ぎた、最近色々あったせいで情緒不安定だ。
それを解消するために穏やかな生活がしたかったのに!
さっと風呂に入り髪を乾かし布団に入る、せめて話が通じる相手でありますように。
やつも肉食系の獣人、もしもの時はやられる前に殺る!
うっすらと危ない事を考えながら眠りに落ちた。
次の日、準備を整え狼の前に立った。
昨日は薄暗くてよく見えなかったけど綺麗な獣人だな!軽くイラッとする!
漆黒の髪に狼の耳と尻尾、顔も体も文句つけようがない。
勝手に観察していると、ん・・・と微かに声をだした。
一歩引いて様子を見る、暫くするとうっすらと眼を開いた、これまた綺麗な赤色だ・・・紅?緋?まぁどれでもいいか。
パチパチと瞬きをして暫く私を視界に入れた。
カッと眼を開いたかと思うとザッと膝まずいた。
咄嗟に防御の魔法を張った私は凄い。
狼に眼を向け様子を見る、狼は恐る恐るといった風に顔を上げながら言葉を発した。
「我が主よどうかお心のままに」
・・・あ、これは駄目なパターンだ。
何故か私は録に知りもしないのにこの狼から逃げられない事を悟った。