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Ep.3-24 〝敗北〟


「ふんっーー!!」


「〝幽霊化〟ーー!!」


フワッーーと、魔剣が首を裂くすんでのところで、ユウキの体が透明と化するーー。


「〝解除〟!《魔気吸収》ーー!!」


「甘いっーー!!」


「ぐっーー」


不意の所を狙ったユウキだったが、半歩早く反応したロブルスによって反撃を受ける。


ドゴオオオオンッーー


ズサッドサッ


タタンッと翻って体勢を整えるが、先程からの連戦で息をあげているユウキだったーー。


「チィッーー!こんなタイミングで……」


と、直後に時間切れにより〝上限色覚〟も解除され元の黒髪黒目に戻るユウキ。


魔気も大幅に質量がダウンし、さらに窮地に追い詰められた。


「ふっーーさすがだ……。だが、もはや決着はついたようだな……」


ロブルスの剣が、ユウキの喉元に突きつけられる。


「何か言い残す事はあるかーー?〝英雄〟よーー」


ひたり、とあぶら汗が滲むユウキだったがーー、その瞳は諦観しているようだった。


「はっ…………何もねぇよ。さっさと殺せ」


万策尽きた。文字通り完敗である。


「たぶん、万全の状態でもオメェを倒す事はできなかったよ……これがオレの運の尽きだ」


そう言って両手を上げるユウキ。


「そうか……〝反転血種〟ーー。お前とならいつか友となれるやもとも思ったが……所詮は人間かーー。その潔い〝戦士〟に敬意を評して、苦しむ事なく逝かせてやろうーー」


ズバッーーと、ロブルスの魔剣が振り下ろされる。


(ああ、なんか……くっだらねぇやって、思ってたけど……俺の人生も案外悪く無かったな……)


元々捨てたような人生だったーー。


反転血種などという〝特異の血〟を持っていた事で教会から、聖国から、世間から人間から蔑まれ、見下され、親にも捨てられ世界から拒絶されたーー。


でもそんな中でも、カーヴェラやポピィなど自分を受け入れてくれる人間達にも出会えたーー。それはユウキにとって、かけがえのない奇跡だったのだーー。


(本当に……悪ィなエリ……。おめぇには心配ばっかかけたが……あの世で見守る事にするぜ……)


初めて自分を受け入れてくれた幼馴染ーー。エリの眩しいような笑顔を走馬灯にーー首を切られる。その刹那ーー


「きゅい〜(やめろ〜!!)」


ブニュッーーと、鈍くぶつかったスライムによってロブルスの剣先がユウキの首を掠めた所に留められた。


その事実にーーロブルスは眉間に皺を寄せて怒りを露わにする。


「モンスターの分際で……下等なレベルのスライムが……俺たちの戦いに泥を塗るなァッーー!!」


ガンッーー、と強い蹴りを受け遠くまで吹き飛ばされるスライム。


「悪かったなユウキーー。次はトドメを刺してやる」


しかし二撃目が振り下ろされる前に、二人ロブルスの前に立ちはだかる姿がーー。


「っーー!!貴様ら……」


「ど…………どういう、事なんだ……?セシリアから聞いていた……でも、まさか本当に……お前がーー!!」


一人はロブルスもとい、《防御職》ゼルのパーティーメンバーだったレックス。


もう一人はーー、


「ハァ……ハァ……お待たせしてすみませんユウキさんーー。ゼル……私はもう、あなたを絶対に許さない!!」


決意を目に宿すセシリアだったーー。

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