第37話
一方のバートン家。
「決めたわ。」
長男にして家長のグランの妻にしてバートン家の女主人フィネルは決断をした。
「セシルさんを、家でおもてなししましょう。」
セシルについて分からなすぎて、プレゼントは何を買えばいいか分からない。
セシルを知りたくてもルイスに聞くのは危険。
ならば、もう、招待してしまえばよいのではないか、というわけだ。
「さあ、我が家に、ルイスの妻を迎えられるかは、バートン家のセンスにかかっているわ。頑張りましょう!」
「はい!」
バートン家の使用人は、力強く返事をした。
ーーーーーーーーーー
「ルイス。今日、アリシア姫が来ました。」
夕方。セシルはルイスに切り出した。
「アリシア姫?何か嫌なこと言われたりしなかった?」
ルイスの反応はもっとも。
セシルは苦笑いしながら返す。
「大丈夫です。ただ・・。」
一瞬迷ったが、セシルはモルベール領の件をそのまま話した。
ルイスは、苦い顔になった。
「ああ、断ったのに、セシルから攻めるなんてなんだか腹立たしいね。」
「ルイスには、どんな依頼があったのですか?」
「モルベール領で目撃された獣が、魔物かどうか確認をして欲しいって言われたんだ。・・僕じゃなくてもできるって断ったんだけど・・。」
「そうですか・・。」
セシルは話を続けるべきか、悩む。
だが、ルイスの反応の方が早かった。
「行きたいの?」
「え?」
「アリシア姫の思惑を分かっていて、その話をわざわざするってことは、そうなのかなって。」
ルイスは優しく、セシルの答えを促す。
セシルは考えながら返した。
「祖母は・・ジルダおばあちゃんは、守り人の契約を結んだ人です。私は、その血を受け継いでいますが、私自身は厳密にはまだ『守り人』ではありません。・・知りたいんです。ジルダおばあちゃんのことも・・自分のことも。」
そのルーツがモルベール領にあるかもしれない。
もしかしたら、祖母がいたかもしれない。
ならば、祖母の痕跡があるかもしれない。
知りたい。
一人で行けと言われたら、おそらくためらいがあっただろう。
だが、ルイスとなら、と考えてしまったら、行きたい気持ちが勝ってしまった。
アリシア姫の思惑に乗るのは気に入らない。しかも、その思惑で実際に動くことになるのは、セシルではなく、ルイスだ。
それが分かっていてなお、行きたい、と言うなら、それはセシルがルイスの気持ちを利用することに他ならない。
「アリシア姫はずるいです。でも、この話を結局してしまう私はもっとずるい。・・やっぱりやめ・・」
セシルの言葉は、ルイスに抱き締められて止まる。
「ルイス?」
ルイスは腕を緩めずに言う。
「僕は、今、ちょっとアリシア姫に感謝してるよ。」
「え?」
思いがけない言葉に戸惑うセシル。
「初めてじゃないかな。セシルが僕を頼ってくれるの。その嬉しさの方が大きいんだけど。」
セシルは、体が熱くなるのを感じる。
「それにさ。」
「・・それに?」
「セシルと初めての旅行だよ?もちろん泊まりだし!これを機に関係をもう一歩・・」
「やっぱりやめましょう。」
最後まで言わせずにばっさりいくセシルだが、ルイスは譲らない。
「せっかくだから、ジストに乗っていこう。出発はどうする?今からでもいいよ。」
「いや、今からは準備が!」
「じゃあ、明日!」
「あ、買っていた食材がだめになってしまいます。」
ルイスはにやりと笑った。
「それは大丈夫!僕が頼れる存在だってことを見せてあげるよ。」
結局その勢いに押されて、出発することになったセシル。
誕生日まで、あと5日になっていた。
いろいろあって、毎日投稿ができずでした。
不覚です。
この物語が決着つくまでは、できるだけ間を空けずに投稿したいと思っています。
いつも読んでくださる方々、頑張りますので、お待たせするかもしれませんが、ぜひお付き合いください。




