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壊れた世界の旅人語り  作者: 夜天夜空
第2章――グランドピークでの顛末
25/42

第24話

通常、フライラッドは暗くじめじめした狭い所を好んで生息している。


そして目の前には、小さな如何にも蝙蝠やネズミが居そうな洞窟。


魔物たちから隠れつつ、フライラッドの居場所を探していると、森の片隅にこの洞窟があるのを見つけたのだ。



「洞窟、って言うよりは洞穴ね」


「如何にもって感じだな」


「……暗くて、じめじめ、どうする、の?」



フライラッドはこういった洞窟の天井に張り付いて待機している。


見た目はネズミだが、生態は蝙蝠に近い。



「ならばこれだ」


「……玉?」


「なんで貴方はそんなもの持ってるのよ……」



俺が腰だめの袋から取り出したのは、くるみ程度の大きさの小さな玉。


よく見れば短い導火線がついており、火をつければ刺激性の煙を出す、所謂煙球である。



「煙球だ。魔物を撒く時なんかに便利でな」


「逆に怒りを買わない?それ」


「俺が逃げた後の事は知らないな」


「こいつ、性質が悪いわね」


「知らないな。第一、旅人なんてそう居るものじゃない」



もし近くに俺に似たようなやつが居たら、運がなかったと思って諦めてくれ。


……逆に似たような事をやられたら全力で仕返しに行くけどな。



「それじゃ、投げ入れるぞ?」


「……ん、魔法準備しておく」


「おっと、一応言って置くけど燃やすなよ?素材が取れなくなる」


「あっと、そうだった」


「おい」



初心者のソウなら分かるが、ユエは経験者だよな?


なにやら初歩的過ぎるミスが続いている気がするんだけど。



「だ、大丈夫よ。戦闘には問題ないわ」


「それならいいんだが」



多少気になるが、本人が問題ないと言っているならこちらから何か言う事も無い。


そう割り切って、煙玉に火をつけて洞窟へと投げ入れる。



「さ、来るぞ」


「……ん」



魔力を宿した目に、暗闇の奥でいくつもの生き物の影が蠢き、出口へと向かってくるのが映った。


しかしそれと共に、その奥でも大きく蠢く影が見えてしまう。


慌てた俺が、とっさに指示を出す前にユエは動き出していた。



「猛り轟くは怒りの雷鳴、其の前方に広がり陣を成せ―――ライトニング()ヴェール()!」



洞窟の出口周辺に雷の幕のようなものが張られる。


バチバチと帯電したそれは、その幕を通って出てこようとするフライラッドたちを感電させ、気絶させていく。



「……ん、わたしも、フォロー(補助)スペル()プラッシング(強化)


「――って、うわ、すごい!何これ!?」



ソウが魔法を発した瞬間、ユエの雷のヴェールが大幅に強化された。


ユエのみが発した魔法が布切れ一枚なら、ソウの補助が入った瞬間それは分厚い防壁と化した。


そして、その壁を通過したフライラッドたちは燃え尽きて落ちていく。


当然、それらはもはや素材としても役に立たないだろう。



「……あ、強くしすぎた」


「いや、これで良い。ユエ、分かってるな」


「ええ、来るわよ」


「ソウも、そのまま戦闘態勢」


「……ん」


『きゅいいいいいぃぃぃぃぃいい!』



甲高い鳴き声の様な音が聞こえたかと思えば、洞窟からフライラッドよりも二回りは大きな黒いネズミが飛び出してきた。



普通のフライラッドは灰色で、角は骨が飛び出したような白なのに対し、そのネズミの角は紅く、宝石のようである。


そのネズミの名は『マザーズ・スカイラッド』


フライラッドの生みの親であり、幾多のフライラッドたちを産み落とすと次の巣に移動するため、こうしてフライラッドの巣で遭遇する事は珍しい。


そしてその生態は厄介の一言。


自らの角を触媒とした魔法を操り、動きは通常のフライラッド以上の早さ。


しかも大体はフライラッドの集団と共に現れる。


一人で遭遇すれば絶望的と行ってもいいだろう。



……しかし、今回は心強い味方が隣に居り、強力な罠もある。


巨大な雷の壁に衝突し、突きぬけたスカイラッドは、全身を痙攣させ、地に落ちた。



「……こいつ?」


「ああ、気をつけろ。まだコイツには」


『きいい……』


「……っ」



スカイラッドが鳴き声を発すと、その周囲に風が集まり始める。


渦巻くように集まったそれは、やがて小型の竜巻のようにスカイラッドの周囲を守リはじめた。



「また厄介な状態ね」


「いや、これで良い」


「……なにか、するの?」



不思議そうな目で見てくる二人だが、俺はこの状態になるのを待っていた。


スカイラッドは動けなくなると、身を守るために魔法を使って閉じこもってしまう特性を持っている。


その壁となるものは土だったり風だったりするが、魔力によって編みこまれたものであるという事は変わり無い。


と、いうのなら俺の刀の出番である。



音も立てずに鯉口を切り、腰だめに構える。


今回は風が相手だ。


ならば力よりもすばやく、、ひたすら速度を上げたこの一閃。



「――はあっ!」


『きぃぃぃいいい!?』


「……わ」


「これは、また桁外れな事を」



その一閃は風を切り裂き、触れてもいないスカイラッドの翼が落ちた。


これは魔法が使えないと知った俺が、とある道場で盗み見た魔法を使わない技術。


コツは早く、とにかく速く速く刀を振る事のみ。


技術や力では無い。ひたすら追求した速さのみが重要となっている。


追及しきった速度で振られたその刀の先には真空が宿り、届かぬ所を切り裂くと道場主は言っていた。


その道場主は10mは離れた藁束を切り裂いていた。


今の俺には4~5mって所しか斬れないが、今の状況ならば十分だ。



「はい、とどめ、と」



魔法壁を切り裂かれ、翼を失ったスカイラッドは動きを鈍くして、ぴくぴくと俺達から逃げようと手足を動かしている。


俺はそのまま近づいて、一思いに首を刎ねる。


人の頭大の首は、ごろごろと足元に転がり落ちた。


俺は腰に携えているナイフに持ち替えて、真紅の角を切り落とす。



「スカイラッドの素材か。思いがけずいいモノが手に入ったな」


「そうだけど……やたらと手馴れてなかった?」


「……見つけてすぐ、何をするか決めてたみたい」


「昔、魔法使いと一緒にフライラッド狩りに勤しんでいた時期があってな」



素材を使えば何とか魔法を使えるんじゃ無いかとか言って、ひたすら師匠と共にフライラッド狩りをした日々を思い出す。


ついでに素材を売りまくって、しかも得たお金はほぼ師匠の手元。


でもその時の俺は素材の価値なんか知らなかったため、素材の換金までしてくれてーとか師匠に恩義まで抱いていたっけ。


次の師匠に素材なんかの平均価格を教え込まれ、騙されていた事を知ったわけだ。


あの頃は若かったなぁ……いい勉強になったもんだ。



「な、なんかまた遠い顔をしてるわね」


「……たまに、トキはあんな顔をする」


「おっと」



取り合えずあの時の事は別の所に置いておこう。



「さあ、目的も達したし、素材だけ取って早々に退散しようか」


「……ん、角と、翼?」


「そうだ、根元からこんな感じに切り分けて、こう」



ソウにやり方を見せて教えると、一度見ただけでほぼ完璧に素材の切り分けをこなす。


ソウのナイフはこの間買った短刀だ。


戦闘の時の切れ味が落ちるから、ソウにも素材採取用のナイフを買ってあげないとだな。


ってあれ?



「どうした、ユエ?」


「…えっ、と、いえ、何でも無いわ。素材採取ね」



なにやらまたぼんやりとした様子のユエ。


すぐに素材を切り分け始めるものの、その動きにいつもの切れが無い。


いつものユエなら、俺がソウに教えている間にも残ったフライラッドの処理を終えていても不思議じゃない程度の手際は持っている。


……なにかがおかしい。



「ユエ?」


「……う、あ、あれ……?」



トサ、と軽い音を立てて倒れるユエ。



「……え?」


「ゆ、ユエ!?」



ユエに駆け寄りながら、今までの戦闘を振り返る。


ユエは何か攻撃を受けていなかったか?


幻惑系、毒系の攻撃を受けているならすぐに治療しなくては手遅れになる。


……違う、その前か。


この森に入った当初から、ユエの様子がおかしい事には気づいていた。


本人が大丈夫と言って気にしなかったが、あの時に無理にでも引き返すべきだった。



『―――ごめん、ね』



――不意に血まみれの女の子を幻視する。


いつもそうだ。いつも俺は何もかもが遅いのだ。


だが、まだ取り返しはつく。



ユエをざっと見たソウがこちらを見る。


俺が焦っていることもあるのか、その無表情からは何も読み取れ無い。



「どうだ?何か分かったか?」


「……ん、これは―――」




作者 「ハイどうもこんにちわ、後書き対談のお時間です」

トキ  「まいどー、今回もよろしくー」

作者 「と、言う事で今回は何とか」

トキ  「いや、もう火曜……」

作者 「休日中です、もう少しは」

トキ  「3日間あって、しかも短くて?」

作者 「何でしょうね。たぶん全部夏がいけないんだと思います」

トキ  「はあ?」

作者 「夏→暑い→あたま働かない→クーラー→寒い→冬眠→食べなくなる→あたま働かないと言う。

     はっ、これがデフレスパイラルですね!?」

トキ  「突っ込みたい事が多すぎて突っ込みきれ無い!?」

作者 「いや、ホントに最近疲れが取れなくて、文章が浮かんでこないのです。と言うか考え始めると眠気が、ふあぁあふ」

トキ  「一応言っておくが今週は更新無いですの文面消えて無いぞ?」

作者 「……ソウなんですよねー。後書き書くときに気づいたので、更新時に消します」

トキ  「書く気が無いと言うことは?」

作者 「無いですよー。少なくともこれは暫く更新しますとも、暫く、数年は」

トキ  「数年で完結?」

作者 「半月一章とすると、プロットでは4年掛かることになりますねぇ」

トキ  「このペースだと怪しいものだな」

作者 「大丈夫大丈夫、だと思いますとも」

トキ  「自身もてよ……」

作者 「世界で一番信用なら無いのは自分、また、逆に信用する事が出来るのも自分なので」

トキ  「……?」

作者 「さ、そろそろ本編紹介にはいりますよ」

トキ  「自分で話し逸らしまくったくせに!?」

作者 「と言う事で今回は前回の続き、フライラッド討伐の回ですね」

トキ  「途中予定外な事もあったけどな」

作者 「そして話は風雲急を告げる」

トキ  「ユエ、あれ大丈夫なのか?」

作者 「このお話で主要人物が死ぬことは……こほん」

トキ  「おいいいぃぃ!?なんで俺を見て咳払いした!?死ぬの?俺死ぬの!?」

作者 「まあ、ゆえについては次回あっさり解決するので、今回の用語解説と行きましょう」

トキ  「ユエについては良かったものの、心配事が増えただけに終わってしまった」

作者 「いいじゃ無いですか、本編ではボケ役なんですから」

トキ  「ボケにも突込みにも廻った覚えはねーよ!?」

作者 「さて、騒がしいトキは置いておいて、軽く無いよう解説」

トキ  「誰が騒がしくさせて」

作者 「トキって何やら小道具いっぱい持ってますよね」

トキ  「ああ、一人旅で小物は多いに越した事は無い」

作者 「よくそんなにつめてますね、その鞄」

トキ  「うん?これは特別せいでね。大きな小袋っていう道具袋の改変版なんだよ」

作者 「大きな小袋とは、500kg程度くらいのモノをしまっておける巾着袋型の四次元ポケットですね」

トキ  「このカバンはその大体3倍の大きさを持っていて、1500kg位はいるんだ」

作者 「……見た目の大きさで言ったら普通の小袋の5倍くらいはありますけど?」

トキ  「そんなにいいモノでも無いって事だ」

作者 「ちなみに普通の小袋も持っていますよ」

トキ  「だがソウ用の大きな小袋はまだかってないんだよな」

作者 「おかげで道具屋の一角に大きな風呂敷包みが転がっております」

トキ  「次の町で買う予定」

作者 「と、関係無いお話でしたね。煙玉の事を聞きたかったんですけど」

トキ  「あれは割りとポピュラーに出回っている煙玉だ。火をつけると刺激性のある煙が一気に出る」

作者 「でも傭兵なんかには人気無いんですよねぇ」

トキ  「大抵逆に怒らせるからあまり役には立たないしな」

作者 「なんでもってらっしゃるので?」

トキ  「一人の場合、煙にまぎれて逃げられる」

作者 「と、そういった道具を沢山持っているのですね」

トキ  「そう言うわけだ」

作者 「さて、お次は、フライラッドの解説ですかね」

トキ  「あれについては本編で語られてるだろ?」

作者 「ピコン 『フライラッド』・属性・土、風/

    名前の通り空飛ぶ灰色ネズミ。

    大きさは羽無しで15cm位、大きくとも20cmと小柄。

    蝙蝠の手が無いような羽を持っており、それ込みでは3~40cmの大きさとなる。

    2~30匹程度の集団で行動し、とてもすばやいため、大振りの物理専門なんかだとあっという間にえさになるぞ!

    というより範囲魔法攻撃が無いと食べられに行くような物だ。

    しかし狭い洞窟や鬱蒼とした森を好んで住み付くため、範囲攻撃は撃て無いと言う矛盾が発生する。

    普通のネズミと違い、角が一本生えており、その角が錬金素材として有名。

    素材としてはお手軽な部類に入るが、難易度が優しいわけでは無い!

トキ  「そのピコンが設定資料の丸写しと言うことは良く分かった」

作者 「今回は雷の罠をはって対処しましたが、普通に遭遇すると厄介なやつらです」

トキ  「あ、それも」

作者 「それ?」

トキ  「雷はどの属性にはいるんだ?前説明していたのでは地水火風光闇回侵しかなかったよな?」

作者 「その件については特殊属性以外の属性には昇華属性があると言うところから説明しなくては」

トキ  「昇華属性?」

作者 「たとえば水は氷、土は鉱、火は焔に風は雷、光は極光、闇は深遠と言った上位属性ですね」

トキ  「そっちのほうが強いのか?」

作者 「別の効果があるというだけです。基本的には力は一緒です」

トキ  「ふうん」

作者 「まあ、その辺はそのうち本編でも語られるでしょう」

トキ  「まあ、いいや、次はスカイラッドか。こいつの相手は慣れている」

作者 「ピコン『マザーズ・スカイラッド』属性・土、風/

     フライラッドの親玉。羽と角の生えた黒ネズミ。

     大きさはフライラッドの約5倍ほどで、スピードも約3倍。

     角や羽の素材がフライラッドのものとは違い、角は紅く、翼は透けている。

     素材としてはフライラッドの比では無い程に貴重。

     洞窟を好み、多くのフライラッドを産み落とし、次の場所へと移る。

     スカイラッドが居なくなった群れの中から、一匹だけスカイラッドとして覚醒し、飛び立っていく。

     覚醒には時間が掛かるため、スカイラッドが発見される事は早々無い。

     能力的にはフライラッドを強化したモノと考えて差異無いていど。

     しかし自らの角を媒介に魔法を使うことを覚え、無詠唱で風を起こす。

トキ  「長い」

作者 「そんな事を言われましても」

トキ  「しかし同じ属性の雷で良く利いたな」

作者 「篭っている魔力が桁違いで、しかも桁違いの雷は熱を生みます」

トキ  「熱量ダメージも入ったと、大怖い」

作者 「貴方も大分桁外れな事をやっていますけどね」

トキ  「あの居合いの事?」

作者 「あれは横一文字と呼ばれる居合いの奥義ですよ?なんでそんな簡単に出来ますか」

トキ  「あー、まあ、魔法が使えないって聞いて、がむしゃらに体術修行をしたから、かな?」

作者 「その辺のお話はそのうち外伝で出しませう」

トキ  「自分の首を絞めていくスタイルー?」

作者 「ちょくちょく書いていきます」

トキ  「後は何かあったっけ?」

作者 「んー、時間的にももう無いですかね」

トキ  「え?」

作者 「もうしごとにいかねば、次回は未定です!」

トキ  「え?」

作者 「ということで、また終わらない夢の中でお会いしましょう」

トキ  「お疲れ様です」

作者 「さあ準備準備」

トキ  「このぎりぎりさに今小説が書けない原因が詰まっている気がする」

作者 「気の所為ですー」

トキ  「見直ししながら言われても説得力皆無だぞー」




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