通達
エルナ「①は右側へ援護を、③は後ろ注意、②は、、、。」
これが私の日常である。私はいつも国のために戦闘員へ指示をし、''戦っている''。今日もこちらの死人は数名だが敵に大打撃をくらわせた!毎回好成績を残せる私は軍に''必要''であろう。これからも世界のために貢献したいものだ
そう思えていた頃は幸せだったのかもしれない
ある時、仲間の指示官から話を聞いた
仲間「最近色んな部署から軍へ移動させられる人が多いみたい」
エルナ「へぇーでも私達は優秀だから関係ないよね!」
少し間が空き、仲間が答えた
仲間「うん、そうだといいね。」
そして、しばらく経ったあと、上層部からの''通達''が来た
この通達の内容を知るまでは私は''優秀''だった
上層部「君には5年間、軍に行ってもらう。数々の指示で敵を欺いてきた君の力を見込んでだ。毎日訓練をしているのだから軍でもやっていけるだろう。すぐ準備しろ、あと5時間で移動開始だ」
エルナ「……。」
私は理解してしまった。指示官として、私は軍に''必要''ではなかった。その事実は、私の胸を強く締め付けた
静かな時間が過ぎて行った
私は項垂れ、恐怖に怯えていた
ずっと考えていたら、何故か吹っ切れた。
エルナ「こうなったならしょうがない!私は指示される側になっても好成績を残し、戻ってきた時に''必要''だったと考え直させねば!」
仲間「思ったよりも元気そうね…帰ってきたら土産話楽しみにしてるわ!」
エルナ「えっ聞いてたんですか?恥ずかしい…」
そんなこんなを経て、とうとう出発だ。
エルナ「今までありがとう、指示官室。''絶対に''戻ってくるからね」
不安や希望、情熱を抱えてエルナは出発した
そんなことも考えられなくなるなんて考えてもいなかった
上官「これから私の部下として戦ってもらうエルナだ。みな、挨拶しておくように」
①「よろしく!」
②「よろしくな」
軍とは戦いの準備の場だからもっとひりついていると思っていたのだが、意外と歓迎されて少し気が緩んだ。
上官「私の説明をしていなかったね」
イサナ「これから君の指導、訓練を行う上官のイサナだ。これからは上官やイサナ上官と呼ぶように。」
これからお世話になる上官か。優秀だと嬉しいのだが…
エルナ「わかりました上官!ところで質問なのですが、今日の訓練はどんなメニューでしょうか?」
イサナ「今日はいきなりの招集で驚いただろう。ここを少しまわったりチームメイトとの交流でもしておいてくれ」
エルナ「承知致しました」
結構良さげな上官ではなかろうか
やはり仕事のモチベと言えば食事だろう。まずは食堂に行かなければ!
食堂に入ると焼いたパンとチーズの匂いがふわりと漂ってきた。幸せな匂いだ、この匂いに誰が勝てるだろうか。否、勝てるわけがなかろう。
そんな幸せな妄想は置いといて、おそらくピザだろう。今日は何かの記念なのだろうか。
すると、イサナ上官と同じ勲章の人が近づいてきた
①「君は新人のエルナか。これからしばらくよろしく」
エルナ「5年間お世話になります、エルナです。お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
①(ナギ)「私はナギ。イサナの同僚だ」
位の高い人だ。仲良くしていれば何かと助けてくれるかもしれない、名前を覚えておこう。
エルナ「イサナ上官の同僚なんですか!?イサナ上官って優しくて素敵な方ですよね!」
ナギ「ああ、昔は違ったのだがな」
ナギ上官は少し視線を落とし、ふっと笑った
エルナ「昔はどうだったのですか?」
ナギ「失敬、気にしないでくれたまえ。私はこれから訓練をしに行く」
エルナ「頑張ってくださいね!」
偏見だけれどもなんか厳しそうだ
次は、あの大人しそうな女性にするか。服装から見るに、同期だろうか
エルナ「こんばんは!私は元指示官のエルナです!貴方は軍に志願した人?それとも移動を命じられて?」
②(ミナミ)「私はミナミです、私は銃の設計から来たの。いつも1人でしたから、久しぶりに大人数と喋って少し大変です…」
まさかの銃の設計士。これは指示官に戻った時に助けてくれそうだ。
エルナ「銃の設計!?興味深いですね!いつからここに?」
ミナミ「3日前で…えっと、んーと、わかんない…ごめんなさい!お話は後でお願いします!」
はっや…機動力抜群だな。とはいえ、逃げられてしまった
会話に慣れていないのだろう、少しずつ歩み寄れればいいか。
その他の人にも多少挨拶してから、自室になる部屋を見に行った。荷物は上官に預けていたから、今回入るのが初めてだ。
移動中、全員の名前を覚えておこうと胸ポケットにあるメモ帳に名前を書いていると、前から急に人影が見えた
イサナ「うっ」
上官とぶつかってしまった。上官はあからさまに肩を痛そうにしている。新手の当たり屋なのだろうか…?
エルナ「申し訳ございません。前方不注意でした」
上官は一瞬目を見開いたが、すぐに体勢を立て直した。
上官は不安そうにこちらを見た
イサナ「これからはそういう不注意が戦場で命取りとなる。気をつけたまえ」
さすが軍人。どこまでも戦場を持ってくる
部屋に到着した。
エルナ「おお、意外と狭い。」
軍なのだから良い生活だと勝手に想像していたが、現実は苦い。
エルナ「ベッドが2つ、2つ!?もしかして相部屋!?」
不安で仕方ない。気を取り直して、
エルナ「クローゼットはふたつか、それに小物も2つずつ…!?」
これはほぼ証明されたものだろう。軍とはこれほど部屋が足りていないのだろうか?
エルナ「戻りたいよ、指示官…」
イサナ「そう考えられるのは今のうちだ、その考えを大事に持っているといい。」
後ろに上官がいたのか、気づかなかった
エルナ「上官!?すっすみません、こちらに来て早々戻りたいなんて失礼でしたよね…」
いきなり話しかけられ、今度はこっちが体勢を立て直す羽目に。
イサナ「いや、大丈夫だ。君も少しずつ慣れていくといい。もう少し歓迎したいところだが、もう遅いし寝るとよい」
早、今10時ですよ?
エルナ「日記だけつけさせていただけないでしょうか。この5年間を指示官のみんなに自慢したいのです」
イサナ「よかろう。しかし、明日のメニューは厳しいぞ?」
〜日記〜
今日は色んなことがあった。上官は優しいけれど、昔は違ったらしい?ナギ上官は厳しそう…ミナミは何か助けになってくれるかも
この時の私は、''指示官''として過ごすはずだった5年間を空白《運命》へと変わっていくことに、まだ気づいていなかった。
1話をお読み頂きありがとうございます。
小説を書くのは初めてなので暖かい目で見ていただけると嬉しいです。
次回はイサナの過去についてです。是非ともお楽しみください




