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90.二級天使

90.二級天使


 天幕の白雲の障子が静かに閉じられた。


〈……いかがでしょうか?〉


 丁重に三級天使がうかがった。斜めにした銅の天輪をそっとでている。


 神さまはゆっくり頷きながら、白い顎鬚あごひげに手をやり咳をした。


(おっと)


 銅の天輪を整える三級天使。


〈まだまだ……〉


 ゆっくり見上げる三級天使だった。


〈……だが、及第だな〉


 にこやかに微笑む神さまだった。


(ふう……)


 三級天使が安堵した。


〈それじゃあ……〉


 神さまが頷くと、三級天使の生成衣が、純白の天衣になっていた。


(おお!)


 喜ぶ天使が背中を見ようとする。手のひらほどの小さな翼が生えている。


(――ってことは……)


 天輪に手をやる。


(銀だ!)


 まだできたてで光輝いていない。天衣のそでみがく。


〈ありがとうございます〉


 昇進した二級天使が言った。


〈今以上に精進するのだぞ〉


 遠くで聞こえた。もう見えない。神さまは次のお仕事のようだ。


〈はい! もちろん〉


 満面の笑みを浮かべる二級天使だった。


 磨いた銀の天輪でポーズをとった。


〈翼も手に入ったことですし……彼の未来でも見に行くかな〉


 銀の天輪を斜めに撫でながら言った。


 翼を広げ、ふっと浮いて降りて行く。使い方がよく分からないようだ。


 ふらつきながらも力強く羽ばたく二級天使だった。


 落ちた羽根が辺りにただよう。


 銀の光が静かに一つ輝いた。



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