前へ目次 次へ 12/93 12.消えるしおりの傷跡 12.消えるしおりの傷跡 自宅の布団で眠っている鮎川(あゆかわ)しおりに叔父の平悟郎が毛布をかけた。 (かわいいなあ……) 愛(いと)しくてしかたがないのだろう。自分の子供もかわいいが次元が違った。 平悟郎にとって淳(じゅん)としおりは特別だった。今は亡き美しい義理の姉そっくりなのだ。まるで天使か妖精だった。 平悟郎が顔を近づけた。 無意識にしおりが寝返りする。 茶泉医師の言ったとおり今では慎重に見ないと傷とは判断できない。 大人になれば消えるだろう。