ウツワ
人は眠るとき、“悪夢”に落ちることがある。
その中には、現実を壊すほど育ってしまった怪物が存在する。
喫茶店「ノクターン・サービス」は、そうした悪夢に潜り込み、それを“処理”する仕事をしている。
舞台は夢の中。ルールは曖昧で、常識は通用しない。
そこで武器になるのは、剣でも魔法でもない。
――言葉と感情だ。
嘘は力になり、悪口はエネルギーに変わり、優しささえも戦闘力になる。
軽口だらけのオペレーター、カタコトの巨体、そして歪んだ力を持つ仲間たち。
彼らは今日も、誰かの眠りを守るために夢へ潜る。
ただしその仕事は、いつも少しだけ“おかしい”。
【現実:03:15】
「……これ、ひと」
「うわっ、デカ……! 君が新しいバイト? 喋れる?」
「ワタシ、オオキイ。コトバ、チイサイ。……ごめ、なさ。ペコペコ」
「あはは、お辞儀の擬音まで口で言うなよ。いいよ、名前は? カイ? オッケー、じゃあこのアロマ吸って。仕事だ」
「はい。……アナタ、オヤスミ」
(ぷしゅー、と機械の音)
ーーー
【夢:深度4】
「ーーうわっ、真っ暗! おいデカブツ! どこだ!」
「ココ。……イマス」
「いやデカすぎだろ! なんだよその3メートルの鉄の塊! 喋り方そのままかよ!」
「コトバ、オモイ。現実に、おいてきた。……でも、オモサ、一緒」
「は? 意味わかんねぇよ! 敵(悪夢)が来たぞ! 武器は!?」
「ナイ。……ワタシ、ハダカ」
「ふざけんな! あんなトゲのバケモノに素手で勝てるか!」
「カツ、ちがう。……マモル、あってる」
(ゴオォォォ、と鉄が軋む爆音。大男が両腕を広げてトゲの前に立つ)
「おい、死ぬぞ! なんで避けない!」
「ワタシ、現実、たくさん、ペコペコ。たくさん、ごめんなさ。……ウツワ、ずっと、カラッポ」
「え……?」
「でも、ココ、ちがう。ワタシ、カラッポ、だから、アナタ、はいる。……トゲ、ぜんぶ、ワタシ、もらう」
「お前、まさかーー」
「コトバ、たりない。……でも、カラダ、たりてる。……ダイジョブ、オヤスミ」
(ドガァァァァァン!!!!)
人は眠るとき、“悪夢”を見ることがある。
それはただの夢じゃない。
時に、現実を壊すほどの“怪物”になる。
喫茶店「ノクターン・サービス」は、そんな悪夢に潜り込み、それを処理する仕事をしている。
舞台は夢の中。ルールも常識も通用しない世界。
武器になるのは、剣でも魔法でもない。
――言葉と感情。
嘘は力に、悪口はエネルギーに、優しささえも戦闘力になる。
これは、少しおかしくて、少し危険な“夢の仕事”の物語。




