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「役立たず鍛冶師と言われた俺、武器改良したら戦死率が激減した」 〜仲間を死なせない戦場工房〜  作者: 街角のコータロー


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第54話 静かな前線

王国軍本部、作戦会議室。


巨大な地図の前で、将軍たちは腕を組んでいた。


部屋の空気は重い。


理由は単純だ。


戦線が――動かない。


参謀が口を開いた。


「境界線での小競り合いは続いています」


「ですが」


地図の赤い線を指す。


「本格的な戦闘は発生していません」


別の将軍が苛立った声を出した。


「おかしいだろう」


机を叩く。


「武器性能では魔王軍が上だ」


「兵の個々の力でも魔族が勝っている」


「それなのに――」


声を荒げる。


「なぜ攻めてこない!」


部屋がざわつく。


参謀も頷く。


「我々も同じ疑問を持っています」


「さらに、魔王軍の装備は急速に改良されています」


資料を机に置く。


「前線兵の武器は、ほぼ統一されたようです」


将軍が資料を見る。


「……あの壊れない武器か?」


参謀


「はい」


「耐久性が異常に高い」


「長時間の戦闘でも刃こぼれが起きない」


「我々の武器では太刀打ちできません」


将軍の顔が険しくなる。


「原因は」


参謀は答えた。


「魔王軍の鍛冶師です」


資料の一枚を指す。


「この者が武器改良を行っていると見られます」


将軍が眉をひそめた。


「鍛冶師一人でそこまで変わるものか」


参謀


「通常ならありえません」


少し間を置く。


「ですが、さらに問題があります」


資料をめくる。


「四天王の武器です」


将軍が顔を上げた。


「四天王?」


参謀


「どうやら――」


低く言う。


「ミスリル製の武器が配給されたようです」


一瞬。


会議室の空気が凍りついた。


「……ミスリルだと?」


将軍の声が低くなる。


「馬鹿な」


「我が国の鍛冶師が加工できなかった鉱石だぞ」


参謀も首を振る。


「情報源は複数あります」


「信頼性は高い」


将軍は歯を食いしばる。


「どうやってそんなものを……」


誰かが呟く。


「やはり、その鍛冶師か」


重い沈黙が落ちる。


その時。


静かな声が響いた。


「……膠着状態の理由は単純でしょう」


全員が振り向く。


騎士団長レオン。


腕を組み、地図を見ている。


将軍が言う。


「何だ」


レオンは落ち着いた声で言った。


「魔族は」


「一度も攻め込んできていません」


部屋が静まる。


レオンは続ける。


「これまでの戦争で」


「魔王軍が侵攻した例はありません」


「常に防衛です」


将軍が眉をひそめる。


「つまり?」


レオンは地図を見る。


「彼らは」


「こちらが攻める時だけ戦う」


静かな声。


「だから攻めてこない」


参謀が腕を組む。


「……戦争を広げる意思がない、と」


レオン


「その可能性が高いでしょう」


将軍は唸った。


「だが武器は強化している」


レオン


「防衛の準備でしょう」


会議室が静まり返る。


やがて将軍が言った。


「……勇者投入はまだ早い」


参謀も頷く。


「様子を見るべきでしょう」


会議は解散となった。


――その頃。


王国郊外。


訓練場。


剣の打ち合う音が響いていた。


訓練が終わり、兵士たちは地面に座り込む。


「はぁ……疲れた」


「最近訓練きつくないか?」


「戦争が近いからだろ」


水を飲みながら、兵士たちが雑談している。


その中の一人が言った。


「そういや聞いたか?」


「魔王軍の武器」


別の兵士が顔を上げる。


「ああ」


「壊れない武器だろ」


「前線のやつが言ってた」


「どれだけ戦っても刃こぼれしないらしい」


別の兵士が肩をすくめる。


「どうやら、とんでもない鍛冶師がいるらしいぞ」


「魔王軍に」


若い勇者が耳を傾ける。


兵士が続けた。


「確か……」


少し考える。


「タクミ」


「そんな名前だったな」


勇者が小さく呟く。


「タクミ?」


兵士が頷く。


「ああ」


「魔族の鍛冶師らしい」


勇者は少し考える。


そして言った。


「……タクミ」


空を見上げる。


「日本人みたいな名前だな」



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