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「役立たず鍛冶師と言われた俺、武器改良したら戦死率が激減した」 〜仲間を死なせない戦場工房〜  作者: 街角のコータロー


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第42話 ミスリルの限界

魔王城――専用鍛冶工房。


炉の火が静かに揺れていた。


タクミは鉄を打っている。


カン。


カン。


単調な音。


だがその一振り一振りに、無駄はない。


横ではリゼが魔導器具を並べていた。


魔力測定器。


解析用の魔法陣。


刻まれた古いルーン。


リゼが短く言う。


「……もう少し」


タクミは頷く。


「わかってる」


その時。


ドアが勢いよく開いた。


「ただいまッス!!」


元気な声。


リアナだ。


肩には大きな袋。


雪がまだついている。


「タクミ!」


「リゼ!」


「すごいの取ってきたッス!」


袋をドンと置く。


ガチャッと音がして中身が転がる。


銀色の鉱石。


淡く光っていた。


リゼの目が細くなる。


「……これ」


タクミも覗き込む。


手に取る。


ずしりと重い。


だが、鉄とは違う。


内部から魔力が脈打っている。


リゼが呟く。


「ミスリル」


リアナが胸を張る。


「当たりッスよね!?」


「氷山の湖で見つけたッス!」


「セレナ様も一緒だったッス!」


リゼは静かに頷く。


「貴重」


タクミは鉱石を炉の光にかざす。


銀の輝き。


均一な結晶構造。


タクミが小さく言う。


「いい鉱石だ」


リアナが笑う。


「やったッス!」


「これで神様の武器に近づくッスね!」


リゼはすぐに作業に入った。


魔法陣を展開。


ミスリルを中央に置く。


青白い光が広がる。


解析魔術。


魔力の流れが浮かび上がる。


リゼが淡々と言う。


「純度」


「高い」


リアナ


「おお!」


リゼ


「魔力伝導」


「非常に優秀」


リアナ


「おおお!」


タクミは腕を組む。


「鍛えればいい剣になる」


リアナ


「やっぱりッス!」


だが。


リゼは首を横に振った。


「……違う」


リアナ


「え?」


リゼは魔法陣を拡大する。


ミスリルの内部。


魔力の流れ。


その一部が


凍っていた。


リゼ


「氷属性」


リアナ


「え?」


タクミ


「氷山の鉱石だ」


「当然だな」


リゼは続ける。


「問題」


リアナ


「問題?」


リゼ


「ミスリル」


「魔力の通り道になる」


タクミ


「つまり?」


リゼ


「混ぜる素材の性質」


「そのまま出る」


リアナ


「?」


リゼは簡単に言う。


「氷が強すぎる」


沈黙。


リアナ


「え?」


タクミ


「つまり」


少し考える。


「このままじゃ」


「武器として偏る」


リゼ


「そう」


リアナ


「えええ!?」


「せっかく取ってきたのにッス!?」


リゼ


「ミスリルは優秀」


「でも」


「素材が弱い」


リアナ


「素材?」


タクミ


「普通の魔物素材じゃ」


「負けるな」


リゼ


「必要」


少しだけ間。


そして言った。


「最上級魔物素材」


リアナ


「最上級……」


タクミ


「例えば?」


リゼは迷わず答えた。


「ドラゴン」


リアナ


「ドラゴン!?」


リゼ


「しかも」


「炎属性」


リアナ


「なんでッスか!?」


リゼはミスリルを指す。


「氷」


「強すぎる」


「中和」


「炎」


リアナ


「なるほど……?」


タクミは頷く。


「理屈は通ってる」


リアナは頭を抱える。


「えーーー!!」


「また素材探しッスかー!!」


工房に響く叫び。


リゼは静かに言う。


「リアナ」


リアナ


「はいッス……」


リゼ


「頼む」


リアナ


「またッスかーーー!!」


タクミは少しだけ笑った。


「悪いな」


リアナ


「ううう……」


だが。


リアナは剣を背負う。


「でも」


顔を上げる。


「タクミの武器が強くなるなら」


「やるッス!」


リゼ


「ありがとう」


リアナ


「炎ドラゴンッスね」


「誰か知らないッスかね」


その時。


ふと。


リアナの頭に浮かんだ。


「炎……」


「炎といえば……」


魔王軍四天王。


炎将。


リアナ


「バルグ様ッス!」


そして


もう一人。


リアナ


「……セレナ様に相談するッス!」


リアナは工房を飛び出した。


扉が閉まる。


静寂。


炉の火が揺れる。


タクミが言う。


「面倒なことになったな」


リゼはミスリルを見つめる。


「でも」


「面白い」


タクミは頷いた。


「確かに」


銀の鉱石が


炉の光で静かに輝いていた。




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