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第十七話 8才の誕生日その4

 メイクをし終えた俺は、王宮の模様替えを手伝う時間になった。

 ドレッシングルームを後にして、模様替えが終わっていない箇所を探すこと数分。


 「ほとんど模様替えが終わっているようですね、メイクに気合を入れ過ぎたかもしれません」


 そりゃ1時間くらい使ってたからな。でもおかげでクーパーの事がよく知れたからいいけど。あと正直いって模様替えの手伝いはめんどくさかったから助かった。

 そんなことを考えていると、後ろから早歩きでこちらへ近づいて来る音が聞こえてきた。


 「ミラーさん、全ての模様替え、完了しました」


 報告をしにきたのはベリーだった。

 その報告を聞いてミラーは目を大きく開いて驚きつつも、感心した様子で声を上げる。


 「どうやらレティシア様の出番はないようですね、報告ありがとうべりー、ご苦労様」

 「はい! 失礼します!」


 報告を終えてべりーは持ち場へ戻っていった。


 「レティシア様、模様替えも終わったそうなので、少し休憩を挟みましょう」

 

 俺はミラーの目を見て、笑顔で頷く。するとミラーも返してきた。


 「ミラーもメイクありがとう、一緒に休憩しましょ」

 「レティシア様……。ありがとうございます」


 俺達は休憩をするため自室へ戻ることにした。誕生日パーティーまでまだ時間があるのでゆっくりできそうだ。

 どうせならこの時間にクリスティーナの所へ顔を見せに行きたいところだけどミラーも一緒にいるので抜け出せない。……とりあえず眠いから寝るか。


 「レティシア様、休憩が終わったらすぐに誕生日パーティーが始まりますので服にしわを付けない様にしてくださいね、あと髪も崩さない様にお願いします」

 「わかっているわ、ベッドじゃななくて椅子に座って寝るわ」

 「はい、そうしてください」


 そんな会話をしながら廊下を歩くこと数分、自室の前に着いた。

 ミラーがさっと扉を開け、先に俺を通してくれる。


 「じゃあミラー、おやすみ。誕生日パーティーが始まる時間になったら起こしてくれる?」

 「言われなくても起こしますよ、レティシア様、おやすみなさい」

 「おやすみなさい」


 秒で寝た。



 『レティシア様……、レティシア様! 時間です!』

 「ふうん、あう?」

 「レティシア様、変な声出てますよ」


 寝起きだといつも変な声がでてしまう。なぜだろうか?

 ミラーは俺の肩を優しく揺らしながら声を掛けていた。


 「おはよう、ミラー」

 「おはようございます。レティシア様、いい夢は見られましたか?」

 「……なんか、ミラーがべりーといちゃついてる夢を見たわ」


 勿論見ていない、そもそも夢自体今日はみてない。

 

 「レティシア様、からかってるんですか?」

 「え? なんのことですか?」


 ミラーは諦めた様子で肩から手を放す。


 「レティシア様、会場にいきましょう」

 「わかったわ」

 

 俺は椅子から立ち上がりミラーに着いて行く。もう少し寝ていたかったな。


 「ミラーは私が寝ている間なにをしていたの?」

 「私ですか? そうですね……」


 ミラーは少し考えて、続けた。

 

 「レティシア様の可愛いお顔を見ながらぼーとして、癒されていましたよ」

 「私をからかっているの?」

 

 ミラーは「ふふふ」と笑ってから続ける。


 「レティシア様、先程のお返し、ですよ?」


 それから軽い雑談を挟みながら歩くこと数分、王宮の大広間に到着。

 大広間という名前だけあって、本当に広いなと思う。

 大広間には木造の半円型宴会テーブルが複数置いてあり、壁には色とりどりの花が装飾されていた。


 「綺麗」

 「そうですね」

 「レティシア様の席は、中央の席です、始まるまで近くで待っていてください」

 「わかったわ、ミラーはどうするの?」

 「私はレティシア様のお父様とお母さまをお連れして参ります。それでは失礼いたします」


 そう言ってからミラーは大広間を後にした。

 俺はミラーの指示通りに中央のテーブル付近に移動した。メイド達が誕生日パーティーの準備を慌ただしくしている中、俺はただ待っているだけ。

 俺はテーブルに置いてあった飲み物が入っているグラスを手に取り、一気に飲み干した。

 

 ……この時間、暇すぎる。


 そんなことを思っていると、後ろから歩いて来る音が聞こえてきた。

 

 「レティシア様でしょうか?」


 声のした方向に振り返ると、そこには見覚えのある男が立っていた。


 ――シフィオン・エヴァンジェリン。俺の家庭教師だ。


 「あの、……どちら様でしょうか?」

 「私、明日からレティシア様の家庭教師を担当します。シフィオン・エヴァンジェリンと申します」


 家庭教師のこと考えるのが嫌すぎて忘れてたけど、そういえば誕生日パーティにも来てたわ。……ゼノンが確か誕生日パーティーにも出席してもらって信頼を得た方がいいとかいう理由で参加するみたいな設定だったな。めんどくさい。


 「なるほど、私がエラード・レティシアよ、エヴァンジェリン、これからよろしくお願いします」

 「よろしくお願いします、レティシア様。私も信頼関係を深めるためにパーティーへ参加してもよろしいでしょうか?」


 正直に言うとよろしくないので待っいてくださいと言いたいところだが、そんなこと言ったら後で大変になりそうなのでいうのは我慢。


 「いいですよ、信頼関係は大事なので」

 「ありがとうございます、レティシア様」


 とりあえず、早くクリスティーナに会いたい。

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