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第一話 『エラード・リベレイション』

 ――ここは、王宮の地下にある牢獄である。

 

 牢屋が何百も立ち並ぶ中、その奥には1つ、ゲームのバグで出来上がった魔法陣が堂々と張られていた。

 

「やっぱり、あったわ」

 

 魔法陣に触れると、瞬時に別の空間にワープした。

 ワープした先は、ダンジョン第5階層の入り口。

 

「わぁ、生で見ると迫力が全然違う」

 

 普通なら今いる場所に辿り着くには、相当な実力と相当な時間をかけて辿り着く事のできる場所。

 だけど、俺……いや、この世界での俺は今、第一王女エラード・レティシアだ。

 

 前世でやり込んだクソゲーである『エラード・リベレイション』、まさかそのまんまの世界に転生するとは。

 ダンジョン第5階層は、青白く光る苔に覆われていて、神秘的な雰囲気を醸し出している。

 今思ったけど、着ていく服を間違えた。

 この服だと間違いなく攻撃が当たった瞬間にゲームオーバーしてしまう。

  

 「夜だから間違えてパジャマで来ちゃった……ダンジョンにこんな服装でくるの私以外いないわ」


 でも今戻っても監視に見つかるし、しょうがない、この服装で行こう。

 

 そして、どうやらこの世界ではどうやら喋ると女仕様になるらしい。

 

 もしこの格好で魔物に襲われたら、防御力無だからひとたまりもないだろう。

 とりあえず、ここに来た目的を果たそう、ここに来た理由は1つ、裏イベントをクリアするためだ。

 このゲームは自由度がかなり高く、特定の行動を達成するとクリアなど、そういうものが存在しない。

 自由度が高すぎるせいで、前世では「なにをしたらいいのか全くわからない」という理不尽な理由でクソゲーと話題になった。

 ただ、俺の様なやり込み勢にとっては、とてもやりがいのあるゲームだった。

 そして、今の俺が勝手に決めているクリア条件が1つある。それは……推しキャラが理不尽に死ぬのをバグ技で救い出し、幸せにすること。

 俺の推しである侯爵令嬢・クリスティーナ・ローゼンは、隣国の王太子である婚約者ルシアンに冤罪を理由に婚約破棄されて、ダンジョンへ追放されるというストーリーが存在する。

 ここで普通なら助けられず魔物にやられてバッドエンドになるけれど、俺は前世で裏ルートを見つけた。

 それが先ほど通ってきた魔法陣。このゲームはバグも多く、様々な所に運営が修整をしていないバグがある。

 この第5階層にもバグが存在し、1つ赤い苔のある場所があり、その苔に身体が触れると隠し部屋に行くことができる。

 

「おぉ! あった!」

 

 俺は赤い苔に触れる。すると、魔法陣同様瞬時に別の空間へワープした。

 そこは、濁りきった水の溜まり場。

 あ、これ濡れるわ。

 

「……うぅ」

 

 声がする方向へ顔を向けると、そこには腰を抱えて座り込む人影があった。

 水に濡れたプラチナブロンドの長い髪、あれは間違いなく、俺の推しであるクリスティーナ・ローゼンだ。

 目の前に俺の推しがいる……、水に濡れていても可愛いのは同じだな……。

 とりあえず話しかけよう。

 

「見つけたわ、クリスティーナ」

 

 クリスティーナはそっと顔を上げ、死んだ目で俺を見つめた。

 

「え、レティシア王女陛下……なぜこんな所に?」

 

 クリスティーナは首を傾げる、そして、はっと顔を上げ、口を開く。

 

「私が死んでいないか、確認しに来たのですね」

 

 俺は首を横に振り、答える。

 

「いいえ、貴方はまだ死んではいけないわ、私と来る気はない?」

「え……? それってどういう」

 

 クリスティーナは困惑した表情を浮かべる。

 

「貴方は魔法の天才って私知ってるの、だけら、私と一緒に未知を体験してみない?」

 

 私はクリスティーナにゆっくりと手を差し伸べた。

 

「なんで……私は」

「貴方は、冤罪をかけられて、ここへ追放させられたんでしょ?」

「えっ、どうしてそれを?!」

 

 クリスティーナの目が大きく開かれる。

 

「そんなことはどうでもいいの、このまま何もしないで死ぬのを待つか、私と一緒に着いていくか、どうする?」

「どうせ捨てられる命、貴方に着いていきます」

「決まりね!」

 

 クリスティーナは俺の手を握り、ゆっくりと起き上がる。

 

「これからよろしく、クリスティーナ」

「えぇ、レティシア王女陛下」

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― 新着の感想 ―
転生先がまさかの生前やりこんだクソゲーそのものの世界であり、そのやりこんだ知識を転生した世界でも役立てていく、そのストーリー性が面白く、とても興味を惹かれた。次の展開が楽しみだ。
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