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「たけし!起きなさい!」
バーニングたけしは目を覚ました。
母親に起こされたことで目を覚ましたのだ。
バーニングたけしは本名だ。彼は二十代後半の、それなりの年齢の男性だったが、未だに自立できないでいた。それは、彼の属性が関係している。
彼は剣と魔法の世界で暮らしている、どこにでもいるような炎属性の冒険者だった。この世界では、炎属性がもっとも多い属性だった。なので、それに生まれてしまうと、激しい競争に巻き込まれることになる。
炎属性というのは、激しい競争が約束された、外れ属性として有名だった。
そんな炎属性のバーニングたけし。
彼が、彼なりにバーニングする物語だ。
「わかってるよ。ちょっと待ってて」
「そんなね!炎属性に生まれたってことは努力しないといけないってことなのよ!?人の数倍努力して、それでやっと普通の人と同じくらいの冒険者になれるんだからね!アンタは頑張らないとダメなのよ!わかってる!?」
たけしの母親が口を酸っぱくしてそう言う。
彼女が言っていることは事実だ。
炎属性の冒険者は頑張らなければ食べていけない。
需要と供給のバランスが崩れているので、頑張るしかない。
それは、バーニングたけしも十分にわかっていた。わかっているからこそ、どうにかして自分なりの成功を、バーニングを掴もうとしているのだった。
「わかってるって!俺には俺の考えがあるんだから!」
「アンタなんてずっと遊んでるばっかりじゃないの!この間もなに!?花火みたいな実用性がない炎魔法ばっかり練習して!そんなことじゃみんなから置いていかれるに決まってるでしょ?そんなことじゃダメよ!」
「花火はもう終わりにしたよ!」
たけしは自分の生きる道を探していた。
その中で、花火師になるという道も模索していた。
が、どうしても、広大な土地がなければ花火師として成功するのは難しい。とはいえ、自宅にそれを練習する場所がないからといって、ダンジョンでバンバン花火を上げ続けるわけにもいかないのだ。
ダンジョンとは助け合い、譲り合いの場所である。
特に、彼が行くような弱いダンジョンであればそうだ。
なので、花火を練習する場所などどこにもない。
それがわかったので、今はそれを目指すのをやめていた。
彼が暮らしている国はハルバードという名前の国だった。いわゆる剣と魔法の世界に相応しい中世ヨーロッパ的な感じの街並みでみんな魔法を使ったりしている。
もちろんそこにはモンスターもいた。
モンスターがいるということは、それを狩る冒険者もいた。
この世界の人はほとんどか冒険者になる。
だから、彼もなんとかして冒険者として成功したいのだった。
ハッキリと言ってしまえば、冒険者以外の職業は、落ちこぼれがやる仕事だった。なので、どうにかして冒険者として成功したいのだった。それ以外は当たり前のように考えていなかった。
それなのに、炎属性はめちゃくちゃいるのだ。
人口の半分くらいは炎属性の適性しかない。
たけしもそうだった。
それゆえに困っているのだった。
「今日も学校あるんでしょ?頑張らないと」
「まあ、もう起きるから!もう起きるから!」
「起きるならそんなこと言わずにすぐに起きなさい!起きるって言う前に行動は終わっているはずよ!?」
意外と論破派な母親。
言い負かされてしまったたけしは起き上がる。
そして、学校に向かうための準備をしていた。
炎属性には特別な学校がある。
炎属性は失業率が異常に高いので、それを危惧した政府が彼らのための学校を設立したのだ。焔学習特別学校と呼ばれるそれは、炎属性の冒険者しかいない。
もうすでに、大学までの時間稼ぎは全て使っていたたけし。
社会に出ても、平凡な炎属性のままだった。
それでは、アルバイトよりもお金が稼げない。
冒険者として頑張っている傍ら、学校に通いながら、なんとか自分の生きる道を探しているのだった。どうにかしないと、自立できないまま、日々が終わることになる。
特別学校へ向かう準備をしているたけし。
彼はこの呪いのようなものと立ち向かう。
このままでは負けたみたいだった。
そして、それは絶対に嫌なのだった。
引退した冒険者や、致命的なダメージを負ったことで冒険ができなくなった人々と一緒に仕事をするのはどうしても嫌だった。それはたけしだけの思いではなくて、炎属性の冒険者、全員の思いだった。
「いってきます」
「いってらっしゃい!頑張ってきなさいね!」
たけしは母親に見送られる。
二人とも考えていることは同じだ。
(今のままではいけない)
二人とも同じことを考えていた。
空は晴れていた。激しい日差しは、まだ夏になっていない春の終わりを教えてくれる。これからもっと世界は熱くなる。その中で、どうやってバーニングするのかが問題なのだ。
その問題に真っ直ぐに向き合うことにしたバーニングたけし。
彼にはやらなければならないことがあるようだった。
どうにかしてバーニングしないといけなかった。
冒険者として、人として成功する必要があった。




