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《搭》のはじまり




 何も無い荒れたこの大地に、この場所は突然視界に入ってくる。


 どれほど年月を経たものなのか。

 巨大な岩を中心に、いくつかの崩れかけた建物。

 人がこの遺跡の意味も知らず、価値にも気付くことなくただそこに存在するだけのものとなっていた時代。

 発見当時、この場所はただ荒れるに任せたような状態で、中心の岩は意味の無いただのシンボルのようなものと判断されていた。

 岩のようにカモフラージュされていただけだとは誰も気付かずに……。



 ある日、こんな荒れ果てた場所を訪れた一団があった。

 興味本位だったのだろう。この遺跡を調査に来た魔術師達がいた。

 《神都》の時代には及ばないものの、栄光の女王が存在した時代に程近い時代に建てられたであろう遺跡は興味を持つものにとっては非常に価値があり、調査するのは当然の事である。

 調査が進むにつれ、彼らはこの遺跡がただの遺跡では無い事に気付いたのである。

 そして彼らはこの遺跡を拠点に調査を進めていたが、次第に噂を聞きつけた者たちも現れ始めていた。

 調査を続けていたある日、この遺跡に突然の変化が訪れる。

 それまでただの岩と信じられていた物がその本来の姿を現したのだ。

 ただの岩ではなく、人の手による建築物としての姿を。


 そして、ある一人の魔術師が言った。

「この場所を私たちの研究のための住み家としよう」

 荒れ果てた荒野を統治しようとするものもなく、また権利を主張するものもいなかったため、この場所を手にするのは当時、容易いことであった。

 そうしてこの場所を手に入れた魔術師たちは、ここに住みつくようになったのである。


 その後、魔術師たちの苦労の末遺跡は本来の姿を幾ばくか取り戻す。

 そのことが噂を呼び人を呼び、次第にさまざまな人々が集う場所となっていき……。


 知識を求める者たちにこの場所を開放することも、そう時間はかからなかった。


 だが人が集まるにつれ問題が起こるのも当然の結果だろう。

 ましてや古代遺跡なのである。貴重な資料も多々あった。そうした貴重な資料を自分の所有物として持ち出すものも現れたのである。

 そうした騒動を抑えるために、この場所を学び舎として厳格な試験を乗り越えた者にしか立ち入る事の出来ない場所とし、ここを統治するものとして《賢人》という存在が出来たのである。






 だが何故この場所が、ただの《トゥルム》と呼ばれるようになったのか。

 それはまた別のお話。



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