表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム・ダイバー  作者: 暇人
島釣り生活
14/14

満月の夜に

 一年。

 伝説の魚を釣ることなく一年が経った。


 遊輝、エレノア、ウンディーネ、ミウ。四人での生活は楽しく賑やかで幸せに溢れ、誰の口からも文句なんて出てこなかった。

 このまま一生をここで過ごすのだろう。遊輝も既にこの世界に骨を埋めるつもりでいた。


 「ユウキ、チュ~」


 未だ片言ではあるが、ミウはこの一年で言葉を覚えた。

 もっともっと愛し合いたい一心で。


 「……どうぞ」


 ウンディーネは遊輝とのキスを終えてミウに順番を譲る。


 「はぁん……ユウキぃ……」


 エレノアは熱くなり過ぎて最初に長い時間遊輝を独占したので順番は後回しだ。

 下着の中に手を突っ込んで何やらモゾモゾしている。

 ちなみにエレノアの鎧や下着は魔法的な施しのおかげで破壊されない限り最良の状態を保つ。


 変わり映えの無い、だけど幸せな毎日。

 そんな日常に突然大きな変化が訪れる。


 それは夜。みんなが寝静まった後。

 遊輝がふと悪魔掲示板の様子が気になって確認すると、新たな情報が手に入った。

 釣王に関する情報だ。


 先ずは釣王の取得条件。それは釣竿の成長度がMAXの状態であることが一つ、そして表ステージ、裏ステージ、隠しステージそれぞれに一体ずつだけ存在する希少種を全て釣り上げること。

 希少種は釣竿の成長度がある程度無いと釣れないので序盤はどうやっても釣れないらしく、釣れる段階に入っても運任せの要素が大きいらしい。

 その条件をどちらも満たすと釣王と言う真の最強釣竿が手に入る、と。


 しかし、遊輝が驚いたのは釣王の能力の方だった。

 釣王の性能が格段に良いのは遊輝も分かっているのだが、それだけではなく特典として他の世界へ持ち込んだ時の能力が物凄い可能性を秘めたものだった。


 ――どこでもフィッシング。


 本当にこんな技名が付いているわけではないが、つまりそう言うことだ。

 どんな場所でも釣りが可能。その能力はこの世界でも発揮されるらしく、遊輝はすっかり家として形を成した海の手作りハウスの中から砂浜へ軽く釣王を振ってみると何かを貫くような感覚と共に糸の先が空間の中へ消えていった。

 そして、少し待っているとグイッと引かれる手応えを感じ引き上げてみると……釣れた。


 釣王の能力はどこからでも此の世界に釣り糸を垂らし釣りが可能だと言うものだった。

 それを知った遊輝は閃く。この能力を使えばミウが特典として獲得出来なくとも違う世界に連れて行けるんじゃないか、と。


 そんな考えに至ってから遊輝は何度か釣王の能力を試しているとある法則性に気付いた。

 竿を振るときに思い浮かべていた場所に糸が垂れてくる。何も考えなかったり此の世界意外を浮かべたりするとランダムに湖や海、池などにいくようだが、此の世界のどこかを思い浮かべれば確実にそこへ糸の先が出現する。


 普段は振る先をそのまま思い浮かべていたために何事もなく気付かなかった。

 遊輝は悩んでいた。確かにこの能力があれば別世界からミウを釣り上げれば問題は解決する。

 だが、今更のような気持ちもある。


 これは自分一人のことじゃないと思い遊輝はみんなへ話すことにした。

 ゲームの事も、此の世界の事も……。







 「ミウ、イイヨ」

 「私もだ。信じられぬような話だったが、ユウキを愛するこの気持ちに偽りはないのだろう?」

 「……私も大丈夫。他の世界も少し……興味ある」


 三人は遊輝との生活で確かな絆を持ち、遊輝のことを信頼していた。

 遊輝がこんなつまらない嘘をつくはずがない。ならば全て本当のことだと。

 そして、その可能性の大きさも理解していた。遊輝はこんな場所でのんびり暮らしていて良いような男ではないとも思っていた。

 それ故に誰からも反論は無く、全容を把握出来た訳ではないが話されたことも信じた。


 ミウに関しては、それよりも自分の為に此処に留まってくれていたことが嬉しかった様子。


 遊輝はみんなの後押しに決心する。

 またみんなの優しさに甘えているのかもしれないが、みんなが本気で願ってくれているのも分かる。

 なら期待に応えないとな、と。


 「みんな、有り難う」


 全員の意思が一つにまとまり、最後の獲物を釣りに行く。







 伝説の魚は条件さえ揃えれば比較的簡単に釣れる。

 第一に釣竿が『玄人の釣竿』まで進化していること。そして、湖で釣れる『月光魚』を餌にして満月の夜に湖で釣りを行う。これだけだ。

 そのためクリアを目指すだけなら早く終わる。


 「よし、準備は整った。みんな、良い?」

 「あ、あぁ。やはり少しだけ緊張するな」

 「……でも大丈夫。ユウキ……信じてるから」

 「ユウキ、フレー」


 みんなの声が途切れた後、辺り一帯を静寂が包む。


 そして、遊輝はその手に持った釣王を湖面に映る満月に向かって振る。


 揺らぐ満月の丁度真ん中。チャポンッという音を響かせ、月光魚を付けた先端が落ちた。

 伝説の魚が訪れるまでの時間、それは四人にとってとても長く思えるものだった。


 グイッ


 遊輝の手に少しの振動が加わる。

 遂にその時が訪れたことを察し、エレノア、ウンディーネ、ミウの三人も自らの手を遊輝の釣王を握った手に重ねる。

 全員の手が重なった。その瞬間一気に引き上げる。


 すると、湖面に映る満月の中から次第に姿が現れた。

 金に輝く大きな魚。それは口の辺りから二本の細長い髭を生やし、その全身から発する月のような輝きと合わさった姿は神々しく、また威厳に満ち溢れていた。

 伝説と呼ばれるだけの風格はある。


 伝説の魚は宙を舞い、上空にある本当の月へ昇っているように見えた。


 遊輝はその光景に視線を釘付けにされながら、徐々に意識が遠退いて行く。

 体は光に包まれて……。


 「ユ……ウキ……また……」

 「……も……一度……」

 「……マッテル……」


 消え行く遊輝を眺めながらそれぞれ声を掛ける三人。

 その中でエレノアも遊輝と同じように消えて行く。







 ~TRUEEND~



ちょっと無理矢理な感じになってしまいすみません。

本当はもっとパパッと終わらせて次のゲームへ行くつもりだったんですが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ