プロローグ「勇者、不要とされる」
世界を救った翌日、待っていたのは絶望的な裏切りでした。
無一文で追放された元勇者が、前代未聞のチートスキルで世界中を巻き込んだ逆転劇を始めます!
「これより、魔王討伐の英雄アレンに対する国家追放処分の言い渡しを行う!」
王都の広場を埋め尽くす群衆の前で、黄金の装飾をまとった宰相が高らかに声を張り上げた。
玉座の間ではなく、わざわざ民衆の目の前でこれを行うのは、王国の権力を誇示し、かつ厄介者を追い出したことを周知するためだ。
「魔王は死んだ。貴様の役目は終わったのだ、アレン。これ以上、王国にその規格外の暴力が存在することは、治安維持の観点から有害でしかない。感謝しろ、処刑ではなく追放で済ませてやったのだ」
王座の隣で、若い国王が怯えたような、しかしどこか傲慢な目をこちらに向けている。
周囲の騎士たちは槍を構え、いつでも私を蜂の巣にできるよう殺気を滾らせていた。
数日前まで世界の救世主と持て囃していた口が、よくもまあそこまで回るものだ。
私はボロボロの旅装束のまま、ふっと冷ややかに笑った。
魔王城の最深部、身を挺して世界を救ったこの身体には、まだ至る所に生々しい傷跡が残っている。その功績を労うどころか、強大な力を恐れた王族たちが私を危険分子として切り捨てたのだ。
「勝手なものだな」
「文句はあるまい! さっさと王都から出ていけ! 一歩でも戻れば反逆罪として処断する!」
宰相の怒声に合わせ、群衆の中から石ころが飛んきて私の足元に転がった。
風向きが変わる。さっきまで勇者様と泣いて感謝していた民衆たちが、恐怖と権力に流され、手のひらを返したように冷たい視線を向けてくる。
(ふっ、人間なんてこんなものか。まあいい)
私は心の中でため息をつきつつ、胸の奥でひそかに発動条件を整えた。
魔王との最終決戦の最中、死の淵で覚醒した私の固有スキル「全視点中継」
これは、世界のあらゆる場所の映像を空中にホログラムのように映し出し、さらに私の意思で全人類の脳内に音声をダイレクトに届けることができる、前代未聞のチートスキルだ。
王族たちは、私がただの剣の強い男だと思っているらしい。
「それでは皆さん、ごきげんよう。王国のお偉方の裏の顔、せいぜい楽しんでくれよ」
私はニヤリと不敵な笑みを浮かべ、王都の門へと同言葉を発することなく、背中を向けた。
正確には世界中のすべての人間の脳内に、私の声を響かせた。
テスト、テスト。これより、元・勇者アレンによる世界追放リアルタイム配信を開始します。
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次回、元勇者の初配信で世界中が大パニックに!?
どうぞお楽しみに!




