3.我思う、故に我あり
大神父デルテスは若干動揺しつつも嘲笑うようにこちらを見てきた
「神を…殺した?w 笑える嘘は止めといたほうが良いと思うぜ? ガキ」
『嘘をついていたのはどっちだよ 大神父とやら』
やつは完全にキレている しかし、俺のことは舐めている いい機会だ
「さて、そろそろつく頃か…な?」
『何がだ』
「聖騎士軍だよ うちの教会に駐在していて、先ほど従者に連絡させた」
村の人々はざわつく
「聖騎士軍だって?」 「あの最強と謳われる⁉」 「え、嘘!」
どうやら聖騎士軍とやらは強いらしい
馬の足音、鎧や兜の鉄の音、そして屈強な男たちの強い心臓の音が近くなる
もうすぐそこまで来ているらしい
「さあさあ、お出ましのようだぜ?」
そう大神父が言ったとき、彼らの姿は見えた
それは太陽にも負けず劣らずの気迫を強く感じる屈強な男たちであった
「何の用でございましょう 大神父」
「来てくれたか 聖騎士軍よ さて、この村を消し炭にしてくれ」
「は!」
どうやら聖騎士軍もイカれているようだ
彼らはすぐに陣形を展開し、この村を囲った
そして… ラッパの合図は鳴った
『まあ、私も逃げ惑うだけではいられまい…』
―――スキル発動【神は死んだ】
聖騎士も神の息がかかっている者だ つまり、俺のスキルの範囲内ってわけ
「うっ…」 「こんなガキに…」
さて、5人ほどは倒しただろうか
しかし、きつい いくら一人一人が簡単だとは言え、軍全体を一人で抑えるなど無理がる…
やはり、この村を、人々を私は救えないのだろうか…
そう思った矢先だった
―――スキル発動【我思う、故に我あり】
「果たして今、私が見ている彼らは本当に存在するのだろうか…?」
そう聞こえた気がした
その瞬間、聖騎士軍、そして大神父は "消えた"
何の跡形も無く
そしていつの間にか私の前には一人の老人が立っていた
「よう青年、 いい度胸とスキルじゃないか」
『あ、あなたは…?』
「我はルネ・デカルト まあ通りすがりの冒険者とでも思ってくれ」
ルネ・デカルト… 私が批判した哲学者の一人だ
しかし何故、彼がその名を名乗っている…? まさか私と同じように転生を?
そういうことか ここには私以外にも転生者がいるって言うのか
「君、名は?」
『アルトです』
「いや、違うね ここでの名じゃない 前世の名を言うんだ」
こいつ…俺が転生者であることを知っている…
『フリードリヒ・ニーチェだ』
「ああ、我のこと、めっちゃ批判してた人ね!」
え… そこまで知っているのか…
『なんで、そんなことまで知っている』
「前の世界のこと全てを教えてくれる人がいるんだよ だから」
「あ、そうだ 一緒に来るかい? その人たちのもとにさ!」
『え、ちょ 私のことをどうとも思わないのか 批判したのだぞ』
「哲学なんてそんなもんだし、それが正しければなおさら憎めたもんじゃないからね」
「あと、我は仲間が欲しかったんだよ どうだ来るかい?」
『あ、ああそれじゃあ 行かせてもらうとする』
「お、いいね それじゃあ今日は歓迎会ってとこかな?」
<今回の知識メモ>
ルネ・デカルト
17世紀フランスの哲学者 「近代哲学の父」と呼ばれ、
「我思う、故に我あり」や「方法的懐疑」など哲学界に様々な功績を打ち立て、
その功績は数学界にまで及ぶ




